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【城戸編⑫】勝ちにこだわる

「今年のオールスターは勝ちにこだわるぜ」

　ファン投票で選ばれた選手の、代替の代替のそのまた代替で選ばれた分際で、一体この人は何を言っているんだろう――。

　イ軍城戸の冒頭のセリフに、オールスターが開催される球場に集結したマスゴミ他関係者は、度肝を抜かれるより他、なかったのであった。

　その後、普段完全無視を決め込まれている、新スポ以外のマスゴミがお義理で取材に来たのが余程嬉しかったのか、大ハッスルのドヤ顔で、訊かれてもいないオールスター必勝戦術なるものを延々と語り続ける始末である。

「いくらお祭りだからと言っても、勝たなきゃしょうがねえんだ。パリーグの連中に、格の違いを見せつけてやりましょうや、ねえ監督！」

　たまたま通りすがったセリーグ監督のバ軍加倉井の肩を、上機嫌にバンバンと叩いたものである。

「そうだな、今年はガチで勝ちに行くか」

　そのセリフ通り、必勝を期したオーダーに、打率３割超ながらも得点圏打率１割未満の城戸の名前が無いのは、当然のオチなのであった…。