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ブルーデージー

 純粋な君を汚してはならない。

 ぼくの中の、このおどろおどろしいもの、君に纏わりつく、どす黒い粘着質の汚物の塊で、君の水晶のような透き通った魂を汚してはならない。ぼくは、ぼくのコートが君のスカートに触れるだけでも罪悪感に苛まれる。通学バスで隣に立って、君のお気に入りのコロンの香りを吸い込んだだけで、その場に平伏して謝りたくなる。

 それなのに君は、コート越しにぼくの腕に抱きついて、楽しげに話す。今日の担任の服装、お弁当のおかず、窓から見た雲の話。純粋な君の口から出てくる言葉もやはり純粋で、昨日から辺りに降り積もった雪のように白い。

 ぼくの中身を知らないくせに。ぼくが、どんな風に君のことを思っているのか、思わないように努力しているのかも、知らないくせに。

 今日は特別な日だから一緒にいられて嬉しい、なんて軽々しく言わないで欲しい。一年中、君の隣にいるぼくには、クリスマスなんて特別でも何でもない。そういう言葉の一つ一つで、ぼくは自分の気持ち悪さを知っていき、君の純粋さを思い知るのだ。

 街頭のイルミネーションを嬉しそうに撮影する小さな背中を見ながら、足元の雪に靴の底をなすりつけた。

花言葉「純粋」

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