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ヘリオトロープ

 彼と一緒にいると、まるでずっと昔からそうしてきたような気がすることがある。どこにいても、何をしていても、彼が隣にいることは何よりも自然な気がするのだ。

「ねえ、私たち、どこかで会ってる?」

「さあ……そんなことないと思うけど」

 彼は不思議そうに首を捻る。

「でも確かに、時々そんな気がすること、あるな」

「本当?」

 そんな会話に気を取られたのが悪かった。握っていたハンドルを切り損ねて、車はガードレールに衝突した。


 彼岸と此岸の境目で、私は、私と彼の魂が何千年も昔から寄り添ってきたことを思い出した。まるでそうなるのが必然かのように私たちは出逢い、結ばれる。どちらかが先に死んでも、来世で必ず巡り逢う。

 私たちは初め、陸地に進出した両生類だった。その次はシダ植物、その次は火口に潜むバクテリア。何度も繰り返される輪廻の中で、いつでも私と彼は同じ生き物の姿をとった。人間として生まれてきたのも、これまでに何回かあったことのようだ。

 そして、今回は……。

 目覚めた時、私は白い部屋のベッドに寝かされていた。隣には大仰な機械を挟んで、彼が寝ている。安らかな寝顔に安堵する。

 何度も巡り逢えるのだとしても、この姿で会えるのはこれきりだ。その幸せを噛み締めて、生きていきたい。

 それにしても私の話を信じてくれるだろうか、と思いながら、その温かい手を握った。

花言葉「愛よ永遠なれ」

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