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じゅうさん

「オーウェン様、そろそろ休憩いたしませんか?」

 最近、王城務めが多かったオーウェン様だけれども、今日は久々の家での執務だ。オーウェン様に声をかけると、オーウェン様は書類から顔をあげた。


「ああ、そうする。ありがとう」



 もはや恒例となった休憩兼お茶会をしながら、オーウェン様に話を切り出す。

「オーウェン様」

「どうした?」

「最近の私を見て、何か感じることはありませんか?」


 どきどきしながら、返答を待つ。オーウェン様に太った私がどのようにとらえられているのか、心配だった。醜いとか思われてたらどうしよう。


「最近……? ああ、今日は口紅の色合いが少し違うのだな。……似合っている」

 そういってオーウェン様は、柔らかく微笑んだ。

「! よくお気づきになられましたね」

 男の人って女性が思うほど、化粧に興味がないのかと思っていたけれど。オーウェン様は、観察眼も持っているのね。すごいわ!


「あなたのことだからな」

 さらりと言われた言葉に胸がときめく。って、違う違う。オーウェン様の心をゲットしたいのに、私がときめいてどうする。私が聞きたいのはそうじゃなくて。


「ありがとうございます。いえ、その通りなのですが、口紅のことではなくて。例えば私が……とか」

「どうしたんだ? 何かあったのか」

 該当部分を思わず口ごもってしまった私に、オーウェン様は真剣な顔つきをした。


「ですから私が……横に大きくなった、なんて思われませんか?」

 ギリギリドレスのサイズを変えるほどではないものの、確かに太ったことは事実だった。


「ああ、そのことを気にしていたから今日は、茶菓子に手をつけなかったんだな。体調が悪いわけではなくて、安心した」

 そういってオーウェン様は、安堵したように息つく。と、いうことは、やっぱりこいつ太ったな、とは思われていたのよね!? 事実だものね。事実だけども、ショックだわ。早く痩せなきゃ。


「別にあなたは痩せすぎなぐらいだったから、今の体型で丁度いいと私は思う」

 な、なんて優しいお言葉! でも、あと十ヶ月後には、結婚式を控えた身。少しでも綺麗になりたいのが乙女心というもの。でも、媚びのリリアンとしてはオーウェン様がこれくらいのほうがお好きなら、この体型を維持する方向でいこうかしら。


「オーウェン様は、このぐらいの体型のほうがお好みですか?」

「健康の範囲内だったらどんな体型でもいい。あなたが健やかであることのほうが重要だ」

 暖かな眼差しでオーウェン様は、微笑んだ。


 うわー! どうしよう、好き。好きになりかけてるとかいって強がってたけど、これはもう、好きです。私もう、オーウェン様に恋に落ちちゃってるわ。


 それにしても健康の範囲内で、か。なら痩せすぎも良くないのよね。よし、適度に筋肉をつけた美ボディ目指すとしましょう。

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お読みいただき有難うございます!
感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!
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