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きゅう

 会場につくと、辺りを見回す。王家主催ということだけあって、全てが豪華ね。オーウェン様に差し出された腕をぎゅっと握る。それは、もちろん可愛らしく媚びるため、もあるけれど。


「……不安か?」

「少しだけ」

 私は、腹芸があまり得意ではない。うまくこの夜会を、乗り越えられるかが不安だった。


「大丈夫だ。……私がついてる」

「! はい」

 低く囁かれ、意図せず頬が赤くなってしまう。オーウェン様を崩したいのに、私のガードを完膚なきまでに壊されてどうする。軽く自己嫌悪に陥ってしまったけれど、すぐに立て直す。今の私は、公爵の婚約者なのだ。しっかり立たなきゃ。





 陛下から、私たちの婚約が発表されてから、入場する。紹介されて、一礼すると、この会を開催してくれたことに対する礼と改めて私たちの関係を述べる。


 そして、開幕のダンスを踊れば、夜会が本格的に始まる。私はここにいる誰よりも、幸福な顔をして、オーウェン様とダンスを踊る。


 美しいオーウェン様と踊れるなんて、とっても嬉しいし、他の貴族たちへ向けて、この婚約は順調なのだと示さなければならない。それに私はヒロインではないから、オーウェン様の闇を完全に払うことはできないけれど。そうやって踊ることで、皆のオーウェン様に対する恐れが、少しでも薄まればいいと、心からそう思った。


 そして、ダンスが終われば挨拶回りだ。といっても、オーウェン様は公爵だから王家の方々以外は、私たちからは出向かないのだけれども。


 心あるお祝いの言葉とたくさんの心がこもってないお祝いの言葉に笑顔で応える。


 頬の筋肉がつってきたら、オーウェン様を見て、リセット。オーウェン様を見ると自然と口角が上がっちゃうのよね。


 夜会で大事なのは尾を振る相手を間違えないこと。王家の方々にはとにかく失礼のないように。その他の方々には、物腰柔らかく。でも、媚びは売らない。私が媚びを売るのはオーウェン様だけだ。


 と、一通り挨拶回りが終わると。

「疲れただろう。飲み物をもらってくる」

 といって、オーウェン様が席をはずした。すると、大勢の女性に取り囲まれる。


「まぁ、おかわいそうね。あなた」

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お読みいただき有難うございます!
感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!
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