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一応、補足説明です。ユリドレとメイシールは互いに愛し合う際、だいたいキス止まりで、絶対にメイシールに負担をかけないように何がとは言いませんが一人で欲を満たしています。メイシールの方がもどかしいような生殺し状態になっています。まじでR18 で書けば良かったと後悔するくらい表現が難しいです(泣)
翌日、私は久しぶりに酷いつわりに襲われ、ベッドに寝転がっていた。部屋の中には薄暗い光が差し込み、私は頭痛や吐き気に苦しみながら、ゆっくりと体を休めていた。ユリは慌てて女性の医者を呼び、私の世話を焼いてくれていたが、つわりの症状がひどく、なかなか楽になる気配はなかった。
「俺はどうすれば…どうして俺は昨日自分を抑える事ができなかったんだ…。」
「だ、大丈夫…。それは多分関係ありませんので…。」
「大丈夫ですよ、少し辛い時期がありますが、あなたと赤ちゃんの健康を最優先に考えています。きちんと栄養を摂り、十分な休息を取ることが大切です。また、何か心配事や不安なことがあれば、いつでも相談してくださいね。私たちが全力でサポートします。」
「12歳の少女が無事出産した例はあるんだな?」
「はい、実際に12歳の少女が無事に出産した例はあります。しかし、そのようなケースは非常にまれであり、周囲のサポートと適切なケアが必要です。私たちは最善を尽くしますので、安心してください。」
女性医師は優しい微笑みを浮かべながら、部屋を後にしました。
「女性の医師は珍しいですね。」
「はい、メイの為に全国から探し出しました。」
(またとんでもないことを…。)
ユリはそばに座り、私の頭をやさしく撫でてくれた。私がつわりで苦しんでいることを見て、心が痛むようだったが、それでも彼は決して不安げな表情を見せなかった。彼は私のために温かいタオルを用意し、そっと顔を拭いて、水を用意して優しく飲ませてくれた。ユリは私が眠りにつくまで、静かにそばで見守ってくれていた。
そして翌日、私のつわりの症状が少しずつ落ち着き始めた。苦しみは和らいだが、未だベッドの上で、ユリも、まだ私から離れようとしなかった。彼は私の側に座り続け、私の頭を愛おしそうに撫でてくれていた。
ユリは私の顔を見つめ、やさしく微笑んだ。彼の目には、深い愛情と心配が滲んでいた。
「ユリ、ありがとう。ユリも休んでくださいね?」
「十分休んでますよ。」
(全然休んでない癖に…。)
「そろそろ私達…その、敬語を辞めにしませんか?ユリは私以外の人にはもっと、普通に話していますよね?」
ユリは深くため息をつき、落ち着いた表情で言いました。
「メイは普通に話してください。もう少し時間を下さい。俺は切り替えが凄く下手なんです。もともと誰かに優しくするタイプではありませんでしたから。」
「切り替え…ですか?」
「はい。普通に話していて、もしもメイにぶっきらぼうな言葉を浴びせてしまったら、もう立ち直れません。」
ユリは言葉を紡ぎながら、ゆっくりと手を伸ばし、私の手をそっと握った。
「それは、大変ですね。」
ユリが立ち直れそうにないところが簡単に想像できてしまい、少し同情してしまった。
「ですが、メイは別です。もっと気軽に言葉を崩してもらって大丈夫ですよ。そちらの方が俺も嬉しいです。」
ユリはふわりと優しい笑みを見せた。その笑みがなんだか照れ草くて、別の話題に切り替えようと思った。
「わ、わかったわ。ところで、王城で何があったの?」
「その話は子供を無事に産んでからにしましょう。」
「え!?いや、ちゃんと聞かないと、またユリが暴走してて勝手にパーティーを休んでるんじゃないかって不安で眠れないわよ?」
ユリは私の為なら何をしでかすかわからない。何故そこまでするのかも謎だけど。愛…なのかしら。
「…分かりました。ですが、気分が優れなくなったらすぐに言ってくださいね。どこから話しましょうか。」
ユリは王城で何があったかを言葉を選びながら、事件の経緯を詳細に説明した。
「王城では、王子の訓練中に不慮の事故が発生しました。俺の代わりに騎士が王子の訓練をしていた際、木刀が壊れ、王子に真剣を持たせざるを得ない状況になりました。その結果、王子が誤って騎士を斬り殺してしまったのです。」
「そんなっ!?…そんなことって…。」
「王子はそのトラウマで引きこもり、俺はその責任を取り、王子が回復するまでの間、この領地で謹慎処分を受けることになりました。」
「アジャールが…引きこもりに?」
ユリはゆっくりと私の唇をなぞりました。指先が軽く触れる感触が、心地よくもあり、切なさを湛えていました。
「ユリ…?」
「その可愛らしい口から、他の男の名前を紡がないでください。」
彼の声は優しくも厳しく、私の心に響いた。
「あ…ごめんなさい。」
(危ない。またユリを暴走させるところだったわ。)
「いえ。」
ユリは肩を落とし、明らかにしょぼくれた表情を浮かべていた。彼の目には悲しみがにじんでいる。
(あー!もぅ!めんどくさい!)
私はゆっくりと起き上がり、ユリの頬に優しく唇を寄せた。彼の頬に触れる感触が柔らかく、温かみを感じる。
ユリの腕が私を包み込むと同時に、彼の胸の鼓動が私の耳に響き渡った。その鼓動は急速に早まっているように感じ、私の心も同じように高鳴り始めた。
「いけません。そんなことをしては…。聞こえますか?俺は本当はこんなにも余裕がないのですよ。」
「ご、ごめん…なさい…。」
「いえ、嬉しすぎてどうにかなりそうという意味なので、謝らないでください。むしろ、もっと欲しいくらいです。ですが、加減をして下さいね。」
「わ、わかり…ました。えっと、ところで、パーティーはどうして行かなくてよくなったのですか?」
そういうとやっと体が離れた。
「王子が心を病んでしまったので、中止にするそうです。もともと王がゴールドキング公爵家の大庭園を見たいという摩訶不思議な理由で開かれる予定のパーティーだったそうだなので。」
(摩訶不思議…?)
「そうですか。それなら分かりました。やっと理由が聞けて、安心しました。」
ユリがまた肩を落とし、寂しそうな顔を浮かべる。
「今度は何!?」
「また敬語に戻ってしまいました…。」
(くぅ~~~~めんどくさい!!けど、正直に面倒だと言ったら、もっと面倒なことになりそう~~!!)
「ユリ。」
「はい。」
「焦らず、少しずつ私達のペースでいきませんか?私も、もっとユリと心の距離を縮められるように努力します。だから、落ち込まないでほしいなって。」
「分かりました。…なんか俺、年齢的には一回り上なのに情けないですね。」
ユリは、自分の行動が幼く思えることに戸惑いながらも、照れくさそうに笑った。その笑顔には、自分の未熟さを認める素直さと、私への深い愛情がにじみ出ていた。
「ううん。それくらい私に真剣でいけてくれて嬉しい…です。」
それを聞いたユリは嬉しそうに微笑んだ。
「俺の気持ちを分かろうと…理解しようとしてくださってありがとうございます。メイは優しいですね。」
「それはそうと、しっかり休んでください!ほら、隣に寝て下さい!」
私はユリに寝るスペースを作るため、ベッドの端に移動した。ベッドは十分に広かったので、実際にはそんなことをする必要はなかったのだが、ユリに対する思いやりから、彼の眠る場所を示すようにポンポンとベッドを叩いた。
ユリは私の指示に従って、大人しくベッドの端に横たわりました。
「さぁ、目を閉じてください。」
ユリは大人しく目を閉じ、私が彼の頭を優しく撫でると、彼は疲れていたのかすぐに眠りについた。その穏やかな寝顔を見て、私はほっとした表情を浮かべた。
「おやすみ…ユリ。」
私はユリの美しい寝顔を見つめながら、自分の頭の中を整理した。彼の穏やかな表情が、私の心を静かに落ち着かせてくれるのだ。
―――アジャール王子の事故は、本当はなかったものだわ。それがユリとの人生では発生した。本当に事故だったのかしら。彼の能力なら、その事故を引き起こすくらいなんてことないんじゃないかしら。だとしたら、どうする?私。これでもかというほどに尽くしてくれる夫がいて、それを拒絶するの?答えはNOでしかない。
私はアジャールに裏切られた。心のどこかで、少しだけざまぁみろという気持ちがあった。彼との結婚生活は決して楽しいものではなかった。何度互いに愛し合っても子宝に恵まれず、まわりからは強烈なプレッシャーをかけられ、怠惰な王と王子は公務を私に押し付けて遊んでばかりいた。
ユリの悪事は全て私の為だ。なら、彼が道を外し過ぎないように私がしっかりすればいいだけ。どうせ死に戻っても、もう彼としか歩めないのだから…。
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