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イ軍、元バ軍エース斉田と電撃契約!
またぞろ新スポの飛ばし記事としか思えない珍ニュースであったが、しかし今回はマジネタなのであった。
斉田本人は、
「やり残した事がある」
等と聞いた風なセリフを並べ立てたものであるが、現役時代から手を出していた株で大損こいて、金に釣られてイ軍と契約したともっぱらの噂であった。
斉田がいくら往年の沢村賞投手といえども、引退後5年が経過している。まともな戦力になるはずもなく、イ軍の話題作りという見方が大勢を占めていた。
そして、斉田の現役復帰初戦。
2軍では滅多打ちに遭いながらも投手の絶対数の不足により、古巣バ軍相手にまさかの1軍先発登板である。
――当然のようにバッティングピッチャー状態に陥る斉田であったが、監督不二村は、
「今日は奴の試合」
と、リリーフを送る素振りを見せない。
結局、9回232球14失点で完投という、元エースの残虐なフルボッコショーが展開されてしまったのであった。
いくら何でも今日の試合は酷過ぎやしないか。
そう突っ込みを入れるマスゴミ陣に向かって、不二村は事もなげに答えたのであった。
「斉田のおかげでリリーフ陣が休養を取れた。敗戦処理も立派な戦力ってこった。それに、あれだけ尊大だった男が古巣にボコられまくるなんざ、そう見られるもんじゃねえだろ。視聴率も良かったって聞いてるぜ」