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レオノチス

 炎のライオンがやって来るという報せに、世界中が恐慌に陥った。

「まさか、まだ早すぎる。隣星系の太陽が消失してから一億年も経っていない筈だ」

「太陽の消化には少なくとも一兆年はかかる筈なのに、なぜ」

 各地の学者が集まって相談したが、炎のライオンがやって来る以上、人間に出来ることは無いという結論しか出せなかった。太陽を喰う、人知を超えた生き物に、何を出来よう筈も無い。

 かくして炎のライオンはやって来た。その星の人間と動植物が見守る中、太陽のすぐ近くまで、悠然と歩いて来た。燃え盛るたてがみ、燃え盛る尾が、まさに太陽のように輝く。

 そして次の瞬間、猫のように喉を鳴らしながら、何かにじゃれつくような素振りを見せた。

 一体何をしているのか分からず皆戸惑ったが、間もなく、炎のライオンは彗星にじゃれついているのだということが判明した。何百年かぶりにこの星に接近した彗星を、炎のライオンは追って来たのだ。太陽を食べに来たわけでは無かった。

 それから暫くの間、人々は、美しく燃える毛並みを持った大きなネコ科の生き物が、星の周りを楽しげに駆け回るのを、じっくり眺めることが出来た。

属名が「ライオンの耳」「ライオンの尾」、和名が「火焔被綿」であることから着想しました。

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