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逆縁起解説
イ軍OBで、現在は野球評論家として活動している岡島。
取り立てて特徴の無い人間ながら、イ軍では非常に珍しい当たり障りのない人格とそこそこの実績のお蔭で、何とか野球ネタ一本で食い繋いでいるのであった。
現役時代と同様、影の薄い存在ではあったが、夏の終わりからシーズン終盤になると、各種テレビ、ラジオ局から、解説の依頼が引っ切り無しに舞い込むのがここ数年の常であった。
「地道にやってりゃ誰かが見てくれてるもんだ。俺の日頃の綿密な取材による来シーズン展望が評価されるようになったんだな」
などという事は勿論無い。
ペナントレースも大詰めの時期、“消化試合の鬼”こと4番城戸を筆頭に無駄に強くなるイ軍は、優勝戦線に残るチームとしては厄介なな障壁となる。
そこで、解説を担当すると高確率でイ軍が負けるというジンクスを持つ岡島が、当該球団を通じて解説席へ呼ばれるという事なのであった…。




