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六章『剣師(ソードマスター)』③

3




洞窟のある丘の上。


人間から奪い取った城壁に囲まれたボロボロ古城の暖炉のある広間をそのまま根城にしている部隊長の元へ。


息を切らしたオークが駆け込んでくる。


「トゥエルブ様、大変です!」


「やかましい! 俺様は食事中だ!」


身長が3メートルはあるかという筋骨隆々の肉体で、三人掛けの横長のソファをほとんど一つの体で埋め尽くして座っている。


オーク達を束ねる魔王軍十二部隊『隊長』オーガ・トゥエルブは角の生えた額に青筋を立てて部下に怒鳴ると、大量のクリームが乗ったパンケーキを素手で掴んで丸ごと口に運んだ。


「で、どうした?」


「あ、はい」


少ない咀嚼のあと、口の周りにクリームをつけたままの部隊長に聞かれ、オークは途中だった報告を再開する。


「そ、それが奴隷として連れてきたという傭兵の男がゴブリン達の洞窟の中で暴れて、多くの仲間達を返り討ちにしたそうです!」


「冒険者でもない者が……だと?」


「わたしも信じられませんがそのようです!」


耳を疑った報告にトゥエルブが聞き返す。しかし、どうやら彼の聴力に異常は無いようだった。


「その男はどこだ!」


「見張りの話では、先ほど洞窟から村の方角に他の奴隷を引き連れて走り去っていったようです」


「逃げられたのか!」


「申し訳ありませんっ」


「ぬぅ、追手は?」


「はい、数体のオークに隊を組ませて後を追わせています!」


「そうか……」


「はい!」


「ならば、すぐに村に向かうぞ」


「トゥエルブ様もですか!?」


驚く部下をトゥエルブが睨む。


「数で圧倒的に勝っておきながら敗北した部下にこれ以上、何を任せられるか! 着いてこい!」


「ハッ!」


すぐに立ち上がって部屋を大股で出ていくトゥエルブを、部下のオークは彼に追い付くために必死で追いかけた。

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