【新スポ編②】人間とサイボーグの儚い恋
東京新宿スポーツ編集部。
尾藤が掴んだイ軍のエース相原とGM柳澤のラブホテルでの密会写真を前に、激論が交わされていた。
このネタは何としても一面に持ってくるべしという過激派と、スポンサーである柳澤をネタにするのは絶対に避けるべきという慎重派が、互いに譲らず真っ向から主張をぶつけ合っているのである。
とは言い条、柳澤の名を出すのは経営的観点からはどう考えても得策ではなかった。
だが、ネタの大きさを編集長以下幹部が考慮し、以下の妥協点に落ち着いたのであった。
“イ軍エース相原 サイボーグとの儚い恋”
「よし、この一面なら大丈夫だろう」
結局、柳澤の顔にはモザイク処理を掛けて、相原メインで「整形疑惑で有名な某女性有名人」と密会していたという内容に構成されたのである。一見、柳澤に配慮しているように見せかけて、公然の秘密である整形ネタをしっかりイジっている、新スポらしい記事であった。
しかし、この写真が問題だったのだ。
イ軍憎しの尾藤が執念を燃やして近距離で激写しただけあって、背格好、バッグ、靴等から、分かる人には一発で柳澤と分かってしまう写真であり、気付いた奴が震源となって瞬く間に情報が拡散。結局一大スキャンダルとなってしまったのである。
「いやあ、こんな騒ぎになるとは全然思わなかった。ワハハ」
とは当時の新スポ編集長の弁であるが、“火の無いところに大火事起こす”の二つ名で悪名高いマスゴミ界の放火魔として有名な彼だけに、誰もその言葉を信じる者などいなかったのであった…。




