160/5132
【イ軍編①】最強の裏方
東京新宿イディオッツ制作部、新宿スタジアム分室。
例によって一方的に滅多打ちにあっているイ軍戦になど誰も興味は無く、5人程の職員がダラダラとネットサーフやゲームに興じていたのであるが、一本の電話が入った事により、雰囲気が一変する。
「緊急入りました! 10分後に〆切です!」
「バッターは長森、右翼ポール!」
「長森過去映像廻して! 出来れば9月の奴!」
「現況確認! 去年の動画が使えそうです!」
「ダメだ角度的に10分じゃキツイ! もうちょっと時間ねえのか!」
「延長は無理だ! チェック無しのぶっつけになるぞ!」
イ軍長森の右翼ポールすれすれの大飛球について、一度はファウルの判定が下ったものの、イ軍不二村監督の猛抗議もあって、ビデオ判定に持ち込まれた。
そこで審判団が球場カメラで撮影していた映像を検証した結果、ギリギリでポールにかすっていたという裁定が下り、晴れてホームランが認定されたのであった。
その陰に、短時間でビデオ内容を修正した“球界最強の裏方”イ軍CG班の鮮やかな手並みが発揮された事を知る者は少ない…。




