第十章:赤邪竜アスタロテとの遭遇
ついにメインヒロインのアスタロテの登場です!
どのような出会いを果たすのか、見届けてくださいね!
ついにアンガス湖付近に到着し、シアンが魔法で偵察する。
その間、三人はお弁当を食べ始める。
「お腹空いた~」
「久しぶりにたくさん歩いたわ」
アリシアはそう言ってサンドイッチをつまみ始める。
「ベアは疲れてない?」
アリシアは食べながら心配する。
「平気よ」
「諜報員はこれくらいでは……」
「疲れないわ」
ベアトリスは髪の毛を手で払いのけるが、
さすがに汗をかいている。
「もう汗かいてるよ~」
ハンカチで拭き始める。
「あ、ありがとう……」
「アリシア」
ベアトリスは昨夜の出来事から、
すっかり心を許している。
「気にしないで!」
アリシアは笑顔で二つ目の、
サンドイッチに手を伸ばす。
「アリシア様」
「戻りました」
「その……」
「ドラゴンはいましたが……」
「様子が変でして……」
なぜかシアンは目線を合わせない。
「どういうことなの?」
アリシアは疑問に思い、
質問するが……
その答えは想像より酷い状態であった。
「人間形態で……」
「なぜかボロボロの状態でした……」
「オマケに巣は滅茶苦茶で……」
「あまり見せたくはありませんが……」
あのシアンが目を伏せて、
警告しているのだ……
「大変!」
「ドラゴンさんを助けないと!」
気づいたときには走り出していた。
二つ目のサンドイッチは、
しっかりと口に放り込んで、
食べ終える。
令嬢らしくないが、
そんなことを気にしている場合ではない。
「ちょっと!」
ベアトリスは突発的な行動に驚愕する。
「アリシア様!?」
さすがのシアンも不意打ちで、
一瞬反応が遅れた。
「アリシア待つんじゃ!」
ガランドもまさか走り出すとは、
考えていなかった……
三人は追いかけるが、
アリシアは制止を無視して走り続ける。
「あれがそうなの?」
巣は本当に酷い状態であった……
卵は破壊され……
そして竜人の美少女が倒れていた。
「大丈夫?」
アリシアは美少女に駆け寄る。
綺麗な赤色の髪に、
魅力的な碧眼。
腰からは、
大きな赤と黒模様の尻尾が伸びていた。
「ぐっ……」
「人間め」
「戻ってきたか!」
美少女は傷が酷く痛みに顔を歪ませる。
「ガハッ……」
美少女は意識を失った。
「動かないで!」
「傷が酷いわ」
「いったい誰がこんな酷いこと……」
アリシアは使えるかどうかも、
わからない光魔法を発動する。
「やった!」
「魔法が使えたわ!」
「傷も治せるかも?」
「ヒール!」
少しだけ傷が治った。
人生初の魔法を使うことに成功する。
「連続で使ってみるのが良いのかしら?」
「ヒール!ヒール!ヒール!」
効くかどうかもわからないが、
とりあえず連発することにした。
「アリシア様!」
「魔法が使えるようになったのですね」
シアンは追いつきその光景に驚く。
「ええ!」
「しょぼい回復魔法だけど……」
「今はこの子を治すわ」
アリシアは美少女を膝枕しながら、
回復魔法を浴びせ続ける。
「ヒール!ヒール!」
その時だった……
「もう良いわ!」
「そんなにかけられても……」
「余の傷は再生し始めておる!」
美少女は起き上がって、
文句を言い始める。
「良かった!」
「無事だったのね」
アリシアは凄まじい力で抱きつく。
「なんじゃ」
「お前は!」
「だきつくな!」
「離れろ!」
「食うぞ!」
距離感がバグっているアリシアを脅す。
「ご、ごめんなさい」
「痛いところはない?」
「あと十回くらい使おうか?」
アリシアは心配して、
ヒールの準備を始める……
「まだ少し動けんが……」
「ヒール!ヒール!」
アリシアは連発して使う。
「過剰だわ!」
ドラゴンは叫ぶ元気は戻ってきた。
「ドラゴンさん」
「何があったの?」
アリシアはなでながら、
優しく尋ねる。
「お主には命を救われたからな」
「ちゃんと話しておこう」
「実は……」
ドラゴンは少しずつ話し始める。
「ここに住み着いたのは……」
「環境が良いからでな……」
「卵を産んで……」
「人間形態で子育てを、」
「してみようと考えたのだ」
「そこに勇者たちが……」
「やってきて……」
「不意打ちでやられてな」
「相手は聖剣を持っておった」
「挙げ句の果てには……」
「卵たちを人質に取られて……」
「目の前で余の卵を……」
「焼いて食べたのだ……」
ドラゴンは大粒の涙を流し始めてしまう。
地面にドラゴンの涙が落ちて、
水たまりのようになる。
「ドラゴンさん……」
「もう大丈夫よ……」
「私が守るわ」
アリシアはドラゴンを、
再び優しく抱きしめる。
「そういえば……」
「ドラゴンさん!」
「名前は?」
今更感はあるが尋ねる。
「アスタロテじゃ……」
アスタロテは涙をアリシアに拭かれながら、
力なく答える。
「綺麗な名前ね」
アリシアは素直に、
名前を褒めたのであった。
「勇者は……」
「最後の卵を奪って逃げた」
「早く奪い返さないと……」
「ぐっ……」
アスタロテは立ち上がろうとするが、
傷が痛む……
「まだ治ってないのよ」
「無理しないで」
「ダメじゃ!」
「あの子を救わねば……」
「シアン!」
「手伝って!」
「卵を探すのを!」
悲痛な声で
「かしこまりました」
「いま探索しています……」
「どうやら街にいるようですね……」
勇者たちは案外すぐに見つかった。
「街ごと消し飛ばしてくれるわ!」
アスタロテはブレスを、
撃ちたくて仕方が無いようだ……
「ダメよ……」
「治るまで側にいるわ」
アリシアは暴れるアスタロテを、
無理矢理に押さえ込む。
「まずは作戦を立てないとね」
「隠密作戦か……」
「それとも正面から戦うか……」
ベアトリスは作戦を立案するが……
「正面からに決まっておろう!」
ガランドは血がたぎっている。
「行くぞ!」
「シアン」
「奴らを叩きのめす!」
「かしこまりました!」
「久しぶりに暴れますか!」
二人ともテンションがおかしくなっている。
「ま、待ちなさいよ」
「あんたたちが暴れたら、」
「セカイが崩壊するわ!」
「ここは隠密作戦で……」
「失敗したら……」
「二人の出番よ」
ベアトリスは冷静で優秀な参謀だ。
「ちっ……」
シアンは舌打ちして拗ねる。
「つまらんの……」
ガランドは呆れてしまう。
「私も卵を取り返しにいきたい!」
「ダメかな?」
アリシアは今にも飛び出しそうなアスタロテを、
なだめながら立候補する。
「アリシア様危険です」
シアンは当たり前のように、
主の暴走を止める。
「どうして?」
アリシアは言う事を全く聞いていない。
「相手はドラゴンを不意打ちとはいえ……」
「倒した勇者パーティーですよ」
「あなたがのこのこと行ったら……」
「捕まって人質にされて終わりです」
正論過ぎる……
「そんなことないわ」
「シアンの馬鹿!」
「ベアも一緒に行きましょう!」
ベアトリスは無言で着いてきた。
「アスタロテも動ける?」
アリシアはアスタロテが立つのを手伝う。
「問題ない」
「神々との戦争に比べたら……」
「ちょ……」
「勝手に手をつなぐな!」
手をつないで歩いて行く二人。
「あんな頑固執事は置いて……」
「街へ探しに行くわ」
なぜかアリシアは怒っている。
「アリシア様待って……」
シアンは呼び止めるが……
「嫌よ!」
アリシアは即答する。
「フム」
「シアンよ」
「どうするのだ?」
「もちろん」
「後からついていきますよ」
「さすが我が弟子だ!」
こうしてドラゴンの卵捜索大作戦が始まった。
五人は果たして無事に見つけられるのか……
ついにメインヒロインのアスタロテが降臨しました!
次回は勇者パーティーのヒーラーの幕間になります。
ぜひお楽しみに!
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