表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
249/365

ハナズオウ

 神を殺したということは、私の信仰が失われたのだと、あなた方は言うのでしょう。私や他の信者たち、そして神様であるあの御方とで完結する完璧な円環を断ち切るということは、その外にいるあなた方からすれば、そのように見えるのでしょう。

 しかし、それは違います。私があの御方を殺したのは、ひとえに信仰ゆえ。

 あの御方は情け深く、聡く、未来を見通してらっしゃいました。独特の教義によってマスコミが変な騒ぎ方をしたときも、その器の広さを改めて示すばかりでした。あの御方は人類を遥かに超越していました。然るべき未来には恐らく動物という枠をも、いや生命をも超えたことでしょう。

 でも、そのときを待たずして、あの御方は神に相応しくないものになってしまいました。

 高潔で清いあの御方が、あろうことか、この私などに御心をお懸けになったのでございます。誰も肩を並ぶべくのないあの御方が、私の前に跪いて愛を乞うたのです。

 その姿の、なんと浅ましかったことでしょう。

 私の信仰が汚されたのは、そのときです。神は地に堕ちました。私は私の信仰を守るために、堕ちた神を殺さねばならなかったのです。

 ですから、あの御方が醜い俗物になりきらぬうちに、私のこの手で清めて差し上げられたのは僥倖でした。あの御方はかろうじて、その神聖さの名残を留めたまま逝かれました。そしてそれによって、私たちの神は、永遠のものとなったのです。

 老いも耄碌もしない、今現在のあの御方こそ、真実の神でなくて何でしょう。私は本当に、偉業を成し遂げました。あなた方の判決がどうあれ、私のこの清々しい気持ちは、永劫、消えることはありません。

花言葉「裏切り」「不信仰」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ