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62p

レッドナイト公爵家の壮麗な庭園は、私の16歳の生誕パーティーに向けて美しく飾られていた。青空の下、咲き誇る花々と緑の芝生が広がり、庭園全体が祝福の空気に包まれている。妊娠八ヶ月のお腹を抱えながら、この特別な一日を迎えるために心が躍っていた。


朝早くから準備が始まり、使用人たちは忙しく動き回っていた。テーブルには白いクロスがかけられ、美しい花のアレンジメントが並べられている。庭園の木々にはシャンデリアのように輝くクリスタルの飾りが取り付けられ、光を反射してきらめいていた。


私はユリの指定で純白のドレスを身にまとい、邸内で最後のチェックを行っていた。長い桃色の髪は丁寧に編み込まれ、純白のドレスが私の可憐な姿を引き立てている。鏡に映る自分の姿を見つめ、胸に手を当てて深呼吸をした。


「あぁ…まるで女神だ。メイ、本当に美しく成長したね…。僕にはもったいないくらいだ。本当に僕のものなのか…。」ユリの目には涙が溜まり、優しく微笑みながら私を見つめていた。彼の言葉には真心と感動が込められていて、私の心に深く響いた。


ユリもまた純白のタキシードを着ていて、その姿はまるで結婚式のようだった。でも、彼があまりにカッコイイからそれも良いか、と私は思った。


彼はドレスが皺にならないように慎重に抱きしめ、私の額に軽くキスを落とした。その瞬間、彼の温もりと愛情が全身に広がり、胸がいっぱいになった。


「ユリ?試着も見たじゃない。泣かないでよぉ。」私は彼の背中をポンポンと撫でて、安心させようとした。


ユリドレは一瞬目を閉じ、涙をこらえながら深呼吸をした。


「メイ、アナタがこんなに美しく成長してくれたことが、本当に嬉しくて…。アナタが俺のそばにいてくれることが、夢のようで信じられないんです。」


彼の声は感極まって震えていた。


「ユリ、私はいつもあなたのそばにいるじゃない。」


彼の瞳には私への深い愛情が宿っていて、その目を見つめるたびに私の心は安らいだ。


ユリはもう一度深呼吸をし、涙を拭いながら微笑んだ。


「では、改めて…。メイ、お誕生日おめでとうございます。立派なレディになりましたね。」


「ありがとう、ユリ。」


私は彼の頬に手を添えて、背伸びをして頬にキスをした。今までは背伸びしただけでは届かなかったが、今では届くようになった。そもそも今までずっと抱きかかえられていたような気がする。それも、もうお終いね。




ユリが私の手を取って庭園までエスコートしてくれた。私たちは腕を組んで、邸内の広い廊下をゆっくりと歩きながら、ゲストたちが待つ庭園へと向かった。ユリドレの腕の中で、私は安心感と喜びを感じながら歩を進めた。


「メイ、生まれてきてくれてありがとうございます。」ユリドレは優しく囁きながら、私を庭園へと導いた。


庭園に到着すると、そこには美しく飾られたテーブルと花々が広がっていた。ゲストたちは既に集まっており、私たちの到着を待ちわびていた。彼らの視線が私たちに集まり、温かい笑顔が広がった。


「メイシール様、お誕生日おめでとうございます!」一斉に祝福の声が上がり、その場に笑顔と歓声が溢れた。


ユリドレは私の手をそっと離し、私を前に押し出すように促した。


「行ってください、みんなに挨拶をしてきてください。今日はアナタが主役です。」


私は緊張しながらも、深呼吸をして一歩前に出た。周囲の笑顔に勇気をもらい、一人一人に挨拶を交わした。


「ありがとうございます。今日は皆さんと一緒に過ごせて、本当に嬉しいです。」


久しぶりの父様と母様、シルバークイーン家の人たちが私に温かい言葉をかけてくれるたびに、胸が温かくなった。私は感謝の気持ちを込めて、一人一人に丁寧にお礼を述べた。


「メイシール、本当におめでとう。素晴らしい一年になりますように。」母が微笑みながら言った。

「ありがとう、お母様。今日は本当にありがとう。なかなか会いにいけなくて、ごめんなさい。」

「良いのよ。子供達をみればアナタがどれだけ幸せか分かるわ。」

「お母様…。」


ゲストたちは庭園に設けられたテーブルに座り、美しい景色を楽しみながら歓談を始めた。シェフたちが用意した豪華な料理が次々と運ばれ、香ばしい香りが辺りに漂っていた。ユリと共にテーブルを回り、一人一人と会話を交わすうちに、愛する人々に囲まれている喜びと感謝の気持ちが胸に広がった。


「メイ、疲れていませんか?」


「大丈夫よ。ありがとう。」


パーティーのハイライトであるケーキカットの時間が近づいてきた。巨大なケーキが運ばれてくると、ゲストたちから歓声が上がった。


「え?なんだか、注文したケーキと違うようだけど。」

「当たり前です。結婚披露宴も兼ねていますから…。」

「えぇ!?いつの間に!?」

「メイが鈍くて助かりました。サプライズというやつです。ここからは俺と一緒に結婚披露宴です。」


ユリと一緒にケーキの前に立ち、ナイフを持った。周囲のゲストたちの視線が集まり、祝福の拍手が鳴り響いた。ユリドレの手が私の手をしっかりと包み込み、その温もりが私の心に安心感をもたらした。


「メイシール、愛しています。」ユリドレは私の目を見つめながら、深い愛情を込めて言った。


「ユリ、ありがとう。私もよ。」私は涙を浮かべながら微笑み、ナイフをケーキに入れた。


「おめでとうございます!」というゲストたちの声が響き渡り、感動で胸がいっぱいになった。


どうやら、皆はこのサプライズを知っていたようだった。知らなかったのは私だけだったのね。周囲の装飾も結婚披露宴のテーマに早変わりしていた。純白のドレスを着た時点で気付くべきだったのに…。ユリが言った通り、私は少し鈍感だったかもしれない。


「ありがとう、みんな。本当に感謝しています。」涙が頬を伝うのを感じながら、心からの感謝を述べた。


ケーキカットが終わると、ゲストたちは再び歓談を始めた。ユリドレと共にテーブルを回り、一人一人と話を交わすうちに、愛する人々に囲まれている喜びと感謝の気持ちが胸に広がった。


「幸せですね。」


「ユリを選んで良かったわ。」


ゲストたちが集まり、音楽が流れる中でダンスが始まった。妊娠しているため、激しい動きは控えたが、ユリドレの腕の中でゆったりと踊った。彼の手が私の腰に優しく添えられ、その温もりに安心感を覚えた。


「ユリ…色々ありがとう。」彼の胸に顔を埋め、幸せそうに呟いた。

「我が愛しの女神様の為ならお安いごようですよ。」

「そういえば、今日はいつものモードじゃないのね。」

「今日くらい良いでしょう。俺は今日、幸せ過ぎて顔を作る余裕もありませんから。」


ダンスが終わると、ゲストたちは拍手を送り、私たちを祝福してくれた。その場に立ち尽くし、愛する人々の温かい視線を感じながら、胸に感動を覚えた。この瞬間を一生忘れないだろうと思った。


夜が更けるにつれ、パーティーも終わりに近づいていった。ゲストたちは次々と帰り始め、庭園は再び静けさを取り戻していった。ユリドレと私は庭園の中央に立ち、全てが無事に終わったことを確認した。


「さぁ、メイ。後のことはまかせて体を休めましょう。」ユリは優しく微笑みながら言った。

「ええ、そうするわ。ありがとう。」



その夜、ベッドに横たわりながら、心地よい疲れを感じていた。愛する人々と過ごした素晴らしい一日の思い出が心に残っている。


―――ありがとう。私を好きなってくれて…。


ユリが隣で優しく眠っている姿を見ながら、幸せをかみしめた。


とりあえず、平日の3回更新を2回に減らして様子みます。クオリティが下がるのが一番恐いので…。

日曜日の4回更新は時間が間に合えば…。1話書くのに3時間かかりますので…。集中力が持てば頑張ります…。

ここまで読んで下さってありがとうございます!ついてきてくださるとうれしいです。

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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