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【城戸編39】超自己中心的フォア・ザ・チーム
全員勝負弱い割には「俺が俺が」とバットを目一杯長く持って振り回しまくり、極めて得点効率の悪いイ軍打線。
「誰か繋ぎ役はいねえのか!」
と、監督以下首脳陣が1、2軍を必死こいて探してみても(その前に育てろよという話ではあるが)、そのような殊勝なキャラなど、いる筈もないのであった。
そんな中、
「しゃあねえなあ、俺が本当のフォアザチームって奴を見せてやるよ!」
そう宣言して自ら2番に座ったのが、主砲城戸であった。
常にチームを犠牲にして自分の打率を最優先に考える城戸が自己犠牲の何たるかについて得々と語る事に対して、イ軍ナインは冷ややかな視線を向けざるを得なかったのであるが、当然の如く、オチはついた。
「おい竹垣! 1番に入るなら当たってでも塁に出ろよ! 俺がバント出来ねえだろコノヤロ!」
そう、城戸が自ら2番に入ったのは、シーズン終了間際になって、何としても打率三割を維持する為だけにバントをしなければならないという、極めて自己中心的な事情からなのであった…。




