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好奇心の行くままに


あの後、しばらく森に沿って歩いていると、クレーターのような丸く窪んだ場所を見つけた。直径は教室よりちょっと大きいぐらい。

その一帯だけ、異常に植物が生えていた。


後からやってきたボスは縁で立ち止まった私を尻目に茂みに入っていった。


クレーターの底に着いたのを見て、私も坂を降りる。



そこは不思議な場所だった。



ここでは、道端にか細く生えているような雑草が私の体高ほどまで伸び、カタバミと思われるものはユリのような大輪の花を咲かせていた。


すり鉢は深さはあまりないようで、底からでも地上を見渡せた。


色々探検したかったが、もう帰るらしい。

名残惜しい。


よし、決めた。ここを我の秘密基地としよう。


ー・ー・ー


ボスと私が戻ってくるのを見て、母が迎えに来てくれた。

母は軽く会釈して、私を回収した。


かなり歩いてお腹が空いたのでご飯にしよう。って言っても草なのだが。



〈メープルの数秒クッキング〜〉

材料:草

①色が明るい新芽を探す。(仔馬だから?)

②匂いをかんで安全確認。(母が同じものを食べていれば不要)

③前歯で引きちぎり、食む。



お味はご想像の通り。食レポするほどでもない。けど一応。


「メープルさんお味はいかがですか?」

「草ですねー。」



しばらく食べていたが、やはり子供だからか、退屈を感じ始めた。


そうだ。食後の運動に走ってみようか。

あのスキルも気になるし。


〈ササッ、ササッ…〉

脇腹が痛くならないようにまずは速足で。

一面緑のラグマットを踏みしめると蹄越しに微かな反発を感じる。


アスファルトじゃない、自然の感覚。

前世での、空き地で遊んだ記憶が脳裏に浮かぶ。


まるで小さい子供のように無邪気に走る。

遊んでも誰にも咎められない。


〈〈私は自由なのだぁ〜〉〉


母の周りを二周し、遠心力で牛たちの群れに飛び込む。食事に夢中な牛たちの間を跳ね回り、草に寝転がって、また起きる。


それを十回は繰り返しただろうか。

なりふり構わず暴れ回っていたから、かなり疲れてしまった。


気がつけば、私の比率の合わない四肢が更に長い影を落としていた。

もう馬房に戻らなければならない。


ー・ー


お遊戯はここまでにして、帰路につく母を追いかけようとしたとき、誰かが私を見つめているのに気づいた。


振り返ると、母牛にピタリとくっついた一頭の子牛がいた。頭を下げ、上目遣いで私を見ていた。

その子は私と目が合うなり、視線を足元に落とした。


たしか私より数日前に生まれた子だったはずだ。

この牧場には今子牛は一頭しかいない。


臆病な性格らしく、柵にぶつかりそうになったのも、地面から這い出した小さい虫に怯えて、逃げ惑った結果だ。心細げなタレ目はそれを体現している。



〈ピュー、ピュー〉

ミアが柵を開け、呼び笛を鳴らしている。


ハッと我に返り、母を探す。

母は出口の手前で待っていてくれていた。

一目散に駆け出す私。


メープルちゃんおかえりー、と牛を数えながらミアは私の頭をなでた。


馬二頭、牛十数頭はそれぞれの寝床にもどる。


ー・ー


今日は疲れたー。

そう言えば、スキル試してなかったな。爆走とかいうやつ。まあいっか。


明日もいい日になりますように。


ミアがおやすみを言いに来たとき、私は夢の中で草を暴食していた。


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