【メアルーシュ×エルレナ】3p
重々しい地下室で泣きじゃくっていた私は、ようやく落ち着きを取り戻した。涙が乾き、呼吸が整うと、冷静さを取り戻し始めた。すると、お義父様が重い沈黙を破った。
「しかし、よくこのゴリラを倒したな。死体処理が大変だ。」お義父様はよっこらしょと呟きながら、父の遺体を運ぼうと持ち上げた。
「あ…ごめんなさい…。」私は申し訳なさそうに呟いたが、お義父様は軽く笑って頭を振った。
「ルー、この状態で移動できるか?」
「うわ。重量で魔力持っていかれそうだけど、どこに運ぶの?」ルーは額に軽く汗を浮かべながら尋ねた。
「海岸で頼む。」
ルーは私の手をしっかりと握り、私もつられて立ち上がった。彼の手の温もりが、私を現実に引き戻してくれる。ルーは空いている手で父の遺体に触れると、一瞬のうちに風景が変わり、月明りが反射する静かな海岸に到着した。
するとお義父様が突然苦しみだした。
「うっ!!」
「お義父様!?」
私は驚いて駆け寄った。
「エリー、大丈夫だよ。これはいつもの発作だから。」
「発作!?どこが具合が悪いのですか?」
「そうじゃない。父さんいい加減にしなよ。もう帰っていいよ。」
ルーはお義父様に触れ、一瞬で彼を消した後、すぐに私の目の前に戻ってきた。
「んー…魔力が切れたかも。」ルーは額に汗を浮かべながら言った。
「えぇ!?大丈夫ですか?」
ルーは優しく微笑んで私を見つめ、「エリー、久しぶりに膝枕をしてくれないか?」と言った。
私は頷き、彼を砂浜に座らせると、一度彼の手を離して海に近づき、波打ち際で手を洗った。冷たい海水が手を包み込み、砂の感触が指先に残る。しっかりと手を洗い終わると、再び彼の元に戻り、彼の頭を自分の膝の上に乗せた。彼の顔には疲れが滲んでいたが、その目には優しさと安心感が溢れていた。
「ありがとう、エリー。」ルーは目を閉じ、深呼吸をしてリラックスした。
「少し休んで。お義父様は大丈夫なの?」私は彼の髪を優しく撫でながら囁いた。
夜風が優しく吹き、波の音が穏やかに響く中、私たちはしばしの安らぎを感じていた。私の心は、彼の温もりと共に少しずつ癒されていくようだった。
「あれは…仮病だよ。早く帰って母さんとイチャつきたいっていうサイン…。」
「え…。」
「一緒に仕事すると、度々あぁして帰りたがるんだ。俺も最初は心配したけど、すぐに仮病だってわかって、もう面倒だから送り返すことにしてる。」ルーは苦笑しながら言った。
私はその言葉に少し笑ってしまった。
「そうだったのね。お義父様、可愛らしい一面があるのね。」
「そうさ、父さんは母さんが大好きなんだ。俺もそんな夫になりたいと思ってる。」ルーは私の顔を見上げ、真剣な眼差しで言った。
「あなたはもう十分素晴らしい夫ですよ。」
私は彼の頬にキスをし、その言葉に深い愛を込めた。
「俺のこと避けた癖に。」
「だって…ブルービショップの言い伝えにあるでしょう?ブルービショップの血筋の人は最後には必ず幸せが訪れるって…。アナタと結婚する前に回帰したから結婚しちゃダメなのかと思ったの。」
「多分、ゴールドキング公爵を倒すタイミングが…今日だったんだろう。でも、まさか…俺が仕事してる間にエリーが父さんに仕込まれてるなんて…。」
「だからこそ、アナタが私を庇った時、悔しくて…。。」
「…全く。俺らしいかも。無駄死にしたってことか。母さんと父さんを悲しませちゃったな…。」
「私も…子供達を置いてきちゃった…。酷い親だわ。」
「エリーのせいじゃないさ。どちらかといえば俺が…。君に追いかけてきて欲しくてブルービショップの秘密を言ったせいかな。」
「え?」
「表では別の理由を繕って…本当は…心の奥底では側にいてほしかったんだ。」
「ふふっ…あははははっ!ふふふっ。」
笑ったのは、ふとメイシール様の言葉が浮かんだからだった。レッドナイトの執着心を舐めてはいけないわという言葉だ。
「イテッ!」
突然、ルーが痛みを訴えた。
「どうかなさいましたか!?」
私はルーが心配になり顔を近づけた。
するとそのまま後頭部をおさえつけられて、キスをされてしまった。彼の唇の感触が、私の心に深く染み込んだ。
「ルー…あなたって、本当に…。」私は笑いながら言った。
「エリー、これからもずっと一緒にいよう。」ルーは真剣な眼差しで私を見つめた。
「えぇ、アナタに望まれる限りずっと一緒にいるわ。」私は彼の目を見つめ返し、深く頷いた。
私たちは再び唇を重ねた。海風が優しく吹き、波の音が静かに響いていた。
その後、私とルーは父の死体を処理し、レッドナイト公爵邸へと戻った。次の日、ルーの助けを借りて、ゴールドキング家に囚われていた貴族たちの洗脳を解いて回ることにした。洗脳が解かれたことで、多くの家門が大混乱に陥った。人々は長い間、自由を奪われていたことに気付き、怒りと混乱が広がった。
ゴールドキング家はその結果、窮地に追い込まれた。しかし、雷の力は絶大であり、生活に欠かせない存在であるため、家門が完全に消滅することはなかった。王族の監視下に置かれることで、ゴールドキング家は存続を許されたのだ。
「エリー、これで本当にすべてが終わった。」ルーが深いため息をつきながら言った。
「そうね、これで一応未来は安泰だわ。」私は彼の手を握りしめ、微笑んだ。
「それにしても、子供からやり直しは辛いな…。エリーを抱きしめたいのに…。」
「ふふ…子供の成長なんてすぐよ。」私は優しく彼を見つめた。
「そうだな…。」ルーは私の手を握り返し、笑みを浮かべた。
私たちは新たな未来に向かって歩き始めた。どんな困難が待ち受けていようとも、共に乗り越えていけると信じて。
【END】
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