キングメーカーと化したイ軍
イ軍が挑む、シーズン最終週の6連戦。
雨天順延が重なり10月に持ち越されたブ軍、タ軍との各3試合。イ軍の戦い次第でペナントレースの行方が決定する、極めて重大な局面を迎えていた。
万年自分の打率にしか興味が無い城戸でさえ、この6連戦には並々ならぬ決意で臨んでいた。マスゴミのインタビューに答えて曰く、
「ペナント大詰めでこんな試合がやれるのなんて、何年振りか分からないけど(笑)久々にいい緊張感。プレッシャーがあるのはブ軍、タ軍も同じだろうし、自分も悔いの無いようにプレーしたい」
と、気合い十分である。
実際は、イ軍が優勝争いをしているワケではない。
ブ軍、タ軍が同率首位に並んでいるところで、両チームとも雨天順延でシーズン最終節に組み込まれたイ軍戦しか残していなかったのだ。かなり後ろ向きな意味でキングメーカー的な立ち位置に立っているだけの事であった。
城戸の言うブ軍、タ軍に圧し掛かる「プレッシャー」も、「勝って当たり前の対弱小イ軍の試合で、実際に勝たねばならない」という類のものである。
そんな中、城戸始めイ軍の一部のお調子者たちは、せめてペナント争いの雰囲気だけでも味わおうと、無駄にテンションを上げているのであった…。




