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伯爵令嬢アメリア・レリクアは全力で何もしたくない〜前世で超多忙ワーママだったので今世では何もしたくありません〜  作者: 雨の日


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5/6

アルフレッドは明るい未来の為に忙しい

アルフレッドは充実していた。

後継を弟に譲り、騎士団の入団試験を受け見事合格。


元々筋が良かったのか、公爵家の演習場で専属の騎士達に基礎を学んでいたのが良かったのか。

メキメキと頭角を現し、1年経った頃には王宮騎士団として任命されるまでになった。


「やぁ、アルフレッド!久しぶりだな!」

王宮騎士団としての初日、顔を合わせた王太子に声をかけられる。

王太子の父と自身の母は兄妹であり、つまり王太子はアルフレッドのいとこなのだ。

「アーサー様、お久しぶりです」

「なんだ?改まった敬語で!いとこ同士で肩苦しいじゃないか」

「今は任務中ですので…」

「相変わらず真面目だな!君が上司かい?アルフレッドを貸してくれないか?久しぶりの再会だ、色々積もる話もあるんだよ」

隣にいた先輩騎士にそう言うと、先輩は頷き、話が終わり次第任務に戻るようアルフレッドに声をかけ離れていった。


「相変わらず強引だな、アーサー」

先ほどまでの肩苦しさを脱ぎ捨て、呆れた様子で話すアルフレッドをアーサーは楽しそうに見る。

「アルフレッドに言われるとはね!約束された栄光の道を捨てて選んだ職務はどんな感じだい?」

「楽しいよ。アーサーも知ってるだろ?私は貴族社会で上手く立ちまわれる器用さは持ち合わせてないんだ。身体を動かしてるほうが性に合う」

「それでも、生まれた時からあった贅沢を手放すのは大変だろう?生活水準がずいぶん落ちたんじゃないか?」

「ははは!確かにね。今は騎士寮に住んでいるんだが、最初はシャワーの水を温かくする方法がわからなくて暫く水で洗っていたくらいだ。服も満足に着られなくてね。シャツの手首のボタン、君は自分で付け外し出来るかい?」

「手首ボタンは使用人に付け外しさせるものだろう?」

「私もそう思っていたさ!でも見てくれよ、この騎士服。シャツの手首にボタンがあるけれど、騎士に使用人なんて付かないんだよ!」

「じゃあ、君1人で?凄いな、庶民はみんな出来るのか?」

「いや、庶民は手首ボタンはそもそも付けていない事が多いんだ。仕事の際に袖を捲くり上げるのが普通らしくてね。ボタンは邪魔らしいよ。平民からの叩き上げ騎士に教えてもらったんだ」


そんな会話を聞きながら行き交う使用人や護衛騎士は

(やっぱ、次元が違う世界で生きてるな…常識が違う…)

と生暖かい目で見ていたとかいないとか。



「時に、アルフレッド。君の麗しの婚約者、レディ・アメリアの活躍を耳にする機会が増えてきたよ。美しく聡明でしかも商才もあるとか。一介の騎士の婚約者なんて勿体ないと横槍を入れようとしている貴族が出始めているんじゃないか?」

「そうなのですか?」 

「知らないのか?」


実はアルフレッドとアメリアは婚約が整った後に数回顔を合わせたきり、全く会う機会がなかった。

アルフレッドが騎士団に入団し、寮に移ったこと。新しい環境で厳しい鍛錬に付いていくのに必死だった時期と、アメリアがミサンガで商会とやり取りする時期が被り、すっかり連絡が滞っていたのだ。


最後に手紙をやり取りしたのは半年前、手紙の封筒には、アルフレッドとアメリアの瞳の色に合わせたブルーとグリーンをセンス良く取り入れて編み込まれたミサンガが入っていた。

何かお礼にプレゼントしたかったが、生憎新人騎士に外出は許可されず、何も買いに行けなかった為、苦渋の決断として騎士団演習場の側に咲いていた可愛らしい花を1輪、プレゼントが無いことへの謝罪と共に封筒に入れ送り返したのだ。

それは今もアルフレッドの手首に巻かれており、常にアメリアの存在を感じられていたのも連絡が疎かになっていた一因かもしれない。


「……アルフレッド、それは不味いだろう」

「……そうだな。さすがに頭の悪い私でも察してしまった、どうしよう」

「今からすぐ向えばいい。花束とプレゼントを忘れるな!」

「いや、まだ勤務時間内…」

「いいから行け!王太子命令だ!」

そう言うと護衛騎士の一人にアーサーは、王太子命令でアルフレッドは今日は退勤したと騎士団に伝えるように命令する。

そして、たまたま通りかかった王宮騎士団の一人に目をつける。

「ダークライト!お前、女にモテるよな!?」

突然王太子に声をかけられた、ダークライトと呼ばれた騎士は目を丸くして固まった。

「モテるよな!?」

再び聞かれて、

「は、はい!アーサー様ほどではございませんが、それなりに…」

と冷や汗をかきながらしどろもどろである。

「よし!では、命令する。ココにいるポンコツ新人騎士に婚約者へ送る花束やプレゼントへのアドバイスをしてくれ」

そう言ってアルフレッドを指差す。


「本日より王宮騎士団所属となりました、アルフレッド・カークランドです。よろしくお願いします」

間違いなく場違いな自己紹介をして頭を下げるアルフレッドを見て、ダークライトと呼ばれた騎士は(なるほどポンコ…)と思った所で頭を振り、

「ダークライトだ。王太子命令により、今より街へ降りて婚約者殿へのプレゼントへのアドバイスを行う…」

と言うしかなかった。



話してみると気の良い脳筋の若者であったアルフレッドは、“可憐で美しく聡明な”婚約者のイメージに合わせた花束を選ぼうとしていたので、今貴婦人の間で密かに人気を集め始めているハーバリウムなる色褪せない瓶詰めのドライフラワーを薦めた。

プレゼントは宝飾品を好むか尋ねると、スイーツが好きだと言うので、今話題のプリンケーキなる新スイーツを教えてやる。


アルフレッドは脳筋らしい流行への疎さを見せ、なるほど先輩はとてもセンスが良いですねと手放しで褒めるので、ダークライトはこのアホ可愛い新人を生暖かい目で見守ることにした。


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