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メープルのスキル判明


待合室では、大小様々な動物がいた。


どれも地球の生き物と違って身体の一部がウロコで覆われていたり、トゲがついていたりと防御力、攻撃力共に高そうな見た目だ。


しかし、それらを連れてきた人達の容姿は地球の人類と違いはない。

ケンカでもしたら、人側には勝ち目は無さそうなのに、のんびりお茶なんかして大丈夫なのだろうか。



「ガルルル…」


視線を感じたので振り返ると、角の生えた犬が私を威嚇していた。

どうしていいか分からず、目を逸らし、パパに助けを求めた。

だが私は眼中に無いようで、パパはずっと俯いたままだ。



「ゲルタさんどうぞ。」

ちょうどその時順番がまわってきた。

パパはハッと顔を上げ、手綱を握った。


「では診断結果のほうですね。」

私から血を抜いたマッドドクターは慣れたように淡々と話し始めた。


「どうぞ。」

「…はい。」


手綱と共に強く握り締めた拳をほどき、厚紙を受け取る。


わずかな間、パパの呼吸が止まった。

私も思わず息を呑む。

そして…


「…よかった…。」


パパの顔が綻んだ。

(おおっ)

心臓が跳ねる。


「よかった…?」

(おおっ?)


「牝馬メープルちゃんは健康そのものです。

見たところ立てていますし、目立った異常もありません。魔力は…さすがマリアナの仔ですね、Aクラスです。スキルは…」


パパは困惑した表情で、


「「爆走!?」」


半分笑いながらのけぞり、もう一度スキルの欄を覗きこむ。


「はい。なかなか珍しいスキルですね。

私も初めて見ましたよ。こんなスキル。」

ドクターも半笑い。


どういう事だ?よかったのだよな…?

名前はすごく速そうだが。


「ヨセフーリアとマリアナの仔なのに…。まさか…。」

パパは急に真剣な顔で私を見つめる。

何か悪いことでもあったのか?


「大丈夫ですよ。ゲルタさん。

こういうのは稀にあるんです。

スキルは基本遺伝し、父親、母親のどちらかの一つを受け継ぎます。

ヨセフーリアは“疾走”、マリアナは“強靭”でしたね。

通常なら一方がメープルのスキルとなりますが、この場合、【隠れスキル】の可能性があります。」


「【隠れスキル】?」

「はい。大半のウマは一頭につき一つのスキルを持ちます。ですが突然変異でもう一つ、発現しないスキルを持つものが生まれることがあります。」


「それが【隠れスキル】。」


「はい。ヨセフーリアは精密検査済みでしょうから、マリアナが“強靭”の他に“爆走”のスキルを持っていた可能性が高いですね。」


「ほ〜。」

(へぇ〜。)


ということは私は母馬の変異スキルを遺伝したのか。

それって大丈夫なのか?病気になりやすかったりしそうだが。


「なるほど。ところで“爆走”はどういうものなのですか。」


「それは…。」

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