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次元の瞳とスキル覚醒!? ポンコツ勇者、ご都合主義(?)でパワーアップし、故郷は魔獣大戦(と聖なるニンジンバリア?)~


水晶城は崩壊し、俺、ユートたちは辛くも異次元空間内の穏やかな森へと脱出した。しかし、安堵も束の間、S.A.G.E.からの緊急警報と共に、俺のポンコツオーラが引き起こした次元全体の不安定化、そして空間の裂け目から覗き込む巨大な『眼』の出現…!

「な…なんだ…あれは………」

それは、感情の読めない、ただただ巨大な『宇宙の瞳』とでも言うべき存在。見つめているだけで魂が吸い取られそうな、絶対的なプレッシャーがあった。フェンも銀狼たちも、本能的な恐怖に身動きが取れない。ポヨンちゃんは、俺の腕の中で気を失ったままだ。

『S.A.G.E.より緊急プロトコル発動:次元崩壊の危機を検知。マスターのユニークスキルに強制介入し、環境適応及び生存確率向上のため、緊急アップグレードシーケンスを開始します。…ガガッ…処理限界…エラー…グッドラック…マスター…ザザ…』

S.A.G.E.の声が、そこで完全に途絶えた。

「え、おいS.A.G.E.!?アップグレードって何だよ!?」

俺が叫んだ瞬間、脳内に直接、新たな情報が流れ込んでくる!

《ユニークスキル:絶対安全拒否【セーフティ・リジェクション】が進化しました! → 絶対安全拒否・改【セーフティ・リジェクション・リブート】》

《効果:あらゆるセーフティ機能、保護措置、安全策を自動的に拒否するのは変わらず。ただし、拒否された安全策が実は『罠』であった場合、その看破確率が微増。また、強制選択される『よりスリリングな選択肢』が、稀に『奇跡的な大逆転』または『一周回ってなぜか安全』な結果を招く『カオス的幸運誘引』の特性を獲得。ただし、基本的にはより死にやすくなる諸刃の剣であることに変わりはありません》

《ユニークスキル:誤変換【ミストランスレート】が進化しました! → 超誤変換【ハイパー・ミストランスレート】》

《効果:あらゆる言語情報がランダムに誤変換されるのは変わらず。ただし、誤変換のパターンがより多彩かつ奇想天外に。稀に、誤変換された情報が、元の情報よりも『本質を突いた予言』や『隠された真実の断片』になることがある。また、マスターの言葉も同様に超誤変換され、単純な思考の敵対存在を『高確率で混乱させる』『稀に心酔させる』効果が追加。ただし、味方との意思疎通は絶望的に困難になるでしょう》

「な、なんだこの…微妙にパワーアップしてるけど、根本的なポンコツさは変わってないどころか悪化してるスキルはーーーっ!?」

俺が絶叫している間にも、『宇宙の瞳』はゆっくりと俺たちに焦点を合わせ、その瞳孔が収縮していく!何かヤバイものが来る!

その時、【セーフティ・リジェクション・リブート】が強制発動!

《最も安全な「その場で気絶してやり過ごす」を拒否。代わりに「目の前の宇宙の瞳に向かって全力でデコピンをする(次元破壊級)」を実行します》

「デコピンンンンンンンンン!?できるかそんなもんんんんんん!」

俺の身体が、またしても勝手に動き出す!右手の親指が、ありえないほどの力でしなり、宇宙の瞳へと狙いを定める!

絶体絶命かと思われたその瞬間、俺の背後で、ポヨンちゃんを抱えていたフェンが「ユート殿!今ダ!」と叫び、俺の尻を思いっきり噛みついた!

「ぐええええええええええええええええええっ!?」

フェンの強烈な一噛み(愛の鞭か!?)で俺の身体のバランスが崩れ、デコピンはあらぬ方向へ発射!…されず、その衝撃で俺は地面に倒れ込み、結果的にデコピンは不発に終わった!

しかし、その拍子に、俺のポケットから例の『伝説の賢者の鼻毛レプリカ』(元・森の珍味ネズミの尻尾)がポロリとこぼれ落ち、なぜか『宇宙の瞳』の直下にフワフワと漂った。

『宇宙の瞳』は、その鼻毛レプリカをじーっと見つめ、数秒後、プイッ、と興味を失ったようにどこかへ消えてしまったのだ。

「…………え?助かった…のか…?鼻毛レプリカのおかげで…?」

何が起きたのか全く理解できないが、とにかく俺たちは生き延びたらしい。ありがとう、森の珍味ネズミ。

その頃、ユートピア村(仮称)では、西の森から溢れ出した異形の魔獣たちが、村の防衛ラインに襲い掛かっていた。それは、まるで悪夢から抜け出してきたかのような、影でできた獣や、複数の動物が歪に融合したような怪物たちだった。

「皆、怯むな!絶対に村は通さんぞ!」バルガスが斧を振るい、魔獣の一体を叩き伏せる。

「投石隊、もっと集中して!弱点は頭のはずよ!」リリアナが見張り櫓から的確な指示を飛ばす。

しかし、魔獣の数はあまりにも多く、村の柵が少しずつ破壊されていく。

ルルナは、マーサやイモグラーンと共に、村の入り口付近で『光る薬草』と『清めの石』、そして大量の『虹色ニンジン』(なぜか供物として大量に用意されていた)を使って、必死に結界を構築しようとしていた。

「精霊様…どうか、私たちの村を…みんなを…お守りください!」

ルルナの祈りが最高潮に達した時、彼女が掲げた虹色ニンジンが、まるで灯火のように眩い光を放ち始めた!その光が、村の入り口に薄い、しかし確かな光の壁――『聖なるニンジンバリア(仮称)』――を形成したのだ!

魔獣たちは、そのニンジン色のバリアに触れると、ジュッと音を立てて後ずさる!

「おおっ!ルルナちゃんのニンジンが…!」「奇跡だ!」

村人たちから歓声が上がる。しかし、結界は万能ではなく、より強力な魔獣がバリアを叩き、徐々にヒビが入り始めていた。

巨大発光キノコの森。

フレア(理性モード)とクルトは、エルミナ(「♪ユート様、見てくださいまし!虹色の綿あめドラゴンですわ~♪」と、巨大な光るナメクジに話しかけている)と、ギンジ(「このキノコの根っここそ、大地のヘソ!ここからなら聖剣のありかへワープできるはずだ!」と、キノコの根元を掘り返している)を何とか説得(というより誘導)し、巨大な島亀の甲羅の縁にたどり着いていた。

「クルトさん、あの崖から島亀の背中までは、およそ50メートル。あなたの発明品で、安全に渡る方法はありますか?」

「ふむ!それならば、この『伸縮自在・超強力粘着ワイヤー射出機(試作品・ただし一度くっつくと二度と取れない可能性あり。対象が生物の場合、懐かれるバグも確認)』が最適だろう!」

クルトが取り出したのは、蜘蛛のような形をした機械だった。

「…絶対に嫌な予感しかしませんね」フレアはそう言いながらも、他に手段がないことを悟っていた。「私が先に行きます。エルミナさんとギンジさんを頼みます」

フレアはワイヤー射出機を構え、島亀の背に生える巨大な樹木を目掛けて発射!ワイヤーは見事に命中し、フレアは巧みに身体を操り、島亀の背へと渡っていく。

彼女が島亀の背の森に足を踏み入れた瞬間、背後の寺院から、再び鋭い光が放たれ、そして…地の底から響くような、重々しい鐘の音が一つ、ゴオオオンと鳴り響いた。

フレアは、その音の先に、何かとてつもない存在の気配を感じ取り、ゴクリと息を呑んだ。

そして、俺、ユートたちはというと…。

『宇宙の瞳』が去った後、俺たちはしばらく呆然としていたが、フェンが「いつマデ気ヲ抜イテイル!早クコノ次元カラ脱出スル方法ヲ探スゾ!」と一喝。

俺は気を取り直し、周囲を見渡す。そこは、先ほどの森とはまた違う、クリスタルでできた木々が生い茂る、奇妙な平原だった。

「(S.A.G.E.もいなくなっちまったし、どうすりゃいいんだ…)」

俺が途方に暮れていると、【セーフティ・リジェクション・リブート】がまたしても何かを感知したらしい。

《最も安全な「その場で助けを待つ」を拒否。代わりに「目の前のキラキラした池に飛び込み、新世界の冒険を開始する(ただし高確率で別次元のトイレに繋がっている)」を選択します》

「トイレええええええええええええ!?」

俺の身体が、目の前にあった、どう見てもただの美しい泉に向かって、華麗な飛び込みを見せようとしていた!ポンコツ勇者の明日は、常に予測不可能なのであった。

ポンコツ勇者、スキル進化でさらにカオスな未来へダイブ!村はニンジンパワーで防戦一方!フレア、巨獣の背で鐘の音を聞く!そしてユートは異次元トイレツアーへ出発!?次回、それぞれの運命が交差…はしないかもしれないけど、とりあえず胃が痛い!

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