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【コミカライズも完結】死にたくないので、全力で媚びたら溺愛されました!  作者: 夕立悠理
新たな死亡フラグ!?

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80/89

さんじゅう

私を拐った男性二人は捕まった。それに巫女は再び時空渡りをした、ということになっているので、それから私が再び拐われることもなく、穏やかに日々が過ぎた。


 そして──。


 公爵邸に産声が響いた。




 「オーウェン様、ヴィクターですよ」

やっと、一息というか、息も絶え絶えなんだけど、そこでようやくずっと側にいてくれたオーウェン様の存在を思いだし、声をかける。


 オーウェン様は、泣いていた。


 「……ありがとう」

オーウェン様は、震える腕で私たちを優しく抱き締めた。


 「私を、愛してくれて。家族になってくれて、ありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございます。オーウェン様と出会えて、良かった」

出産中は死ぬかと思ったし、実際に魂の半分は抜けかけていたような気もする。けれど。腕の中にいるヴィクターを抱きなおした。小さいのに、重い。この重さを愛おしく思う。


 オーウェン様がいなければ、出会えなかった。オーウェン様と出会って結婚してから、幸せ度の更新は止まるところをしらない。


 これから先、色んなことがあるんだろう。でも、確かなことは私はあなたがそばにいてくれるだけで、幸せだということ。
















 本当に色んなことがあった。長男のヴィクターの反抗期だとか、長女のエリンが結婚したいと連れてきたのが、鬼だったとか。次男のルーベンの──……。あげだしたらきりがない。でも、でもね。私は。


 「オーウェン様、」

私は愛しいあなたに呼び掛ける。

「どうした?」

あなたは、なぜか泣きそうだ。そんなあなたに笑って、ずいぶんとしわくちゃになった手で頬を包む。


 「私、とってもとっても幸せでした」

「……っ、ああ。私も幸せだ」

最初はただ死ぬのが怖かった。自分が死ぬのが怖いから、あなたに媚びを売ることにした。でも。そしたら、今度はあなたと一緒に生きられないことが怖くなった。あなたと生きたいから、死にたくなくて。


 今だって本当は、死にたくない。意外と泣き虫なあなたのそばにずっといたい。でも。そろそろ、時間がきたようだった。


 腕から力が抜ける。落ちそうになった手をあなたが繋いでくれた。それに応えたいのにとても眠い。


 「……おやすみ、リリアン」

ええ。おやすみなさい。愛しいあなた。愛してるわ。


 ──これは、死にたくないので、全力で媚びたら溺愛されて、とても幸せだった私の物語だ。


お付き合いくださりありがとうございました!

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お読みいただき有難うございます!
感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!
連載中です!
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです [気になる点] 鬼や、早死、継承権問題に、時空渡り、色んな問題湧いた割に結局どうなったんだろ?と結果が見えないとこや、あっさり盛り上がりなく終わってしまったなぁと感じました…
2020/08/23 02:56 退会済み
管理
[良い点] 面白かったです。 [一言] 他のあなたの作品も読んでみたいと思いました!
[一言] 困難がちょっぱやで過ぎ去り、幸せだけを抽出した感じで楽しかったです。 ありがとうございます。お疲れ様でした。
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