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 その美術館には、骸骨が描かれた絵ばかり展示されていた。絵の他にも彫刻作品や工芸品などが多数展示されていたけれど、そのどれもがどこか暗く、不吉な印象を受けた。歩を進めるに従って、自分の気持ちまでもが内側に潜っていくような気がした。

「死を思え、というのが、この美術館のテーマなんですよ」

 不意にそんな声がして、一人の青年が現れた。美術館のスタッフだ。彼は愛想の良い笑顔で、解説を始めた。

「骸骨は、死を表現しているんです。ご覧の通り、様々な服装、背丈で描かれているのですが、それらは全て、死者たちです。それを先導する、服を着ていない骸骨が、純粋な『死』」

 なるほど、確かに殆どの絵に、そうした骸骨の姿があった。誰にでも訪れる平等な死を、全ての人間の行き着く姿で表したのか。私が興味深そうに聴いているからか、青年は楽しそうに言葉を続けた。

「こちらの絵では、骸骨たちが楽しそうに踊っているでしょう。これは、感染症や戦争によって死が身近に迫って半狂乱になった民衆がヒステリーを起こし、踊り狂ったことをモチーフにしているんです。こうしたテーマを『死の舞踏』と呼んでいます」

 死の舞踏とはよく言ったものだ、と妙に納得しながら、私はもう一度まじまじとその絵を見つめた。耳の奥に、怯え切った人たちがもつれる足をめちゃくちゃに動かす音が響く。

 久しぶりの目覚めに際してこの美術館を訪れた自分の選択に満足し、私は青年に耳打ちした。

「死は私のような姿をしているのだよ」

 青年が目を見開き、私を凝視しようとしたが、そこにはもう、私はいなかった。

花言葉「あなたと踊ろう」

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