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翌日、私はユリドレ様との結婚生活の記憶ではなく、別の回帰した記憶を取り戻した。隣にはすぐにも解けてしまいそうなバスローブを着たユリドレ様が眠っていた。
ブルービショップの回帰する能力について父から説明されたことを思い出し、自分の足首を見ると、3つの青白く光る鎖が見えた。回帰した記憶が3つあるので、この鎖はその意味だと確信する。
どうしても手に入れたかった人が今隣にいる。喉から手が出るほど欲しかった人が…。なんて美しい顔なのかしら…。痺れるくらい低い声で…。私は本当にこの人と結婚できたの?3回もの人生、あれだけ苦労して手に入らなかったのに?
私はユリドレ様の寝顔を見つめながら、胸の奥で複雑な感情が湧き上がってきた。愛、驚き、そして少しの恐れが入り混じっていた。この奇跡が本当に現実であるのか、未だに信じられなかった。
私はユリドレ様の寝顔を見つめながら、胸の奥で複雑な感情が湧き上がってきた。愛、驚き、そして少しの恐れが入り混じっていた。この奇跡が本当に現実であるのか、未だに信じられなかった。だから私は…彼に縋るように自分の唇を眠っている彼の唇に押し当てた。
「…んっ…んふ…。」
ゆっくりと唇を離すとユリドレ様は一瞬とろんとした目をしたが、一瞬で凍り付くような目で私を見た。
――やっぱり…私のこと嫌いなんだわ…。
「朝から…激しいな…メイシール嬢。」
その低い声が耳元で囁かれて、体が痺れるほど甘い感覚に襲われた。その声は決して私を嫌っているような声色ではなかった。
「あ…えっと…。」
言葉が詰まり、何を言えばいいのかわからないまま、ユリドレ様の鋭い眼差しに見つめられていた。彼の目には混乱と欲望が交錯しているように見えた。
「メイシール、何をしているんだ?」
ユリドレ様は穏やかに私を見つめながら尋ねた。その声には少しの驚きと興味が混じっていた。
「ご、ごめんなさい。ユリドレ様、ただ…確認したかったんです。これが現実かどうか…。」
私の言葉にユリドレ様は冷笑した。
「よろしいですか?キスとはこうするものです。」
その瞬間、彼は私にとても深いキスをしてきた。驚きとともに、その過激さに戸惑いながらも、私は彼の情熱を感じ取った。
ユリドレ様って…こんなにも過激なキスをするお方だったのね…。新たな一面を知れて嬉しい。
彼の唇が私の唇を強く押し、舌が絡み合うその瞬間、私の心は激しく鼓動した。彼の情熱が全身に伝わり、私の体は甘い痺れに包まれた。
ユリドレ様は一度唇を離し、私の目をじっと見つめた。
「これが本当のキスです。覚えておきなさい、メイシール。」
その言葉に、私は頬を赤らめながら頷いた。彼の冷笑と共に見せた情熱的な一面に、私はますます彼に惹かれていった。
「ユリドレ様…」
「何ですか、メイシール?」
「私は…あなたに抱かれたいです。」
ユリドレ様の目が一瞬驚きで大きく開かれ、その後、彼は冷静な微笑みを浮かべた。
「メイシール嬢の口から…そんな言葉を聞けるだなんてな…。よろしい。では、あなたの望むままに。」
彼の声は低く、甘く、私の心に深く響いた。ユリドレ様は優しく私を抱きしめ、その温もりが私を安心させた。彼の手が私の背中を撫で、私は彼の胸に顔を埋めた。
「メイシール、あなたは本当に美しい。俺はあなたを愛している。」
彼の言葉に、私は胸が熱くなった。彼の愛を感じながら、私も彼に応えた。
「ユリドレ様、私もあなたを愛しています。」
ユリドレ様は私をベッドに優しく押し倒し、そのまま私に覆いかぶさった。彼の唇が再び私の唇に触れ、その熱情が私の心を揺さぶった。
彼の手が私の髪を優しく撫で、唇から首筋へと移動した。その感触に、私は甘い声を漏らした。彼の愛が全身に伝わり、私の心と体が一体となった。
「手加減はしない。」
「はい、ユリドレ様。」
そして、私たちは互いの愛を確かめ合い、彼の腕の中で安らぎを見つけた。
そして、私たちは互いの愛を確かめ合い、彼の腕の中で安らぎを見つけた。情事が終わり、少し休んだ後に、昼になり、昼食を食べた。またもや膝の上に乗せられての食事だった。
「この後は何をしますか?メイシール嬢の好きなことをしましょう。」
「…でしたら、今日はずっとユリドレ様の…側で…その…。」
「遠慮せず、なんでも言うといいですよ。長い時間を共にしてる仲です。今更何を要求されても驚きません。」
「あの…ユリドレ様に触れていたい…です。」
一瞬だったが、ユリドレ様の顔が酷く歪んだ笑みを見せた気がした。すぐに私を軽蔑するような目で私を見るので、とうとうユリドレ様を欲するあまり幻覚を見たのかもしれない。
「もちろん、メイシール。あなたの望むままに。」
昼食を終えると、再びベッドに戻り、ユリドレ様が「お好きなだけどうぞ」と言って寝そべった。私は彼の広くて硬い胸板をペタペタと触った。
信じられないくらい硬いわ。鍛えてらっしゃるのね…。
「お仕事は大丈夫なのですか?」
「妻が記憶喪失だというのに仕事などしてられません。」
彼の口調は限りなく冷たい棒読みのようで、一見冷たくあしらわれているのかと勘違いしてしまう。しかし、どうやらそうではないらしい。彼なりに私に愛情があるようだった。きっと不器用なのね。
ユリドレ様の冷たい口調に戸惑いながらも、私は彼の言葉の裏に隠された愛情を感じ取った。彼は私に寄り添い、私を守るために時間を惜しまないでくれている。その不器用な優しさに、私は心が温かくなった。
その日はずっとユリドレ様の温もりを感じながら過ごした。彼の胸に耳を当て、彼の心音を感じることで、私の不安や恐れが少しずつ消えていった。
「メイシール、今日はゆっくり休むといい。ずっとそばにいます。」
彼の言葉に、私は心から感謝の気持ちを抱いた。彼のそばで過ごす時間が、私にとってどれほど大切なものかを改めて感じた。
翌日も私は回帰の記憶を取り戻した。今度は2つどころではない。たくさんの記憶が私に押し寄せた。策略や陰謀、何度もユリドレ様に拒絶される日々。それらが鮮明に蘇り、私は起きるなり涙が止まらなかった。
複雑な気持ちだった。どうして回帰した記憶が一気に戻らず、少しずつなの…。私はユリドレ様と一緒にいてもいいのかしら…。一人泣いていると、
「メイ…シール…。泣いているのか?」
私たちは生まれた姿のままで、昨日の夜も深く愛し合った証拠があった。
「ごめ…なさい…。私…本当にアナタといていいのか…わからなくなってしまって…。」
するとユリドレ様は私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「良いに決まっている。俺の妻はアナタしかいない。」
その言葉に、私は声をあげて泣いてしまった。彼の温もりが私の心に深く染み込み、今までの不安や恐れが少しずつ溶けていくのを感じた。
「ユリドレ様…私たちはどのように夫婦になったのですか…。」
ユリドレ様は私の髪を優しく撫でながら、静かに答えた。
「俺がアナタにプロポーズした。家の前で何日もアナタが出てくるのを待った。結局、アナタは出てこなかったので、俺はアナタの部屋に無理矢理侵入してプロポーズしました。」
「ユ、ユリドレ様がですか?」
「あぁ…。」
「えっと…、私のどこを気に入ったのですか?」
「全てだ。」
その言葉に、私は再び涙がこぼれそうになった。ユリドレ様の真摯な言葉と、その背後にある深い愛情が胸に響いた。
「ユリドレ様が家の前で待っていたなんて…」
「俺はアナタをどうしても手に入れたかった。それだけのことだ。」
「私のことを、そんなに…」
「そうだ、メイシール。アナタの全てが、俺にとって特別なんだ。」
ユリドレ様の言葉に、私は心から感謝の気持ちを抱いた。彼が私を愛し、守り続けてくれることが、私にとってどれほど大切なことかを再確認した。
「ユリドレ様、記憶はないけれど…私もあなたを愛しています。」
ユリドレ様は今にも怒りそうな、とても恐い顔をしていたけれど、私の頬に軽くキスをした。その温かさが、私の心に深く染み渡った。
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