表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズも完結】死にたくないので、全力で媚びたら溺愛されました!  作者: 夕立悠理
地雷を回避しましょう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/89

さんじゅうなな

「……嘘だった。信じられなかった。あの母が嘘をつくなんて。でも、私にはわかってしまう。それが、嘘だと」

思い返してみれば私は、母に誉められたことはあっても、愛してると言われたことはその一度以外なかった。そして、ようやく聞けたその言葉は、嘘だった。私は何度も何度も、母にすがり付いて、もう一度その言葉を確認しようとした。もしかしたら。もしかしたら、私の聞き間違いかもしれない。そう信じて。


 「ごめんなさい」

けれど母は、最期にそう言い残して、亡くなった。その謝罪が何に対しての謝罪だったのかはわからない。確かなことは、母は私を愛していなかったということ。


 「……すまない」

「え?」

「あなたを、泣かせるつもりは、なかったんだ」

オーウェン様に言われてはじめて気づく。私、泣いてたんだ。


 「ごめんなさい。私、泣く資格なんて、ないのに」

辛かったのは、泣きたかったのは、私じゃない。オーウェン様だ。それなのに。でも、涙が溢れて止まらなかった。


 「……いや、」

オーウェン様が、私の頬を長い指でそっと、拭った。

「ありがとう。私はそのとき呆然として、泣くこともできなかったから。こんなことを言うのはどうかと思うが、あなたが泣いてくれて、嬉しい」


 そういって、オーウェン様は微笑んだ。こんなに優しいオーウェン様のことをどうして。


 ようやく、私が涙を止めると、再びオーウェン様は、ゆっくりと話し出した。



 私は、そのとき絶望したんだ。もう生きている意味もないと思った。そう思って城を飛び出した。走って、走って、走って。気づいたら、森のなかにいた。そして、そこでようやく私自身の姿も変化したことに気づいた。私は妖狐になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!
連載中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ