序章 平凡な日常
何事もなく過ぎていく日常。
退屈しながらも不自由はしないこの生活が嫌いではなかった。
そして今日も3人夕焼けに照らされながら帰り道を歩き他愛もない話をする。
真ん中にいるのが僕 優木 朝輝
身長は3人の中でも一番低く、性格はどちらかと言うと控えめで運動も勉強も平均的な取り柄のない普通の中学1年生だ。
右にいるのが幼なじみで僕のお兄さんみたいな存在の闇堂 闘夜この中では唯一の年上で僕より学年が1つ上の中学2年生。
勉強にスポーツ、そして顔も性格もいい
所謂、しゅうがいけいちゅう?という完璧な人間それもあってか学校ではかなりモテモテで噂は絶えない。
左にいるのが同じく幼なじみの空野 葵夕
同じく幼稚園からの付き合いで僕と同じ中学1年生の女の子だ。
成績は僕とは比べ物にならないほど高くテストもいつも満点で超がつくほどの真面目。
学校では可愛いとよく言われてるみたいだが僕にはよく分からない。
っとあまりにもレベルが違うことでよくバカにされるが2人はそんなことを気にせず仲良くしてくれるそれがうれしーー
「おーい朝輝!なにボッーとしてんだよ!」
背中をバシンっと、音が鳴るほどに強くぶたれ倒れそうになる。ジンジンと痛む背中を擦りながら半分怒りを含めた表情で闘夜の方を振り向く。
「ねえ痛いんだけど…?」
「ハハッ悪い悪いそんな顔すんなよ!ただなんかいつもよりボッーとしてたからどうしたんだろうなって なぁ?葵夕?」
「そうだよ朝輝 この前だって電柱にぶつかってたの私知ってるんだからね?」
「おいおい…気をつけろよ朝輝」
すると、何が面白いのか2人が顔を見合わせるとくすくすと笑い始める。僕はそれが、とても妬ましく思い。頬を膨らませ2人の姿を視界の外へと外す。すると突然、頬をグリグリと押し付けられる感触が伝わってくると、次はぷにっと摘まれ軽く引っ張られる。「わぁに?」と
鬱陶しいという表情を見せびらかすように闘夜の方へと顔を向ける。
「あははそう怒るなよ。別に朝輝のことを仲間外れにするつもりはないから な?」
「うんうん!ところで朝輝。体育のある日は手提げカバンをいつも持ち歩いてたけど…まさか忘れてないよね?」
そう半笑いでこちらを、見つめながら問いかける顔に、少し憎たらしさを感じその言葉にすかさず否定で返す。そして、それを証明させようとリュックのジッパーを勢いよく広げ中を確認した。しかし、小さく「あっ…」と情けない声が漏らし視線を上に向けると。呆れたと言わん表情で朝輝を見つめていた。
「ご…ごめーん 体操服学校に取りに帰るよ…」
そう言うと朝輝は、リュックを担ぎ来た道を走って行く。
「ほんと朝輝ってほっとけないのよね。私達がいないとダメっていうか」
「あぁ、そうだな。あいつには俺たちが傍にいてやらなきゃな」
そして2人はまた見つめ合うと、笑い同じ夕日が眩しく光る方角へと歩き始めて行った。
…
…
「あーよかった…も〜なんで机の上とかわかりやすいとこに置いて忘れんの僕…まぁいいや!とりあえず早く帰んなきゃ!ご飯の時間には間に合うようにしなきゃだし。」
そう呟きながら学校の方を振り返り、今の時刻を確認すると、孤児院の方へと走っていく。
孤児院での夕飯の時間は、いつも18時だが体操服探しに無駄に時間を使ってしまい後10分しかない。とにかく急いで走っていると、見た事もない抜け道が視界に入ってくる。
こんなところに、抜け道なんかあったのかと、不思議に思っていると。学校であった噂話が、ふと頭をよぎった。
ねぇ?こんな話知ってる?最近、色んな所で行方不明事件が起きてるんだってー!
え!?なにそれ?!怖い話?
それがね!聞いた話だと、行方不明になる人は必ず『抜け道』ってのに入っていなくなるんだって〜。偶然、それを見た人がいたんだけどね。みんな口を揃えて、前まであんな道なかったって言ってるの!
っと世間では、そんな噂が広まってはいるのだが、正直そんな噂話よりも、遅れて闘夜達に怒られる方が余っ程怖いし…めんどくさい。
僕は、迷いながらもその道を進むことにした。
ーーーこの決断で。僕の平凡な日常が、終わりを迎えようとしていた。ーーー