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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

乙女ゲームの主人公と悪役キャラはログアウトの世界ではラブラブです!

作者: 輝静

たぶんセーフ、たぶんセーフ。セーフ……ですよね?

 ここは高校が舞台の乙女ゲーム、題して『BLUE SPRING』

幼馴染、先輩、クラスメイト三人の攻略対象と共に、悪役キャラによる妨害を乗り越えて恋に落ちるという王道ラブストーリーだ。


──しかしそれはプレイヤーが操作する主人公による恋物語、本当の恋愛というのはログアウト時に繰り広げられるものである。



◇◆◇◆◇



「好きです、私と付き合ってください!」

「……へ?」


黒髪黒目のミディアムヘアーの本作主人公の霧雨晴空(きりさめはるあ)は、作中以上に頬を赤らめ、スカートを皺がつきそうな程強く握りしめ、少々涙目で告白をした。


「あの、えっと、あたし?」


金髪茶色目のロングストレートの本作悪役キャラである青葉六華(あおばりっか)は少々困惑しながらも、確認のため自分を指す。


晴空はまるでヘビメタのように首を縦に振って肯定する。


「そんなに首振るともげそうだからやめて!」


六華はその両頬を手で優しく押さえつけた。


「それで、その、付き合ってもらえますか?」


元々平均よりは低めの身長、そのおかげか涙目にプラスして上目遣いを使う破壊力満点の主人公に、六華は首を横に振ることなど出来なかったのである。


「えっと、あの、その! ──よろしくお願いします……」


とても小さな、空気に混じって消えてしまいそうな返事だったが、晴空にはしっかりと聞こえていた。

晴空は幸せそうな笑顔を浮かべる。


「えへへ、これからよろしくお願いします」


ボフンッと音が聞こえてきそうなほど一気に顔を赤くした六華は、俯きながらも小さく頭を縦に振った。

こうして、晴れて二人はカップルとなったのである。



◇◆◇◆◇


「ねえあんた、あたしが吹雪(ふぶき)先輩を好きなこと知ってるよね? どうしてあんたが吹雪先輩に近づくわけ?」

「そ、そんなつもりは、きゃっ!」


六華は晴空の髪の毛を掴むとそのままトイレに引きずっていき、まるでゴミを放るかのように投げ飛ばした。


「い、痛い……」

「あんたが悪いんだからね。恨むんなら自分を恨みなよ」


六華は取り巻きが用意した、水がたっぷり入ったバケツを掴むと晴空に向ける。


「これで風邪ひいたらあんたしばらく吹雪先輩に会えなくなるね! いい気味だ!」


晴空はぎゅっと目を瞑る。

バシャンと大量の水がかかり、ポタポタポタポタと流れるように水が床に落ちていく。

カタンとバケツが落ちる音で晴空が目を開けると、六華が泣いていた。


「良かっ、た、良かったよ〜。水かけずに済んで良かった〜。ごめん、ごめんね晴空〜。痛くなかった? ううん、痛かったよね、ごめんね」

「ううん、大丈夫だよ六華。それよりも早く着替えないと風邪引いちゃうよ。私今日ここまでくると思ってたからジャージ持ってきてたんだ。だから着替えよう」

「うん、うん、ありがとう晴空」


晴空は六華の涙を拭くとそのまま自分の教室まで六華を支えていく。


「よお晴空、六華……って六華大丈夫か⁉︎ びしょびしょじゃないか!」


赤髪黄色目の少年が二人に手を振りながら話しかけてきた。


「いいの、晴空にかかるよりあたしが浴びた方が全然……」

「あ〜今日はあのシーンか。だから吹雪の奴、ずっと女子トイレの前でスタンバッてたんだな」

「おい霧氷(むひょう)、その言い方は語弊を招くからやめろ」

「いてっ!」


霧氷雪真(むひょうゆきま)の頭を後ろから叩いたのは白髪のロン毛に緑色のツリ目の松ノ内吹雪(まつのうちふぶき)であった。


「なんかごめんね吹雪くん、ずっと待ってもらっていたみたいで」

「いや、でも良かったな。たぶん中途半端なところで消えたから母の電源を引っこ抜き(強制ログアウト)だろうな」

「そうか、あともう少し進んでたら晴空と吹雪キスしてたもんな!」


雪真は再び吹雪に叩かれる。今度はより強く。


「いってー!」

「ものを言うならまず周りを見てから言え。青葉の心にくるだろう」


雪真が顔を上げると、明らかに先程より色を失った青葉六華が立っていた。


「あ、いや、悪い。ついうっかり……。あ、安心しろ! 俺たちがどんなに頑張ろうと二人の関係は崩せねぇって!」

「いいんだよ。だって、晴空は今日一回キスシーンを済ませているんだから……」


六華はさらに落ち込み、二人は何も言えなくなる。


「行こっか六華」


晴空はごめんねと小さく二人に伝えると、そのまま急いで教室に向かった。



 晴空は教室に着くなり鍵をかけて、自分の鞄からジャージを取り出す。


「はい六華」

「うん、ありがとう」


六華はジャージを受け取ると晴空の事をずっと見つめる。


「どうしたの六華? もしかして着替えさせて貰いたい?」


晴空はからかうようにそう言うと六華の顔が徐々に赤くなる。


「そ、そんなんじゃない! 恥ずかしいから後ろ向いていてほしいの!」

「えーでも六華の裸なんて何度も見てるよ」


晴空は六華のシャツのボタンを片手で慣れた手つきで外す。


「そ、それとこれとは違〜う!」

「あはは、冗談だよ冗談」


晴空は両手を小さく上げて笑った。


「もう、変な気起こさないでよ」


フラグとも取れる言葉を残して六華は背を向けてシャツを脱ぐ。

シャツがなくなったことにより、肌を守る服はインナーのみとなった。ブラの線がより分かりやすく浮き上がる。

普段と違って水で濡れた体、それは晴空にとっては扇情的である。


「うーん、まだ気持ち悪いな。インナーは脱いじゃおう」


インナーを脱ぐ時、僅かな水が晴空にかかる。そして晴空のタガがほんの少し外れる。


「は、晴空さん⁉︎」

「ごめんね、やっぱり無理だよ」


晴空は六華を背後から抱きしめる。

六華の胸は大きく膨らんで縮んでを繰り返し、晴空の吐息も熱くなる。

六華は深呼吸をしてなんとか理性を保ち、唾液を飲み込み晴空の手を離す。


「い、今は、ダメ」


振り返る六華の目は僅かに潤んでいた。


「そ、そうだよね」


晴空はさらに頬が赤く染まり、それを隠すかのように六華から目を逸らした。


「で、でもさ、どうして水を被ったの?」

「もうかける寸前まで動いていたから止められなくて。それで晴空にかけるならあたしが被った方がいいって思ったの」

「そっか、別にかけてくれて良かったのに」

「あたしが嫌なの」

「そっか、ありがとう」

「ん……」


会話が終わり、二人の間に沈黙が流れる。聞こえるのは六華がスカートと黒パンを脱ぎ、体を拭く音、そして二人の荒い呼吸音である。


  ジッパーを上げる音が教室に響く。


「晴空、着替え終わったよ」


六華の体より小さなジャージ、側から見たら不恰好だが、晴空には自分よりも似合っていると目を奪われていた。


「六華、可愛い」


ちょこちょこと近づいてくる晴空に向けて手を広げる。

晴空はそれを見るなり歩く速度を上げて六華の胸に飛び込む。


「六華うるさい」

「晴空もくすぐったい。マッサージ機当ててるみたい」


二人は見つめ合うとくすくすと笑った。

晴空は手の場所を上にあげて、六華の首にかける。


「ねえ六華、私の唇を上書きしてほしいの」

「もちろんだよ晴空。むしろさせてほしい」


二人は示し合わせたかのようにお互い目を細め、唇を重ね合わせると同時に目を瞑る。

二人ともお互いの暖かみを求め合うように深く深くと交わっていく。


「んっ……ふっ……」

「ちゅっ……はっ……んん」


お互い息がしづらく苦しくなったとしても、決して離れない。むしろより深く、お互いの呼吸で空気を交換し合うように繋がりを強くする。


二人が深くなればなるほどお互いの抱きしめる力も強くなる。


「りっ……かっ……」

「はる、あ……」


六華が僅かに目を開けると、背伸びして一生懸命六華を求める晴空の姿に胸を打たれる。

六華は晴空の腰と頭を支えてそのまま体重をかけ、膝立ちになる。

頭を撫で、頬を撫で、耳を弄り指を絡めて手を繋ぐ。

そのまま溶けてお互いが一つになりそうだ。

もう二人に残っている理性など無いに等しい。

そのまま晴空を押し倒してしまいそうになると、ガタッとドアが音を立てる。


その瞬間、遥か遠くにいった二人の理性が戻ってきた。


「あれードア閉まってる」

「馬鹿、青葉が着替えてるんだろ」

「そういえばそうだったな、おーい六華〜見てないから安心しろー! あと悪かったなー! あ、でもできるだけ早く終わらせてくれ、鞄置きっぱなんだよ」

「ご、ごめーん、すぐに着替えるから」


二人は目を合わせるとホッと息をついた。


「あ、危なかったね」

「ほんと、晴空の可愛い声を聞かせちゃうところだったよ」

「そこじゃないよ〜」


二人は小さく笑う。そのせいなのか、糸を引いた唾液が二人の手の上に落ちる。

二人は落ちた粘り気のある雫を見つめると、また軽くキスをする。お互いの唾液を舐めとる為に。


「それじゃあ、デートに行こっか」

「お家デート?」


六華がからかうように言うと晴空は六華の耳元でささやく。


「それは最後のお楽しみ」


六華はあまりの尊さに両手で顔を覆った。

そんな六華を晴空は撫でると鞄を渡す。


「行こう」

「……うん」


六華はヨロヨロと頼りなく立ち上がって教室を出る。


「ごめんね遅くなっちゃって」

「次からは気をつける」

「いいっていいって。それよりおま──」

「気をつけて帰れよ」

「「うん、またログイン時に」」


お互い手を振り合って別れる。


「ぷはー! 苦しいぞ吹雪!」

「お前は思った事をすぐ口に出そうとするんだから」

「仕方ないだろ、目についちゃったんだから」


雪真には頬を赤く染め、口の端からほんの少し垂れている唾液が二人についているのが目に入ったいたのだ。



◇◆◇◆◇


 二人は手を繋いでショッピングモールへと来ていた。


「見てみて六華、この服どう?」

「可愛いよ、けど晴空の服の割にはサイズ大きいし露出多くない?」

「いいの、だって私のじゃなくて六華のだもん!」

「ええ! 嫌だよあたし、肩出しとか似合わない……」

「そんな事ないよ! 六華スタイルいいし可愛いし、綺麗だし、天使だから!」


六華は晴空から目を逸らして恥ずかしそうに手で顔を隠す。


「それは晴空があたしの事す、好きだから、だよ」


晴空はほんの少し頬を膨らませると六華に詰め寄った。


「そんな事ないもん! 六華の体の隅々まで知っているあたしが一番六華の事知ってるもん!」

「は、晴空! 流石に小声でもそんな事言われるのはその、ちょっと恥ずかしい」


六華は頭から湯気が出そうな程だった。


「あ、ごめんね。でもそれなら着てくれるよね」


上目遣いを使ってくるなんて卑怯だ! と思いつつも、六華は頷いて晴空から服を受け取る。


「わー! やっぱり綺麗! 大人な女性って感じ! それじゃあ次はこれ着てね」

「え、ええ〜⁉︎」


晴空は有無を言わさず六華に服を渡してカーテンを閉めた。


「は、晴空め〜」


六華はため息をつきながらも服を着替える。

ふと鏡を見ると、そこには黄色のワンピースを着た、どことなく嬉しそうな六華の顔が写っていた。


「もう、仕方ないな」


カーテンを開けて一番に晴空のキラキラした目が六華の目に飛び込んでくる。


「わー! それすっごい似合う」

「さっきのより?」

「うん! ね、これ買おうよ!」


たとえ金欠であろうと、天使の笑顔の為であれば惜しみなく出せるとつくづく実感したのである。


「それじゃあ買ってくる」

「私はちょっと見たいものがあるからそっち行ってるね。会計終わったら連絡して」

「うん、分かった」


服を着替えて会計を済ませる。連絡をしようとスマホを取り出すと同時に肩を叩かれる。


「晴空、もう終わったの?」

「うん。はい、六華」

「え、何?」


晴空からもらった紙袋の中には靴の箱があった。


「開けていいよ」


六華は箱を取り出して開けた。中にはさっきのワンピースに似合いそうな白いサンダルが入っていた。


「今のワンピース着て、そのサンダル履いて夏休み一緒に出かけよう」

「え、そんな、悪いよ」

「いいの、私が履いて欲しかったから。それに、金欠なのに服買わせちゃったからそのお詫び。彼女からのプレゼント、ちゃんと受け取ってほしいな」


六華は箱をしまうと晴空を抱きしめた。


「ありがとう」

「お返しはその服と靴を履いた可愛い六華ね」

「分かった」


こんなに可愛くて優しくてちょっと意地悪な彼女ができて最高だ! と六華は改めてしみじみと感じている。

こんな良い雰囲気ではあるのだが、体は正直というか……ぐうぅぅぅと二人のお腹が仲良く鳴った。


二人とも恥ずかしそうに顔を赤くする。


「お腹空いたね。何か食べに行く?」

「あたしもうお金ないです。あと、食べるなら晴空の手作りが食べたい」

「それじゃあ帰ろうか。靴は持つよ」

「え、いいよあたしのだし」

「いいの、持たせて。お願い」


六華は晴空のお願いが発動すると逆らえないのである。


「はい」

「ありがとう」


両手が塞がって嬉しそうな晴空、六華はそれを見て微笑ましく思う。



◇◆◇◆◇


「ただいま」

「お邪魔します」


晴空の家に親はいない。いや、いないというより今のストーリーには必要ないから、現在は存在していない。


「何か作るから六華はお風呂入る? と言ってもシャワーになっちゃうけど」

「うん、それじゃあありがたく入らせてもらうよ」


晴空は料理、六華はお風呂とそれぞれ別れる。


「晴空、お風呂と着替えありがと……う」

「あ、もう出た? ちょっと待っててね、もうすぐできるから」

「あ、うん」


さほど長くない髪ではあるが、エプロンをつけて髪を結んでいる晴空はいつ見ても六華の心臓を止める程の破壊力を持っている。

今晴空に近づけば、料理どころで無くなるのは理解しているので、六華はできるだけ晴空を見ないようにしてテレビをつける。


だが、たかだか少々面白いくらいのテレビが晴空に勝るわけがなく、六華はメイン晴空、チラ見でテレビとずっと首を忙しく動かしていた。


「はい六華、ご飯できたよ」


待ってました! とばかりに晴空に寄る。


「待って!」


だがここで晴空の待てが入る。


「私の直径三十センチ以上は近づいちゃダメ!」

「うっ、わ、分かった」


別にこれは晴空が六華のことが嫌いだからではない。むしろ逆、好きすぎるが上の注意なのだ。

もし今六華が近づけば、食べられるのは自分、食べるのも六華だと分かっているからだ。


「料理は私が運ぶから六華はコップとお茶をお願い」

「了解です」


テーブルにはハンバーグ、焼き直したパン、スープ、温野菜が並べられていく。


「六華はもう一度台所で手を洗って。私は洗面所で洗うから」

「ハンドソープはどれ?」

「四角い容器のやつ」


お互い手を洗うと向かい合って座る。


「「いただきます」」


ハンバーグを半分に切ると、とろっとチーズが流れてくる。


「うわ〜チーズinハンバーグだ!」

「六華好きだもんね」

「うん! 特に晴空が作るものは格別だよ」 

「えへへ、ありがとう」


六華はハンバーグを口に入れると幸せそうに味わっている。


「六華、はいあーん」

「あーん」


晴空からもらったハンバーグを先ほどよりも美味しそうに食べている。


「美味しい、すっごく美味しい!」

「お口に合うようでよかった」

「それじゃああたしも、あーん」

「いや、野菜は自分で食べてよ」

「手強いな」


六華は渋々野菜を口に入れる。


「うわ、晴空が調理した料理は野菜でも天下一品。お店出せるよ!」

「ううん、私の料理が美味しいのは六華に喜んで欲しいからだよ。だから、六華に作る料理だけは特別美味しいの」

「そっか、それじゃあ晴空はあたしの嫁にしかなれないね」

「六華の嫁以外になる気はないよ」


まるで新婚のような雰囲気を漂わせながら、幸せな空気に包まれて二人は食事を楽しんだ。


「ありがとう六華、片付け手伝ってくれて」

「食べて終わりは申し訳ないからね」

「六華のそういうところ好き」

「へっ……」


いきなりの言葉で六華はコップを落としてしまった。


「おっと、危ない。また洗う羽目になるところだったよ」

「ご、ごめん」

「ううん、元はと言えば私だから。六華、これ食器棚に片付けといてくれる? 私お風呂行きたいから」

「も、もちろん、行っておいで」

「それじゃあよろしくね」


晴空は着替えを持ってお風呂に入る。


「はぁ〜。この後はデザートかな」


晴空は自分で口にして顔を赤くする。

気を紛らわす為に顔に水をかける。


 晴空は髪をある程度拭くと、ドライヤーと櫛、オイルを持ってソファーに座っている六華の足に挟まる。


「六華、お願い」

「仕方ないな」


六華は晴空から受け取ると、まず髪にオイルをつけた。


「お痒いところはありませんか〜」

「ありませ〜ん」


お互い顔は見えないが、同じように笑っているのは分かっている。


ドライヤーの音で他の音が聞こえなくなる。

テレビの音もかき消され、世界は二人だけのものとなる。


「晴空」

「んー?」

「髪、結んでもいい?」

「いいよ、洗面台の一番上の引き出しにゴム入っているよ」


六華は籠に残っている綺麗なブラをちらっと見ると、ゴムを二つ手にする。

テレビを見てる晴空を足で挟むと髪を梳く。そして髪を二つの束に分けて、それぞれのゴムで結ぶ。


「二つ結びにした?」

「うん、可愛いよ」


六華は晴空の頭にキスを落とした。


「晴空良い匂い、同じ物使ったはずなのに晴空の方が綺麗」

「六華の方が良い匂いだよ。髪もサラサラで羨ましいな」

「そんなことないよ、晴空の方が綺麗」


六華は再び晴空の頭にキスを落とす。


「欲情してる?」

「可愛い女の子がそんな言葉口にするんじゃありません」


六華はソファーから降りると、晴空を押し倒して口にキスをする。


「ベッドにいかなくていいの?」

「まだいいの」


六華は晴空に何度も何度も啄むようにキスをする。


口だけでなくおでこ、耳、頬、首、肩、手、胸元とどんどん下に下がっていく。


「んっ……」

「気持ちいい?」

「気持ちいいけど、焦ったい」

「そうだよね、ずっと期待していたもんね。見なくても分かるよ、濡れているのが」

「六華の意地悪」

「意地悪なあたしは嫌い?」

「ううん、好きだから余計にタチが悪い」


晴空は六華を引き寄せると、求めるように口に舌を入れる。

六華も晴空の舌を絡めとるように舌を動かす。


「ん、ふっ」

「ちゅ、ちゅぱ、ん……はっ……りっ、か〜」


縋るように目を潤わせている晴空に、とうとう六華の理性も限界を超えてしまった。

六華はいったん口を離すと晴空をお姫様抱っこし、そのままベッドに寝かして服をはだけさせ、そのまま一睡もせず夜を明かした。



◇◆◇◆◇


「ん……」

「おはよう六華」

「おはよう晴空。……ん⁉︎」


右手の指二本にぬめぬめとした感触があり、自分の指が今どこにあるのか見なくても分かる状態だった。


「ご、ごめん晴空!」

「大丈夫だよ。最後まで気持ちよくしてくれたから」

「そ、それならよかった?」


六華は無意識に指を二本とも口に入れる。


「な、舐めないで‼︎」

「あ、ごめんついうっかり。だって美味しいんだもん」

「もうやめてよ」

「晴空だっていつもしてるじゃん」

「そ、それは! そうだけど……」


晴空は何も言えなくなり口ごもってしまった。

六華はそんな晴空を見て笑う。


「む〜」

「流石主人公、あざとい」

「さすが悪役キャラ、意地悪」

「そうだよ〜あたしは意地悪なんだよ。だからあたしは晴空の可愛い顔を見る為ならなんでもするよ」


六華が晴空に覆い被さると、二人ともしばらくフリーズする。徐々に顔が動き始め、声をあげて笑った。


「狼さん、赤ずきんは狼さんが作った朝ごはんが食べたいです」

「朝ごはんは時間的に無理ですけど昼ごはんなら一緒に作りますよ」

「一緒に作ったらどれだけ時間がかかると思ってるのよ」

「夜ごはんになっちゃうね」

「昨日私が作ったんだから今日は作ってください。いつプレイヤーが来るかも分からないんだから出来るだけ早く」

「たぶんセーブされてないからあたしが晴空をいじめるところからだよね? 嫌だな〜」

「そうだね、でも私は案外楽しいよ。六華にあんな態度で接してもらえるのはゲームのキャラクターの時だけだから」

「あたしは嫌だよ〜。あとキスシーンも」

「仕方ないよ。でも、されたら上書きしてね」

「うん、もちろん」


二人は触れるだけのキスをすると服を着る。

六華は髪をポニーテールにし、キッチンに立って料理を始める。

今度は晴空がソファーに座ってテレビをつけ、六華を見守る。


「できたよー!」

「うわ〜和食だ!」


焼き魚に味噌汁、ご飯、きんぴらごぼう。

どれもとても美味しそうだ。


「「いただきます」」


晴空は幸せそうに箸を進める。


「晴空」


晴空は差し出された魚を口に入れる。


「うん、やっぱり六華のご飯が一番だよ」

「晴空への愛が詰まってるからね」

「最高の隠し味だね」


二人がご飯を食べ終わってしばらくすると、体のラインに沿って黒い線が浮かび上がってくる。


「プレイヤー、きちゃったね」

「うん。晴空、あたし晴空に酷いことするけど、晴空のこと大好き、ううん、愛してるから」

「私も愛してるよ。この世の何よりも六華を愛してる」


二人の繋いだ手は徐々に離れていく。


こうして、今日も偽りの恋物語をプレイヤーに見せていく。

もし少しでもよろしければブクマ、評価(できれば星5)、感想、レビューの方よろしくお願いします!

ただ女子をイチャイチャさせたかっただけです。


(あとR15の範囲がどこまでか分からないので、まずかったら伝えてください)

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[良い点] 歯止めが効いてない感 [一言] 指二本入ってるはスレスレな気がしますが、お口かもしれませんしセーフでいいと思いますw 歯形つきそう。
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