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カランコエ
他人の幸せなんか糞食らえだ。その他人が、ついこの間まですぐ近くにいた場合は特に。
本当に、近かったのだ。すぐに手を掴める距離だった。その筈だったのに。
「この部屋、教会の鐘の音が聴こえるんだ」
初めて私の部屋に遊びに来た彼が感心したように言ったのを、今でも覚えている。そう、ここからは鐘の音が聴こえるんだよ。
ゴミ箱に突っ込む気力すら無くて、ただくしゃくしゃに丸めた招待状が目障りだ。窓の外が綺麗に晴れているのも、白い鳥が弧を描くのも、全部真っ黒に塗り潰してしまいたい。
部屋の隅で蹲り、固く目を閉じ耳を塞ぐ。
彼と誰かさんの幸せを告げる鐘の音が、決して聴こえないように。
花言葉「幸福を告げる」




