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泣ける抗議
イ軍対バ軍戦、イ軍の不発弾こと4番城戸が、脇腹に速球を喰らって悶絶。
「城戸天誅!」
と、例によってホームのイ軍ファンが大歓声を上げる中(自軍選手が死球を喰ったのに何とも酷い話ではあるが、今までの城戸の行状からすれば致し方ない面もあった)、マウンドに向かってダッシュした男がいた。
誰あろう、イ軍ベンチで城戸と最も折り合いが悪い、監督の不二村である。
これまで散々、城戸にチャンスでの凡退を繰り返されては煮え湯を飲まされ続けていた不二村が、まさか城戸への死球で抗議に動くとは…。
イ軍ベンチ始め、バ軍ナインすら呆気に取られる中で、マウンドに駆け上がった不二村は、バ軍投手三科を怒鳴り上げたのであった。
「おい! 頭を狙えとは言わねえが、当てるなら長期欠場になるようなとこにしっかり当てやがれ! 城戸の野郎にチャンスを潰されまくって試合に勝てねえ俺たちの状況をちょっとは察してくれよ!」




