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10寸  作者: Rちゃん
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一寸先は闇

頑張って走った。息が切れるほど走った。なんとか学校にたどり着いたが、その瞬間校内にチャイムが鳴り響く。1年生の教室は3階だ。そこまで頑張って走らなければならない。あいにくチャイムはもう鳴り終わってしまっていた。廊下はシーンとしている。どのクラスも朝のホームルームが始まっているのだろう。


嫌だなぁ。教室に入るの。入らないでおこうかな。

このときの一瞬の迷いが後に後悔することになる。


いや!迷っていても仕方がない。遅刻したのは寝坊をした私が悪いんだ。諦めて入ろう。そう思い仕方なく教室の後ろの扉に手をかける。


その瞬間耳を塞ぎたくなるような叫び声が教室の中から聞こえた。私は驚きで体が硬直していた。


すると扉を開ける音がした。教室の前の扉だった。一斉にクラスメートが出てきた。泣き叫ぶ者。過呼吸になる者。友達を押す者。まさに地獄絵図だった。

他のクラスからも人が続々と出てきて、階段を下っていく。何も知らない私はどうすれば良いのか分からず、ただその場に立ち尽くしてしまう。

「何があったの?誰か教えて!」と叫びたいのにいつもと違う空気感から言葉を発することさえもできなかった。

誰もいなくなったと思っていた自分のクラスの教室から血だらけの先生が出てきた。まっすぐに私の方へ向かってくる。私は足が竦んで一歩も動けずにいた。しかし、先生は私の方をチラリと見て通り過ぎて何処かに行ってしまった。

「あいか落ち着いて聞いて。先生がおかしくなってる。みんなのことを噛もうとしたの。それでみんなが逃げ出したの。私は止めようとしたんだけど私もか……」

この声はかなだ。私に状況を伝えようとしてくれているんだ。最後の方はなんて言っているか分からなかったけど、今かながこの教室にいるのであれば先生からかなを守らないと。


このときは思いもよらなかった。まさか先生が人間じゃなくなっていたなんて。

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