幕間 レジス・フィ・フィガロ 2
王宮内でひと騒ぎあった。
いつもなら、気にも留めないが
今回だけはそういうワケにはいかなかった。
だって、彼女が関わっているから。
彼女の瞳に入ることも烏滸がましい害虫。
害虫どもが彼女に与えた仕打ちは、
───────到底許されていいはずは、ない。
害虫の駆除は僕に任せればいいのに。
「手筈通りに準備が整いました」
「……なら、始めようか」
準備は整った。
あとは“駆除”すればいい。
でも、そう簡単には楽にはさせない。
害虫には相応しい場所で生き地獄を味わって頂こう。
ほら、網に掛かった。
「ぐずんっ……こんなんじゃ、お嫁に行けないじゃん」
「あの──人形姫っ!覚えてなさい!」
ああ、不快だ。
こんな害虫が彼女に触れたと思うと腸が煮えくり返る。
「えっ、嘘?!フィ、フィガロ公爵?!イヤだ、こんな髪で……」
害虫どもは頬を染め、チラチラとこちらへと視線を送る。
「…………」
「見てください!公爵様、この髪は王女様が暴れて私たちこんなことに」
白々しい。涙を見せ同情を誘おうとするが、僕には害虫の言葉は理解ができない。
だが─────
「羨ましいですね」
「へ?」
「ああ、虫がうるさくて」
「あ、虫ですか?暖かくなると出てきますよね」
「…………」
「公爵様?」
害虫から見覚えのあるモノが見えた。
「それは……」
「あっ、これは……」
害虫は目を逸らす。
彼女への贈り物をなぜ持っている?
スクッと近寄る。
害虫は僕の行動に身体を硬直させる。
指先だけで掴み取る。
「これは、王女様がお詫びの印として……」
また嘘をつく。
「穢れたな…」
「今、なんと……?」
「貴女たちに相応しい仕事先を紹介させて下さい」
そう害虫どもには地獄をみせてやろう。
僕の声に反応し、背後に男三人が立った。
見るからに怪しい人間なのに、害虫どもは僕の言葉を鵜呑みにしている。
「ありがとうございます!公爵様!このご恩は一生忘れません」
ふたりして腰を折るが、僕にとっては何の価値もない。
何も知らない害虫どもは、これからのことをふたりして喜びあっている。
本当の良く先も知らないで。
あとは、背後にいる男に任せた。
ひとりの男が振り返り、頭を振った。
顔まで持ち上げる。
陽に照らされ、輝く紅い宝石。
「紅は……お嫌いなんですね」
心に刻みつける。
もう、失敗はしたくないから。
指先をそっと離す。
チャリンと音を立て、宝石が取れて転がる。
彼女にとって価値がないなら、僕には必要ない。
なにか踏んだようだ。
そんなこと、どうでもいい。
靴はお気に召さなかったようだが、
他の贈り物はご満足頂けただろうか?
次は何を贈ろうか?
ああ、そうだ。
次はハサミを贈ろう。
きっと、お喜びになるはず。
クスッ。
ああ、愉しい。
貴女を想うと、こんなにも胸が高鳴ります。
早くお会いしたいです。
僕の──────王女さま。




