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ノースポール

 りん、りん、という音が、微かに、地面に張った氷の割れる小さな音の合間を縫うように、北の方から聞こえてきた。その音に目を覚まし、耳が冷え切って痛いことに気がつく。布団から抜け出るのが一仕事だ。

 ようやく起き上がってから、今シーズン初めて、ストーブの電源をつける。その合間にも、窓の外から、りん、りん、という音が聞こえている。鈴の音のような、氷を勢いよく弾いたような、透明で純粋な音だ。

 ストーブが唸り始める。その唸りに、りん、りん、が呼応する。この二つの音は相性が良いのだ。

 カーテンと共に窓を開け放つと、さっと冷気が入ってくる。同時に、微かだった、りん、りん、が、人の囁き声くらいの大きさに聞こえるようになる。鳥肌の立った全身を、りん、りん、が吹き抜ける。この音が、この瞬間が、私は大好きだ。

 ストーブが必要になるほどに冷え込む、その期間の始まりに、冬の女王が北からやって来る。りん、りん、は彼女の足音……冬の足音なのだ。

花言葉「冬の足音」

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