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新・私のエッセイ:2号館(No.101~200)

新・私のエッセイ~ 第182弾 ~ 『クラレッタ・ペタッチ』~ 本気でムッソリーニを愛した女性

 ・・・第二次世界大戦末期。


 枢軸国すうじくこくである、


 大日本帝国、ナチスドイツ・・・


 そして、イタリアの三国は、『日独伊三国同盟』を結び、アメリカを中心とした連合国と、熾烈しれつな戦いを続けておりました。


 日本が、アメリカ、ハワイの真珠湾を奇襲攻撃したのを皮きりに、太平洋でも戦線が拡大し・・・最終的には、広島・長崎への原爆投下で、無条件降伏・終戦。


 ヨーロッパでも、


 スターリングラード攻防戦のすえ、ナチスドイツの大敗退、ベルリン包囲・・・降伏、終戦となりました。


 ナチスと組んだイタリアも、


 北アフリカでの敗北以降、国内のパルチザン(= 抵抗勢力)の台頭たいとうもあり、


 独裁者、『ベニト・ムッソリーニ』が失脚。


 イタリアも降伏し、連合軍の支配下に入ります。


 ムッソリーニの愛人・・・情婦じょうふだった、若き恋人、


 『 クラレッタ・ペタッチ』も、パルチザンに逮捕されてしまいます。


 ムッソリーニの最大の誤算は、


 アドルフ・ヒトラーと組んだことでした。


 ナチスドイツの第三帝国に招かれた彼は、その軍隊の規律・統率に圧倒され、自身が以前はみくびっていたヒトラーに、いつしか惚れこみ、そして心酔します。


 近隣諸国を次々に併合・侵略していたヒトラーに、かつてのイタリア・・・ローマ帝国の栄光の日々の復活を夢見てしまったのかもしれません。


 そして、イタリア以外の国でのムッソリーニの評価といえば・・・


 『実に滑稽こっけいな人物』となっております。


 しかしながら、


 あのエジソンも、ストラヴィンスキーも、ロシアのゴーリキーも、


 彼を「卓越した知識人・英雄」として敬意を払っておりました。


 当時の日本でも、『ムッソリーニ首相のひとにらみは千両』とまで、高く評価されていましたね。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ムッソリーニには、正妻のほかにも、先に紹介しましたように、


 クラレッタ・ペタッチという愛人がおりました。


 ふたりはパルチザンに逮捕され、別々に幽閉されていたのですが、


 ムッソリーニが、


 「クラレッタに、よろしく伝えてくれ。」と伝言を伝えると、クラレッタは、泣きながら、


 ムッソリーニのそばに行かせてほしいと懇願します。


 そして二人の処刑のとき。


 最後の最後にムッソリーニは、クラレッタの愛が、ウソいつわりのない、本当の本物であったことを知ります。


 パルチザンの機関銃がいっせいに火をくと・・・


 クラレッタは、身をていしてムッソリーニをかばい、


 自らが愛し、崇拝し、あこがれていた意中の大切な人とともに、


 ミラノのガソリンスタンドに、そろって逆さ吊りにされました。


 ・・・遺体は、市民によって辱められ、殴られたり、石を投げつけられたりしました。


 クラレッタの遺体などは、


 スカートがめくれ、性器があらわになってしまっていたので、心ない市民の、卑猥ひわい嘲笑ちょうしょうにさらされたのです。


 偶然その場にいた若い神父が、おもわず駆け寄って、遺体を吊るすのに使われ、放置されていたハシゴをかけ、


 クラレッタのスカートをたくしあげると、市民の罵声ばせいの中・・・


 腰に巻いていた自分のベルトで彼女の遺体の脚にスカートをくくりつけて性器を隠してあげた、とのことでした。


 このときの市民の蛮行ばんこうを評して、


 かつてイタリア全土をまとめあげた英雄と、その恋人に対し、死者への冒涜ぼうとくだとして、


 「恥を知れ!」という者もいたのです。


 いまも、ムッソリーニの評価はまっぷたつに割れ、


 夜になると、ムッソリーニの墓や、二人が処刑された壁に、つばを吐いたり嫌がらせの小便をする不届き者もいるらしいですが・・・


 ともかく、


 クラレッタの死は、


 20世紀で最も感動的な恋愛物語として結晶し、そして、


 昇華されています。


 ムッソリーニ自身、処刑の際には、いっさい動揺やおびえなど見せず、コートの胸をはだけて、


 「胸を撃て!」と、自分の殺害者をキッとにらみつけたということです。


 ・・・ぼくは、ムッソリーニが、心底しんそこうらやましい。


 クラレッタのように、盲目的な、ゆるぎない愛の心で、


 最後の最後の土壇場どたんばで、


 身を投げ出してぼくをかばってくれる・・・


 そんな、『本物の恋人』がほしい。


 m(_ _)m 

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