表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
308/365

シャクヤク

 あいつのことは、ずっと男子だと思っていた。いや、同じクラスなんだから女子だってことはさすがに知っていたんだけど、短く、ほとんど刈り上げたみたいな髪型も、いつもどこか擦りむいて絆創膏を貼っているやんちゃなところも、おれたち男子に混じって毎日グラウンドでサッカーをしているところも、どこをとっても女子には思えなかった。喋り方も他の女子みたいにおとなしくないし、遠慮しないでズバッと言うし、ゲハゲハ笑うし、スカートなんて着てるの見たことないし、大股開いて座るし、うん、やっぱり女子には思えなくて当たり前だ。

 それなのに、誰もいないと思って入った教室で、ジャージから私服に着替えていたあいつの顔が真っ赤になったとき、悪いことをしたなとか、ヤバいなとか、そういうことを思う前に、あ、可愛い、と思ってしまった。

「出てけよっ、この、ばか!」

 言葉遣いはいつもと同じなのに、ちょっと震えた声も、やっぱり可愛い。けど、その手が近くにあったサッカーボールを掴んだのが見えたから、慌てて廊下へ飛び出した。

 なんだよ、あいつ。男子じゃないんじゃん。

 放課後の廊下を早足で歩きながら、おれは、なんだか口元がうずうずするのを感じていた。

花言葉「恥じらい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ