表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/365

ツバキ

 真っ赤な着物を着た女だということは分かった。暗い、小さな部屋の真ん中に、座る私と向かい合って、脚を横に崩して座っている。全体的な体の輪郭から女だろうと思うが、首より上が無いので確実なことは分からない。だが、きっと長く綺麗な髪の持ち主だろうと思う。

 女の首は、さっき落ちたのだ。私がここに座る前に。

 この部屋の襖に手を掛けたとき、何か、重くて柔らかいものが落ちた音がした。あれはきっと、この女の頭が落ちた音だったのだ。だがしかし、その落ちた筈の頭は、どこにも見当たらない。

 美しい女だろうに勿体ない。

 そう思って見つめていると、真っ赤な着物の女の胴体が、私の方に擦り寄ってきた。花の香りに目眩がする。

 女の白い指が私の喉元に触れた時、私は嘗て、この女の首に手を掛けたことがあったような気がしてきた。

花全体が落ちる様子から着想しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ