表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/365

サンスベリア

「不滅の命を持っていると言う虎の尾を取って参れ」

 帝の言は絶対です。そんな虎いませんよ、などとうっかり漏らそうものなら、最後まで言わぬ間に首が飛びます。私たちは仕方なく長い旅に出ました。

 不滅の命を持つ虎は、未開の地を城とし、一歩でも踏み入れた輩に容赦なく炎を吐き燃やし尽くすと聞きます。私たちは一年かけてたどり着いた未開の地の一歩手前から、様子を窺いました。

 果たして、虎はいました。炎を吐いてはいませんが、悠然と大地を踏み締めて闊歩する様は正に王者。そしてその尾と言えば……と、そこで私たちははたと動きを止めました。そこには、あるべき長い尾が見当たりません。

 狼狽する一同のどよめきに、虎が一足飛びで距離を縮め、眼前に現れました。焼かれることを予期して身を縮めた私たちに、虎はただ静かに口を開きました。

「何用か」

「お、お、おおお、お、をいただきたいので……」

 震える口で誰かが言いました。

「お? ああ、尾か。いやすまんな、あれはもう他の者にやってしまった」

 虎は気さくに「非常に腹を空かせていて気の毒だったものでな」と続けます。私たちは呆気に取られ、次いで恐慌状態に陥りました。虎に殺されないとしても、このままでは帝に殺される。

 しかし聡い虎はすぐに事情を察し、知恵を授けてくれました。私たちはそのお陰で命拾いをし、そのお陰で、この国には虎の尾と呼ばれる、生命力に溢れた植物が生い茂るようになったのです。

 土に差すと増える植物を、帝は神秘の尾だとありがたがり、毎日ご機嫌でいらっしゃいます。

別名「虎の尾」

花言葉「永久」「不滅」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ