表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/365

ゲッケイジュ

 月の都には、大理石のように白く、美しい木が何本も立っている。丈の高い、曲がることなく天を突くその木には、枝がたったの二本だけ、幹の中途から枝垂れるように伸びている。芳しい香りの樹液は甘美で、月の人々が好んで採取するという。

 地上で人の愛を拒んだ人間は、死後、その木になる。

 白く滑らかな木肌は相手の心の一切を寄せ付けなかった冷酷さの表れであり、曲がらずに成長するのは、決して何者にも靡かなかったことの証だ。幹の中途から伸びた枝では、もう誰のことも抱きしめられない。甘美な樹液は彼らの後悔、傲り高ぶった過去の己への、悔恨の涙だ。

 月の人々は、それら白い木々を愛で、大切に育てる。樹液を食べ、香りを楽しむ。そして最後には、切り倒してしまう。

 白い木は無言で倒れ、同時に、地上の愛がひとつ報われる。そうして許しを与えられた木は、大きく息を吐く。かつて拒んだ愛のもとへ、駆けて行く。

日本で月桂と呼ばれる由来(月に生える桂を切る男がいるという中国の伝説)と、アポロンの愛を拒んで月桂樹になったダフネの神話とから着想しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ