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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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退任監督へイ軍流餞別!

 伊香監督、自己ワースト記録の14連敗――。

 勝とうが負けようが、常に威勢のいい断罪調のコメントを連発していた伊香も、成績不振による退任が決まってからというもの、さすがに気落ちしている様子であった。そこへもって、足かけ10年に及ぶ監督生活の中でも、自己記録の14連敗である。もはや自軍選手をディスる気力も無く、試合後の会見にも現れない事が多くなってしまった。

 伊香の情け容赦無いコメントは傍から見ている分には面白く、東京新宿スポーツ的には格好のネタ元であった。こちらが何も訊かずとも、向こうから勝手に失言をしてくれる類の男で、記者としては非常にやり易い取材対象の一人だったのだが、本人が喋らないのだからお手上げである。さて、どうしたものか。

仕方あるまい、ヤラセが無い範囲で、ストーリーをでっち上げるしかなかろう。そこで出来たのが、次の記事であった。


「14連敗プレゼント! 伊香監督の健康状態を気遣う心優しきイ軍ナイン 現場復帰への道を断つ」

 

 書いている時こそノリノリであったが、事後処理の面倒さを考えると多少気が滅入らないでもなかった。特に伊香がなあ…。まあ、彼自身について何か言っているワケでもないので、大丈夫だとは思うのだが。

 と、心配していたのだが、私の記事が原因でもなかろうが、伊香はシーズン終了直前にして体調不良で休養。イ軍からも、広報の白井から「だからトーシンさんさあ、いつも言ってるけど、記事に書いてある八百長みてえな小器用な真似ができれば、ウチはもっと勝ってるって(笑)」と、形ばかりの抗議があった程度で、特に大事なく終わったのであった。

 

 もとより八百長で負けているとは思っていない。ほぼ全員が個人成績を追った個人プレーに走った結果、チームとしてまるで機能していないから負けているだけの話であった。むしろ八百長が出来るレベルでの実力と組織力があれば、伊香の采配を持ってすればCSくらいは何とかなったのではないか…。

 明日には綺麗サッパリ忘れているだろうが(人間、そんなものである)、伊香のイ軍での2年間を振り返りつつ、私は彼のこれからの人生にエールを送ったのであった。

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