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第1章 最終話 二心同体

「いやっ! 放してっ!」



 学校の屋上。10人以上の男たちが囲い、その内の1人が真光を押し倒していた。



「元はと言えばお前の兄貴が悪いんだぜ? 陰キャは陰キャらしくいじめられてればいいってのによぉ……!」

「いじめ!? まさかあなたたち、おにぃをいじめてたの……!?」


「知らなかったのかよ。つーか知らなくてもわかるだろ? あんなどうぞいじめてくださいみたいな性格してるんだからよぉ」

「……そう。いじめられて当然の性格してるからいじめられるなら、殺されて当然のあなたたちは殺されても文句言えないよねぇっ!?」



 男に押し倒されているのにも関わらず普通に力で押し返そうとしている真光のもとに。



「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」



 隣の棟の屋上から僕たちが飛び移り、真光の力に驚いている男を蹴り飛ばした。



「だから言っただろ? 俺より強いこの女に助けなんていらないって」

「そういうわけにもいかないだろ。もしものことがあったら僕は一生後悔する」


「そう言っといて屋上の位置間違えるポンコツだったじゃねぇか」

「いやだって屋上って情報しかなかったから……」


「とりあえず大丈夫そうだしカラオケに戻ろうぜ。女の1人や2人簡単にホテルに連れ込めるんだしさ」

「無理だって僕にはそんなの!」


「おにぃ……? いや、どっち……?」



 傍から見たら1人で言い争いしているようにしか見えない僕たちの顔を見上げ、真光は眉間に皺を寄せながら訊ねる。僕が僕なのか確かめたいのだろう。でもどっちで答えたとしても、真光には珍しく部分点しかあげられない。



「どっちもだ」



 それだけ答え、僕たちは真光にひどいことをしようとした男たちに向かっていく。



 白と黒の光を放ちながら。



「もっと意識ちゃんと保て! 俺に乗っ取られるぞ!」

「やってるって! でも安心したら力が……」


「しっかりしろよ! ずっと引きこもってたのに妹の危機を聞いたら急に目覚めやがって……!」

「ごめん……。こんな調子ならアノンに任せておいた方がよかったかも……」


「そいつはどうかな。俺に身体を受け渡したら、こいつら皆殺しにするぜ?」

「それは困る……!」



 現在制蛇光輝の身体の主導権は、僕とアノン。どちらにもあると言える。



 僕が3で、アノンが7。これが力の割合だ。普通にしていたらアノンが主導権を得てしまう。そこを無理矢理調整。僕とアノンの力の配分を均一にすることでこの状態を作り出した。



 僕と俺が一つの身体に。二心同体が僕たちの現状だ。これならアノンの暴走を止められると共に。



「ごめんなさいっ!」



 僕が放つ白い電撃が、男たちに降り注ぐ。



「記憶を失くせ」



 そして痺れている内に、アノンが近づき記憶操作。僕が進化能力を使ったことを忘れさせる。この二心同体なら、双方の進化能力が使用できる。



「ついでに自分たちがカースト最底辺って洗脳もしておいた。これで立場逆転だな」

「何やってるんだよ……! 後で洗脳解除して……」

「動くなっ!」



 あらかた倒し終わると、残っていた最後の1人が呆けている真光の後ろに回って首筋にナイフを突きつけていた。



「なにしたか知らねぇが調子乗りやがって……! お前は永遠に俺たちの奴隷やってればよかったんだよぉっ!」

「くっ……!」



 姑息な人質作戦。いくらこっちが速いと言ってもさすがにあっちのナイフが真光を刺す方が早いだろう。僕の放電は真光も感電させちゃうだろうし……。



「知るか」

「「ぎゃぁぁぁぁっ!?」」



 と思ったらアノンの奴! 真光のことも構わず白い電気を2人に向けて放ちやがった!



「ちょうどよかったじゃねぇか。むかつく奴2人を始末できるんだからよ」

「お前……やっぱり最悪だ!」



 2人が痺れている間に僕は黒い電気を身に纏い身体能力を向上。男の顔面を殴り飛ばした。これで男たちは全滅。そしてアノンの洗脳のおかげで僕がいじめられるというのも、こいつらからはないだろう。



「お……にぃ……」

「悪いな。今ので光輝は力を使い果たした。しばらく出てこれねぇよ」



 脳の出力を無理矢理上げた僕の意識はその反動で薄くなり、僕の身体は完全にアノンに乗っ取られた。アノンは危険だから離れろ、という忠告もできない。いや、真光のことだからそんなに心配しなくても……。



「ううん。あなたも私のおにぃだよ」



 そのはずなのに。真光は僕の身体……いや、アノンに抱きついていた。



「な……に……言って……」

「だって私を助けてくれた。あなたは気にしてるみたいだったけど、大丈夫。あなたもおにぃと同じで優しいよ。だから自信を持って。あなたたちの妹の私が言うんだから間違いないよ」



 そう言い聞かせるように囁く真光の頬は微かに赤らんでいて。



(お前……ほんと女の子を落とすの得意だな……)

『……妹相手にそんな気起こすかよ』



 アノンすら誑かす真光には本当に勝てないのだと、改めてそう認識するのだった。

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