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93p

翌朝、シルバークイーン侯爵家の食卓に現れたレノとユフィは、目がはれにはれまくっていた。その姿を見た家族たちは、一瞬静かに彼らを見つめたが、すぐに笑いをこらえきれずに大爆笑となった。


「おはよう、二人とも。」マーメルドは笑いながら言った。「昨晩はよほど感動的な夜だったようだね。」


レノは少し恥ずかしそうに微笑み、「ええ、ちょっといろいろありまして…」と答えた。


ユフィも頬を赤らめながら、「すみません…ご迷惑をおかけしました…」と頭を下げた。


マーメルドの隣に座っていたマータントも微笑みを浮かべ、「まあまあ、若い二人にはよくあることだ。それにしても、君たちの顔を見るだけで昨晩がどれほど特別だったかが分かるよ。」と冗談を交えながら言った。


その言葉に再び笑いが起こり、レノとユフィも少しずつリラックスして笑顔を見せた。


その言葉に再び笑いが起こり、レノとユフィも少しずつリラックスして笑顔を見せた。笑い声が静まり、食卓が落ち着きを取り戻すと、レノは深呼吸をして、マーメルドに向き直った。


「マーメルド様、昨日のご提案についてですが…」レノは真剣な表情で口を開いた。「私、シルバークイーン家の養子になることを決めました。」


その言葉に食卓の全員が驚きの表情を浮かべた。マーメルドは一瞬黙り込んだが、すぐに大きな笑顔を浮かべ、「本当に?レノ、それは素晴らしい決断だ。君がシルバークイーン家の一員として迎え入れられることを心から喜んでいるよ」と力強く言った。


ユフィも隣の席のレノの手を握り、微笑んだ。


マータントも嬉しそうに頷き、「やれやれ、やっとか。俺がどれだけ苦労してたきつけたことか」と温かく言った。


「えぇ!?今までのは演技だったのですか?」と驚くレノ。


マータントは笑いながら肩をすくめ、「お前は鈍すぎだ。そんなんじゃ従者になんてなれないね。貴族にでもなってユフィの旦那してるほうがよっぽどお似合いだ」と冗談交じりに言った。


その言葉に食卓の皆が笑い、和やかな雰囲気がさらに広がった。ユフィは頬を赤らめながら、「もう、マータント様ったら…」と照れくさそうに微笑んだ。


レノは少し困惑しながらも、周囲の温かい言葉に感謝の気持ちを抱き、「これからは貴族としての責任も果たしていきます。ユフィを守り、幸せにするために。」と決意を新たに述べた。


マーメルドは微笑みながら、「その意気だ、レノ。君ならきっと素晴らしい貴族になれる。そして、ユフィを幸せにしてくれるだろう。」と励ました。


食卓は再び笑いと祝福に包まれ、レノとユフィは新たな未来に向けての一歩を確実に踏み出した。



――――――――――

――――――


そして二人は、その報告をするために一度レッドナイト公爵邸へと帰還した。


レッドナイト公爵邸に到着すると、二人は久しぶりの帰宅に胸が高鳴るのを感じながら、堂々と門をくぐった。庭の花々が色鮮やかに咲き誇り、風が心地よく吹き抜ける中、二人の姿が屋敷に迎え入れられた。


屋敷の正面で待っていたユリドレとメイシールは、愛娘のユフィと従者ゼノの息子レノが戻ってきたことに感慨深げな表情を浮かべていた。ユリドレの目には、久しぶりに会う二人を見て喜びが溢れており、彼の口元には微笑が浮かんでいた。メイシールもまた、温かい眼差しで二人を迎え入れ、彼らがどれほど成長したかを感じ取っていた。


ユリドレが一歩前に進み、優しく微笑みながら口を開いた。

「レノ、ユフィ、久しぶりだな。二人とも元気そうで何よりだ。」


レノは父のように慕うユリドレの言葉に応え、少し照れくさそうに微笑んだ。「公爵様、奥様、ただいま。長い間お世話になりました。」


ユフィも続けて頭を下げ、「お父様、お母様、本当にお久しぶりです。お元気でしたか?」と礼儀正しく尋ねた。


ユリドレは大きく頷き、「もちろんだ。お前たちのことをいつも気にかけていた。」と温かい声で言った。彼の目には誇らしさが宿り、娘とそのパートナーが立派に成長したことを喜んでいる様子が伝わってきた。


メイシールは一歩前に出て、二人を抱きしめるようにして迎え入れた。

「二人とも、長旅お疲れ様。さあ、中に入って話しましょう。いろいろと聞きたいことがたくさんあるわ。」と優しく促した。


レノとユフィはメイシールの言葉に従い、家の中へと足を踏み入れた。廊下を歩きながら、二人は幼い頃に過ごした思い出の場所が次々と目に入り、懐かしさと共に新たな決意を胸に抱いた。彼らの帰還を祝福するために、屋敷中が温かい雰囲気に包まれていた。


廊下を歩いていると、「あ、もしかして…お姉様ですか?」と声がかかった。ユフィとレノが振り向くと、そこには背が高く、真っ赤な髪の毛を持つ青年が立っていた。


「もしかして…レイ?」ユフィは戸惑いながら尋ねた。


青年は笑いながら首を振った。


「え?違いますよ。僕は三男のドレイクです!」


「そうなのね…って三男!?え!?どう見ても私より年上に見えるじゃない!」ユフィは驚きの声を上げた。


ドレイクはとても筋肉質な体と高身長で、年下にはとても見えなかった。彼の体格は堂々としており、顔立ちはどこか力強さを感じさせたが、父や母には似ていなかった。ただ、その瞳の色だけは綺麗なブルーで、ブルービショップ家の血筋を思わせた。それを見た瞬間、ユフィの胸が少しキュッとなった。


ユフィが屋敷を離れる時、ドレイクはまだメイシールのお腹の中だった。生まれたのが弟というのは手紙で知っていたが、レノとの過ごす日々に夢中で、公爵邸へは一度も帰っていなかったのだ。


「本当にドレイクなのね…」ユフィはしばらく彼を見つめ、驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべた。「大きくなったわね…」


ドレイクは照れくさそうに笑い、「そうですね、お姉様がいない間に僕も成長しました。ずっと会いたかったんですよ」と言った。


ユフィはその言葉に微笑み、「ごめんなさい、こんなに長い間離れていて。でも、これからは一緒に過ごせるわね」と優しく言った。


レノもドレイクに向かって微笑み、「初めまして、ドレイク。僕はレノ。よろしく。」と手を差し出した。


ドレイクはその手をしっかりと握り返し、「よろしくお願いします、レノさん」と力強く答えた。


すると、凄く背が伸びて大人になったメアルーシュが小さな赤ちゃんを抱っこしているエルレナらしき人物と共に、赤髪の男の子と女の子に挟まれて此方に歩いて来た。


「ルー兄様…。」ユフィは涙ぐんだ声で叫び、勢いよくメアルーシュに抱き着いた。


メアルーシュは驚きの表情でユフィを見つめた。

「え?ユフィ!?本当にお前なのか?」と問いかけ、彼女をしっかりと抱き返した。


「長い間離れててごめんなさい!」ユフィはそのまま顔をメアルーシュの胸に埋め、懐かしさと安心感から涙を零した。


メアルーシュは少し笑いながら、ユフィの頭を優しく撫でた。

「……全く。手紙1つ寄こさない薄情な妹め。」その言葉には優しさと嬉しさが溢れていた。


ユフィは涙を拭いながら、照れくさそうに笑った。

「えへへ…。」


その時、赤髪の女の子が元気に叫んだ。

「あーー!ずるいーお兄ちゃんは私も抱っこー!!」彼女はユフィの足元で飛び跳ねながら、メアルーシュの注意を引こうとしていた。


メアルーシュは笑いをこらえながら、ユフィを優しく引き離してから、女の子を優しく抱き上げた。「はいはい、順番だぞ。」


一方、男の子はユフィを興味津々に見上げて、「兄ーさまーこのひとだれー?」と尋ねた。


メアルーシュは微笑みながら子供たちに答えた。

「お前たちのお姉様だぞ。ユーフィリア、こっちが妹のメリーシャでこっちが弟のユメリドだ。まだ下に弟がいるが…まぁ、父さんと母さんの部屋にでもいけば会えるだろう。」


メリーシャは驚いた表情でユフィを見つめ、「お姉様?ほんとに?」と聞き返した。


ユフィは驚きと感動が入り混じった表情で、二人の子供たちを見つめた。メリーシャは10歳前後だろうか、燃えるような赤い髪の毛に赤い瞳が印象的だった。彼女は元気いっぱいで好奇心に満ちた瞳をしていた。


一方、ユメリドはメリーシャより少し幼く、黒髪に赤色のメッシュが入っていて、瞳の色は淡いピンク色だった。彼は少し恥ずかしそうにしながらも、興味津々にユフィを見つめていた。


ユフィは優しく微笑み、彼女の頭を撫でながら言った。

「ええ、そうよ。久しぶりに帰ってきたの。」


エルレナも赤ちゃんを抱いたまま近づいてきて、微笑んだ。

「ユフィ、おかえりなさい。元気そうで何よりですわ。」


ユフィはエルレナにも微笑み返し、赤ちゃんを見ながら言った。

「ただいま、エルレナ様。えっと…その…赤ちゃんは…。」


「これは私とルーの娘です。2年前に結婚したで…。」


メアルーシュも笑顔を浮かべて、「そうだ、ユフィ。お前が全くパーティーに出席したがらないから、俺たちも結婚披露宴は見送ったままだ。」と冗談混じりに言った。


ユフィは驚きと申し訳なさが入り混じった表情で、「そんな…ごめんなさい。でも、もう大丈夫ですから!ちゃんと出席します!」と言いながら力強く頷いた。

なんだか最終回的な雰囲気でてますが…実はまだ…闇…いえ、病みの深い話が…

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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