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また翌日、回帰の記憶が増えていくと共に、私の足には青白く淡い光を灯す鎖がびっしりと片足を埋め尽くしていた。私はそれを見て気味が悪くなり、足を搔きむしろうとした。しかし、ユリドレ様がその手を掴み、代わりに私の足にキスを落とした。
「傷をつけてはいけない。アナタの体は俺のモノだ。」
鎖の一つ一つを指を沿わせ、愛おしそうに頬ずりをされた。その行動に、私は驚きと戸惑いを感じた。
「どうして…。」
「この一つ一つが…俺への愛だからです。」
ユリドレ様の言葉に、私は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。彼がどれほど私を大切に思っているか、その言葉と行動が全てを物語っていた。
ユリドレ様は優しく私の足を撫でながら、その鎖一つ一つにキスを落としていった。その動作には深い愛情が込められていて、私は彼の思いに圧倒された。
「メイシール、これらの鎖は全てあなたの愛の証だ。俺に対する愛が形になって現れている。だから、決して傷つけてはいけない。」
「ユリドレ様…」
――あぁ…どうしようもなく好き…。この気持ちをどうやって発散すればいいのかしら…。
「ユリドレ様…」
彼の言葉に感動しながら、私はその温かい声に心を委ねた。
「さて、今日は何をしますか?」
「えっと…。」
「では、俺と何がしたいですか?」
その声はいつもの冷たい感じではなく、とても温かさの籠った声だった。彼の顔を見上げると、優しく微笑んでいた。
その声はいつもの冷たい感じではなく、とても温かさの籠った声だった。彼の顔を見てみると、優しく微笑んでいた。私はその顔に驚いて「ユリ…ドレ様…。」と呟けば、ハッとした顔をしてから、いつもの仏頂面をするユリドレ様に戻ってしまった。
そんな姿を見て、ふと、彼の華麗な剣捌きを見てカッコイイと思ったことが思い浮かんだ。
「私、ユリドレ様の戦う姿が見たいです。」
すると驚いたような顔を見せるユリドレ様。
「では、部下達を集めて模擬試合でもします。」
「はい…。」
ユリドレ様はすぐに部下達に指示を出し、模擬試合の準備が整えられた。私たちは庭の広場に向かい、そこで待機している部下達の前に立った。ユリドレ様は私の手を取り、優しく握りしめた。
「メイシール、今日はあなたのために全力で戦う。俺の姿をしっかり見ていてくれ。」
「はい、ユリドレ様。楽しみにしています。」
ユリドレ様は部下達に向かって合図を送り、模擬試合が始まった。彼は剣を手に取り、流れるような動きで攻撃をかわしながら相手を圧倒していった。その姿はまさに優雅で、力強さと美しさが見事に融合していた。
彼の剣捌きは、まるで舞を踊っているかのようだった。私はその華麗な姿に見惚れながら、心の中で彼を応援した。
「ユリドレ様、すごい…」
その瞬間、彼が私の方をちらりと見て、微かに微笑んだ。彼の目には自信と誇りが溢れていて、私はますます彼に惹かれていった。
試合が終わると、ユリドレ様は汗をかきながらも、爽やかな笑顔で私の元に戻ってきた。
「どうでしたか?」
「素晴らしかったです、ユリドレ様。あなたの戦う姿を見て、ますますあなたに惹かれてしまいます。」
ユリドレ様は私の言葉に嬉しそうに頷き、私の手を取り再び優しく握りしめた。
「それを聞いて安心しました。」
「ありがとう、ユリドレ様。」
私たちは手を取り合い、庭の花々が咲き誇る中、静かに歩き始めた。
その夜、私たちは一緒にお風呂に入り、互いの体温を感じながら心の奥深くで愛を確かめ合った。湯気が立ち込める中で、ユリドレ様の腕の中にいることで、私は一層の安心感と幸福感を感じた。
「ユリドレ様、今日は、あなたの戦う姿を見られて、とても幸せでした。」
彼は優しく微笑み、私の髪をそっと撫でた。
「あんなものでよければいつでもお見せします。」
「ふふっ、ありがとうございます。とっても幸せです。」
「まだまだこれからです。俺はアナタに幸せを与え続けます。」
私はその言葉に胸がいっぱいになり、彼の肩にそっと寄りかかった。
「素敵すぎます、ユリドレ様。」
お風呂から上がると、私たちは再びベッドに入り、お互いの温もりを感じながら静かな夜を過ごした。
彼は私の頬に優しくキスをし、その後、深いキスで私の唇を包み込んだ。そして、私を優しく抱きしめ、その腕の中で私は心からの安らぎを感じた。
翌日も恐ろしい回帰の記憶が蘇ってきた。私が浅ましく、邪悪な存在に思えた。胸が張り裂けそうなくらい辛く、生きることに疲れさえ感じる。その反面、ユリドレ様が欲しくてたまらず、一生の喉の渇きを感じた。涙が止まらなかった。
「…うっ…うっ…ヒック…。」
ユリドレ様がその泣き声に気づき、急いで私の元に駆け寄った。
「メイシール、どうした?」
ユリドレ様は私をぎゅっと抱きしめ、頭を優しく撫でてくれた。その温もりが、私の心を少しずつ癒してくれた。
「もぅ…眠るのが恐いです。毎日毎日悪夢ばかり…。」
「…っ。」
彼の手の動きが止まり、辛そうな表情を浮かべた。
「幸せです…でも…。私は幸せになって良いんでしょうか…。」
「良いに決まってる…。」
その瞬間、頬に暖かい雫が落ちた。何かと思い顔を上げると、ユリドレ様が辛そうに泣いていた。
「ユリ…ドレ…様?」
彼の目から溢れる涙が、私の心に深く響いた。その瞬間、スーッと私の中に全ての記憶が戻ってきた。
「ユリ?どうしたの?まだ1週間たってないけれど…。」
ユリドレ様は涙を拭いながら言った。
「辛そうなメイに耐えられませんでした。すみません。すみません…。俺は…最後までアナタにちゃんと向き合えませんでした…。」
私が辛くて泣いていたのに、それを上回るかのように泣きじゃくるユリ。彼の肩が震え、涙が止まらない。
「よしよし。まだまだ子供ね。ユリは…。」私は彼の背中を優しく撫で、彼を慰めるように囁いた。
「うるせーババア。」彼は泣きながらも、苦笑いを浮かべて言った。
「あら!今までそんな口聞いたことなかったのに、どうしちゃったのよ。」私は彼の顔を覗き込みながら、軽く叩いた。
「何百年俺の事が好きなんだよ…。ばーか…。」彼は目を擦りながら、少し照れくさそうに呟いた。
「あら、今度はユリが戻っちゃったの?」
「すみません…。」ユリは深く息をつきながら、少し俯いて謝った。
「ユリ…ありがとね。お疲れ様…。」私は彼の顔を両手で包み込み、優しくキスをした。
「これだけじゃ…足りないです…メイ…。」
ユリの言葉に、私の心はさらに揺さぶられた。彼の目には深い愛情と欲望が宿っていて、私はその視線に引き込まれるように感じた。
私は再び彼にキスをし、今度はもっと長く、もっと深く。そのキスはただの触れ合いではなく、私たちの魂が交わるような、深い繋がりを感じさせるものだった。彼の唇の感触が、私の全身に甘い痺れを広げていく。
ユリの腕が私の背中をしっかりと引き寄せ、彼の体温を感じながら、私たちは互いの存在を確かめ合った。彼の手は私の髪を優しく撫で、指先が私の肌に触れるたびに、私の心はさらに熱くなった。
「…やっと手にはいった…。お帰りなさい…メイ。」
「ただいま…ユリ。」
私たちはさらに深く繋がり、愛し合う時間が続いた。
愛し合った後、私たちはベッドの中でゆっくりとした時間を過ごしていた。ユリの腕の中で、私は彼の心臓の鼓動を聞きながら、心からの安らぎを感じていた。彼の温もりが私を包み込み、すべての不安や恐れが溶けていくような気がした。
「なんだか不思議な気分。ずっと好きだった人の側にいるのに、失恋してしまったような…してはないのだけど…。妙な気分。でも今のユリが凄く好きなの。世界で一番。」私は彼の胸に顔を埋め、優しく囁いた。
ユリは私の髪を撫でながら、穏やかな声で答えた。
「俺も似たようなことを思っていました。初恋だった人とやっと寄り添えたはずなのに…。俺と34年間過ごしたメイが…少し離れてしまったような…そんな気分です。」
「やっぱり違う?」私は彼の顔を見上げ、微笑んだ。
ユリは少し微笑み、そして軽くため息をついてから言った。
「俺の方が余裕があったはずが、メイの方が余裕があるようにみえます。」ユリは私の手を取り、その指先にキスをした。
「クスッ。何の余裕?確かに、合計すると何百年も生きてることになるから余裕はあるかもしれないわね。」
私は彼の指先が唇に触れる感覚に、胸がときめいた。
ユリは私の手を放し、再び私を優しく抱き寄せた。
「俺のこと子供にみたいにみてませんか?」
「子供にみてたらこんなことしないでしょ?」私は彼の胸に顔を埋め、軽く噛むように囁いた。
ユリは深く頷き、私の額にキスをした。
「アナタの全てを愛しています。」
「私もよ。こんなにも…どうしようもない私を愛してくれてありがとう。」
私は彼の背中を撫で、彼の温もりを感じながら、心から感謝の気持ちを伝えた。
私たちは再び抱きしめ合い、静かな夜の中で互いの愛を感じた。彼の手が私の背中を優しく撫で続け、そのリズムに合わせて私の呼吸も次第に落ち着いていった。ユリの温もりとその確かな愛情に包まれて、私は心からの安らぎを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。
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