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村は進化の途中アルか? ポンコツ勇者、語尾と共に南へ向かい、仲間は魔境で大苦戦(と発明品暴走)~


交易都市ミツバの門を後にした俺、ユートは、ポヨンちゃん(ニジカ)と共に、S.A.G.E.が示した南南東の方角へと歩みを進めていたアル。

「それにしても、三百キロって結構な距離アルな…途中で野宿も覚悟しないとダメアルか…」

「ゆーとしゃま、だいじょぶー?なんだか、へんなしゃべりかたー」

ポヨンちゃんが、不思議そうに俺の顔を見上げてくる。ああ、この純粋な瞳が痛いアル。まさか副作用でこんなメルヘンチックな語尾になるとは、あのじいさんも教えてくれなかったアル。

「こ、これはだな、ポヨンちゃん。異国の言葉を勉強しているのアルよ。グローバルな勇者を目指して…なんてな、ハハハ…アル」

我ながら苦しすぎる言い訳アル。

『S.A.G.E.より進捗報告:マスターの「~アル」語尾、定着率75%。ポンコツスキル『愛と癒しのラブリーピンクオーラ(覚醒Ver.)』の影響か、周囲の小動物がマスターの発言に親近感を覚える事例を複数確認。ただし、言語を解する知的生命体に対しては、著しい威厳の低下と「この人、大丈夫か?」という不信感の醸成効果も観測されているアル』

「(余計なお世話アル!というか小動物に好かれても嬉しくないアル!腹の足しにもならんアル!)なあS.A.G.E.、エルミナたちは本当に大丈夫アルか?あと、村の皆も心配アル…俺たちがこんなことしてる間、村はどうなってるアルか?」

俺の問いに、S.A.G.E.は少しのタイムラグの後、応答した。

『S.A.G.E.よりユートピア村(仮称)定期報告:村は現在、リリアナ嬢及びバルガス氏の指揮のもと、防衛体制の強化と生活基盤の拡充が同時進行中アル。

特筆すべき事項として、

1.クルト氏が残した『自動クワ入れ機(太陽光充電・ただし時々暴走して畑をサンバ会場にする)』をイモグラーン氏が改良。ルルナ嬢の精霊魔法による土壌活性化と合わせ、カオス農園の収穫量が1.5倍に増加。踊る野菜の副作用も、ややマイルドになったとの報告アル。

2.雪原アルパカたち、フレア嬢が不在のためか比較的穏やか。バルガス氏の妻、マーサ(初登場)による丁寧な世話と、ポヨンちゃんが浄化した牧草の効果で、アルパカミルクの質が向上。村の子供たちの貴重な栄養源となっているアル。

3.クルト氏の設計図を元に、村の若者たちが『簡易見張り台兼・投石櫓(人力)』を建設中。リリアナ嬢が熱血指導にあたっており、村全体の士気は高い模様アル。

総じて、村は外部の脅威に備えつつも、着実に発展の道を歩んでいると言えるアル。ただし、マスター及びエルミナ嬢たちの不在による精神的支柱の欠如は否めず、早期帰還が望まれるアル』

「そうか…みんな、頑張ってるアルな…」

少しだけ、胸が熱くなった。俺がポンコツでも、村の皆はたくましく生きている。俺も負けてられないアル!

その頃、エルミナたちが飛ばされた未知の秘境――巨大発光キノコの森。

「グギャアアアアアアッ!」

カマキリと狼を合体させたような魔獣――エルミナが仮に『カマキロウルフ』と命名――の最後の一体が、フレアの放った矢を眉間に受け、断末魔の叫びと共に倒れ伏した。

「はぁ…はぁ…な、なんとか…なった…みたい…?」

フレアが弓を下ろし、その場にへたり込む。エルミナも杖を支えに荒い息をつき、ギンジは肩の傷を押さえながらも、周囲への警戒を怠らない。

「ちっ…こいつら、見た目以上に厄介だったぜ…。動きが素早すぎる」

「ええ…。それに、この森、どうやら生態系がかなり特殊なようですわね。あの発光キノコも、何か毒性や幻覚作用のある胞子を飛ばしている可能性も…」

エルミナが、周囲の巨大キノコを険しい目つきで観察する。

クルトはといえば、カマキロウルフの死骸に駆け寄り、「素晴らしい!この爪!この甲殻!新素材の宝庫だ!持ち帰って徹底的に分析せねば!」と、またしても研究者の血を騒がせていた。その手には、いつの間にか解体用のメスとサンプル袋が握られている。

「クルト!今はそんな場合では…!まずは安全な場所を確保し、状況を把握するのが先決ですわ!」

「しかしエルミナ君!このチャンスを逃す手は…」

「いいから!この死臭に釣られて、さらに厄介なものが来るかもしれませんのよ!」

エルミナが一喝すると、クルトは不承不承ながらも解体作業を中断した。

一行は、比較的キノコの密度が低く、見通しの良い小高い丘を見つけ、そこを一時的な拠点とすることにした。幸い、近くには湧き水もあり、飲み水の確保はできた。

「問題は食料と、ここがどこなのか…ですね」

エルミナが厳しい表情で呟く。ギンジが持っていた非常食も残りわずかだ。

「なあ、クルトの旦那。おめえのそのポンコツ発明品の中に、食いもんを出すやつとか、帰り道が分かるやつとかはねえのかよ?」

ギンジが尋ねると、クルトは自信満々に胸を張った。

「ふっふっふ。食料問題なら、あるいはこの『物質再構成型・万能フードクリエイター(試作品・ただし稀に未知の暗黒物質を生成し、食べた者のSAN値を直葬する)』が役に立つやもしれん!」

彼が取り出したのは、弁当箱サイズの、これまた怪しげな機械だった。

「「「絶対にやめておけ(ください)!!!」」」

エルミナとギンジとフレアの悲鳴のような声が、再び森に響いた。

フレアは「もう…普通のパンとかお肉が食べたいよぉ…」と半泣きになっている。

エルミナは深いため息をつき、頭を抱えた。

「(…ユート。あなたがいたら、あなたのポンコツスキルが、こんな状況でも何か奇跡的な食料を…例えば、巨大などら焼きとか、山盛りのナポリタンとかを…いえ、それはそれで困りますわね…)」

なぜか無性に胃が痛むエルミナだった。

日が傾き始め、紫色の空が徐々に闇を深めていく。巨大なキノコたちは、その発光を一層強くし、森全体を幻想的かつ不気味な光で照らし出していた。

ユートピア村(仮称)では、リリアナが子供たちに剣の稽古をつけ、バルガスが若者たちと見張り台の最後の仕上げに取り掛かっていた。イモグラーンは、改良された自動クワ入れ機(今日はサンバを踊らずに真面目に働いている)を満足そうに眺め、マーサはアルパカたちに優しい歌を歌いながら乳を搾る。それぞれの日常が、そこにはあった。

彼らはまだ知らない。エルミナたちが未知の魔境でサバイバルを強いられ、ポンコツ勇者が「~アル」言葉で仲間を救うべく珍道中を繰り広げていることなど、夢にも思わないだろう。

そして俺、ユートは、ポヨンちゃんと共に、最初の夜を迎えるべく野営の準備を始めていたアル。

「さて、と…。火でも起こして、干し肉でも焼くアルか…」

俺がそう呟き、乾燥した小枝を集めようとした、その時だった。

ガサガサッ!

近くの茂みが大きく揺れ、何者かが飛び出してきた!

「な、なんだアルか!?」

俺はとっさにポヨンちゃんを背後にかばい、身構える。

暗がりから現れたのは――全身が傷だらけの、しかし目つきだけは鋭い、一匹の巨大な狼だった。その狼は、俺の姿を認めると、なぜか警戒を解き、その場にドサリと倒れ込んだ。そして、苦しそうな息の下から、一言だけ呟いたのだ。

「…ミツケタ……『ピンクノ…ヒカリ』……タスケテ…クレ…」

「えええええ!?狼が喋ったアルか!?」

しかもピンクの光って、俺のラブリーピンクオーラのことアルか!?

俺のポンコツスキルは、ついに動物との会話まで可能にしたというのか!?いや、それ以前に、この狼、どう見ても普通じゃないアル!

俺の胃痛と「~アル」語尾は、まだしばらく続きそうだった!?

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