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あなたは殺気を感じたことがありますか? わたしはあります!!

作者: ソウ マチ

ネットニュースでお笑い芸人さんが、新幹線で自分の席におじさんが座っていて口論になり、すごくイヤな思いをしたという記事を見ました。


わたしも、あります。いや、立場が逆か。わたしが間違えたほうです。でも間違えたのは、わたしじゃないのです。え? わたしになるのかな??


いつかの年の、お盆の帰省ラッシュ時でした。帰省を終えてごった返す乗客をかきわけながら、わたしは小倉駅で緑の窓口を目指していた。目的は帰りの新幹線(大阪行き)を早い時間に変更するためです。チケットを持って長い列に並ぶ。やっと2番目までたどり着いたら、目の前のおじいさんがモタモタしていた。ぜんぜん急いでいなかったのでのんびり待っていたのですけれど、対応している若い男性の駅員さんは怖い顔をしていました。朝からずうっと働きづめだろうし、まだまだ長い列は続いているし、お疲れ様です。


おじいさんは1ヶ月後の新幹線の切符の変更を申し出ていたと記憶しています。はっきりした日時はおぼえていませんけれど、ずうっと先の切符だった。なにも帰省ラッシュのこの日に来なくても、数日後ならゆっくりできるのに……窓口の駅員さんはそう言わんばかりのイライラ顔でした。


やっとおじいさんが終わって私の順番になった。持っていた紙を駅員さんへ渡します。今日の日付で乗りたい新幹線の経路が書いてある紙です。ヤフーの経路検索のページを印刷したものでした。


ソウ:お手数ですけれど、この便へ変更をお願いしたいのです。お願いします。


駅員さんは目にも止まらぬ速さで画面を叩き、すぐにチケットを発行してくれました。ありがとうございます。これでおうちへ帰れます。

ホームへ上がって待っていると、滑るように新幹線が入ってきました。すぐに乗り込んで席を探す。あった、あった! あら? うそでしょ……!?


その席にはおじいさんが座っていました。お隣にはおばあさんが。ご高齢の夫婦が仲良く座って美味しそうな駅弁を食べていました。わたしの見間違いかしら? 何度もチケットを確認するのですけれど、間違いない。やだなぁ……。


ソウ:お食事中に申し訳ありません。もしかしたら席をお間違えではないでしょうか?


おじいさんが慌てて割りばしを置いて、胸ポケットからチケットを取り出す。二人で見比べてみると、まったく同じ席です。


ソウ:お間違えではないようですね……。でもわたしも同じ番号なんです。

おじ:どうしたもんかのぅ? おや?

ソウ:どうなさいました?

おじ:あんたさんのチッキの日付、一か月後ですばい。

ソウ:えええ!? ウソですやん!

おじ:ほら。

ソウ:うわぁ……本当だ……。すみません。わたしが間違えました!


真っ赤になってその場を離れる。たぶん窓口の駅員さんが日付を間違えたんだ! 前のおじいさんが1ヶ月後だったから、それでミスったんだと思う! どうしよう!? 小倉から大阪は遠いぜ! 何がなんでも指定席に座りたい!! 自由席の車両はすでにいっぱいで、たくさんの人が立っています。その人たちの間をくぐり抜けて車掌さんを探す。やっと見つけた車掌さんは、たくさんのお客さんにウンザリした顔で歩いていました。


ソウ:お忙しところ、すみません。あの、このチケットの日付は1か月後になっているのです。この新幹線の指定席に変更をお願いします。

車掌:今日は指定席は満席です。できません。


にべもない。木で鼻をくくったような返答です。だがそれでは困る! わたしは緊張するとお手洗いに何度も通うので、指定席じゃないと困るんです!! ビビりなので新幹線というだけで緊張するので、お願いします!!


ソウ:この紙を見てください。今日の日付です。この紙を緑の窓口に出して変更をお願いしました。口頭でも今日だとお伝えしました。だからわたしは今日の日付だと疑わなかったのです。

車掌:はぁ……(知らんがな)。

ソウ:指定席じゃないと困るのです。わたしのミスではありませんから、なんとかして下さいませんか?

車掌:そうは言っても(オレのミスでもねぇよ)。

ソウ:もちろん〇〇さん(名札を見た)のミスではありません。〇〇さんは何にも悪くないです。でも何とかしてもらえると、とても助かるのです。


あなたのミスではないと言われた途端、車掌さんの目がキラリとしました。どうやらそこが大事だったみたいです。いま思うと。


車掌:わかりました! 〇〇号の〇〇にお座りください。

ソウ:ありがとうございます! 助かります!! 〇〇さんのおかげです!


すると車掌さんがチョイチョイと手招きした。なんでしょうか? 顔を寄せると小さな声で車掌さんが教えてくれた。


車掌:ちなみにこの並びの3列は、駅員のために確保している席です。私たちが座ることはまずありませんから、3席とも使っていいですよ♪

ソウ:ありがとうございます! 助かります!


お礼を言いつつ席へ移動する。あった、あった! 3列並んだシートの通路側に座る。ふう! これで大坂までゆったりできるぜ! 親切な方で良かった! 

買い込んだ駅弁を食べたらすることもなくなった。まだまだ先は長いなぁ~! なんだか眠くなってきた……。3席とも使っていいって言われたし、ちょっと一休み。


わたしは3席のひじ掛けを上げて、横になりました。ぐうぅ……zzz。













ぐっすり眠っていたのに、殺気で目がさめました! ほんとに殺気を感じたのです! 何ごとかと思って飛び起きると、指定席の車両なのに通路にたくさん人が立っている! 朝の通勤ラッシュのようにギュウギュウです! そうとは知らず3席使って爆睡していたわたしを、立っている方々が「殺すぞ!」という目でにらみつけていました! すみません! すぐ起きます!


あまりの殺気に起きたとはいうものの、残りの2席は空いたままです。わたしの席なら誰かに座ってもらいますけれど、駅員さんの席なので勝手にどうぞと言うわけにもいかない。ギュウギュウのすし詰めの皆さんはイライラした顔でわたしと空いた席を見ています。ごめんて……(涙)。でも、どうしようもないのよ……(涙)。


それが広島県あたりだったかなぁ? そして大阪までギュウギュウは続きました。やっと大阪駅へ到着したのは、夜の8時頃だったかなぁ? それとも9時頃かなぁ? 早く滋賀県に帰りたいよ……。在来線の乗り換えがわからなかったので、ホームにいた駅員さんに尋ねました。


ソウ:すみません。滋賀県の彦根(当時の自宅)まで帰りたいんです。

駅員:えええ!? もう特急(新幹線?)はないですよ!!

ソウ:でもおうちに帰りたい……。

駅員:各駅停車しかないですよ!? しかも野洲どまりです! 彦根までの電車はもうありません!

 

電車に詳しくないのでよくおぼえていませんけれど、どこかの駅で乗り換えをしたかもですけれど、各駅停車しかないのと、彦根より手前の野洲までしか行けないと言われたのはおぼえています。


ソウ;行けるところまで行ってみます♪ そこから先は、後で考えます♪

駅員:どうぞお気をつけて……。


各駅停車でもかまわないよ♪ 滅多に乗らない電車だから、遠足気分で乗るよ♪ そう思って楽しんでいたのは、最初の1時間くらいだけでした。あとは延々と続く各駅停車にずうっと文句を言っていまいた(苦笑)。ものすごく長い時間乗っていたように感じます。やっと野洲駅に到着した時、駅にはほとんど人がいませんでした。新幹線はあんなにギュウギュウしていたのが嘘みたい……。みなさん、おうちへ帰ったのですね……。わたしはまだ帰りつきません……(涙)。


その時はまだ人妻だったので、当時の夫が車で野洲駅まで迎えに来てくれました。夫がいたから良かったけれど、独身の今なら完全にアウトです。どうしようもなくて駅前で一晩過ごすかも……。


とくにオチはありません。でも怒りにまかせて「どうするんや!! ごるあぁあぁあぁ~!!」と怒鳴るよりも、丁寧にお願いしたほうが良い結果が出るかも……しれません。

それと切符は時間だけでなく、日付も見たほうがいいと思います。

それからちゃんと最寄りの駅までたどり着くのも大事だと思います。


いろいろ大失敗でした☆

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― 新着の感想 ―
[一言]  電車は眠りますよね。  ソウ先生、見事な交渉術でした。
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