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馬とトマト

アシュによる調教が始まった。

しかし、しばらくするとある問題が浮上した。

 

「やーだ、メープルはミアの!」


そう、彼女の事だ。

ミアはパパの手伝いをする傍ら、私を生まれた時から世話してくれた。今も毎日欠かさず馬房に来てくれている。お決まりのおやすみももちろんだ。


しかしアシュが来てから、私の側にはアシュがつきっきり。ミアは、私が取られてしまうと思ったのだろう。

アシュもパパも必死になだめているが、現在私の肩に巻かれた手は離れそうにない。

私が馬房に戻ってから、ずっとこの有様だ。


「なぁ、ミア分かってくれ。これはメープルのためなんだ。」

「でも、メープルがかわいそうよ。ずっと縄に繋がれて。メープルをいじめないで。」


私はちょうどハミをつけ、人の誘導に従う訓練の最中だったのだ。ミアはそれを見て勘違いしてしまったみたいだ。


「もうパパもアシュのおねえちゃんも、大きらい!」


あー。こりゃダメですぜ、パパ。

ミアはさらに強く私を抱きしめた。

ひっくひっくとしゃっくりをあげながらも、必死に歯を食いしばっている。

ここを動かないの一点張りだ。

パパももうお手上げといった表情でため息をこぼした。

と、アシュが気を利かせたのか、はたまた、ただの思いつきか口を開いた。


「ねぇ、ミアちゃん。みんなでゲームをしない?」

「ゲーム?メープルも、できる?」


「うん。もちろん!」



ー・ー・ー

さーて、やってまいりました。いつもの放牧地。

何故か3人の手にはトマトが!


「ねぇ、ミアちゃん。本当にこれでいいの?馬は好まないはずよ?」

「うん。だって、メープルったらおばちゃんがトマトもってきた時だけ、おりこうさんなんだもん。」


そして、3人は顔を見合わせると、ミアがニンマリと笑った。

「よーい、どん!」


示し合わせたように皆バラバラに逃げてゆく。

追いかけろというのだろう。

この手の遊びはよくミアとやっている。

いつも追いかけられる側だが、今度の鬼は私だ。

しかも、オマケにトマトまで。

ミアちゃん。意地汚い高校生を許したまえ。

これが大人ってもんなんだ。


そして、私は一番足の遅いミアをめがけて走り出した。でも、さすがに全力は出さない。これはゲームなんだ。


「ミア、分かってるなー。」

「うん!」


ミアは両手に一粒づつミニトマトを持っている。

他の2人とは違って手が小さいからだ。

それらを潰してしまわないように、頑張って加減しているようだった。

小さいながらに速い。手足をめいっぱいふって、振り返る事なく一生懸命走っている。


私の方は、そんなミアが転んでしまわないように岩が露出しているところを避け、誘導することに心血を注ぐ。


「あっ。」ポトっ。

赤い果実が手から溢れた。


ここぞとばかりに追い討ちをかける、フリをする。

ミアはまた持ち直す、と思いきやパッとこちらに向き直った。

「メープル。あーん。」

ぱくっ。


あっ。

「メープル!まだあるぞ!こっちにこーい。」

はっ。まだあそこにトマトが。

今行きます。父上。


さすがパパ。日頃の作業で鍛えられた足腰は衰えを知らない。

おまけに、接近すると水をかけられる。

強くない魔法だが、妨害に効いている。


でも、それもあと少し。


ぱくっ。

ああっ。


くっ。二人とも、卑怯ですよ。一年近くありつけていない好物を目の前で。


「メープル。こっちだよー。」


あと一人。アシュちゃん、これを考えたのはあなたでしたね。

こんな、こんな……。大人を馬鹿にするような遊び。


めっちゃ、たのしいやんか。


「こっちこっちー。」

アシュちゃん。いやアシュ。

ええ機会や、あなたが私を調教するにふさわしいか試させてもらおう。


って、誰目線や。

今はこの遊びに付き合ってあげますか。

あわよくばトマトをご褒美に……。


一応、馬にトマトは厳禁です。

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