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ハイビスカス

 眩しい日差しの下、花を髪に刺した少女が目に入った。あの花はなんといったか……大ぶりで明るい色が、少女の黒々とした艶のある髪にぴったり似合っている。路上で舞い踊る美しい姿に思わず立ち止まると、少女の方からこちらに近づいて来た。芳しい花の香りが、ふわりと立ち上る。

「お兄さん、私のこと覚えてる?」

 首を振ると、少女は身を翻してくすくす笑った。

「私は毎日、新しくなるの。今日の私は明日にはいない。明日の私は、明後日にはいない」

 呪文のような言葉を囁きながら、少女は私の周りを跳ね回った。花の香りが強く、頭がくらくらする。

「だから、昨日の私はもういないのよ。今日の私は、今日だけなの」

 そう言えば、昨日出会った女性も、目の前の少女と同じような花を身につけていた。一昨日出会った幼い女の子も、その前日に出会った老婦人も。

「それじゃあ、また会いましょうね」

 私は明日にはいないけれど……、と歌いながら、少女は海辺へ消えて行った。あとには微かな花の香りだけが残された。

花言葉「新しい美」

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