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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

マクバーゾンビー

作者: セロリア
掲載日:2020/01/11

マクバ槍術。


全長165cmの青色と金色の装飾が施された豪華な槍。


特別な金属で出来ているらしいとしか解ってはいない。


鉄より頑丈な上、少しだけ柔軟で、軽い。


柄の中は空洞?らしいのに、折れない。


柄の中は見る事は出来ないが、指で弾くと少し振動が響く。


日本。


岡山県、岡山市、岡山県立博物館裏の槍の道場兼神社の二階にその槍は静かに目覚めの時を待っていた。


神社の名前は蒼龍神社。


この神社の二人の息子。


弟は熱心に修行するタイプ、素直で優しいタイプだ。


兄は高慢で、喧嘩ばかり、運動神経抜群で、修行はサボってばかり。


兄は神社はお前に任せると常々弟に言っていた。


弟は兄の槍の才能を理解していたので、兄が継ぐべきだと主張していた。


父親は期限を設けていた。


高校1年の夏休み明けまでに世継ぎを決定すると。


夏休み明け、槍の対決そのものに、兄は姿を現さなかった。


兄はそれから姿を消した。


置き手紙には家を宜しく!とだけ書かれていた。


弟は世継ぎの儀式で、青の槍と勝手に呼んでいた槍を父親から深々と手渡された。


意外に軽い。


槍で鉄を切る儀式。


鉄のパイプが道場の中央に準備されていた。


弟が槍に認められれば、綺麗に切断出来ると言われた。


弟は意を決して振りかぶる。


〈ギャギン!〉 切れた。


集まっていた関係者らは立ち上がり拍手をした。


弟は父親を直ぐに見た、喜んでくれているだろうかと。


父親は難しい顔をしたまま、拍手をしていた。


2ヵ月後。


父親の兄の人に、思い切って聞く機会があったので聞いてみた。


何故僕は選ばれたのに、父親は喜んでくれていないのだろうかと。


父兄は言いにくそうにはぐらかすばかり。


しつこく質問した。


父兄は言いにくそうに、重い口を開いた。


父兄「切れたのは、凄い事だ、これは本当だ、嘘じゃあないんだよ、あの槍は認めないと本当に切れなくなるんだ、ただ・・」


弟「ただ?」


父兄「・・音が・・しただろ?切った時に」


弟「?うん、それが?」


父兄「・・あれは・・信じられんかもしれんが、あれは、仕方なく、切らせてくれたんだ、以前にも・・同様な事があったと古い日記に書いてある」


弟「・・じゃ・・何?・・兄貴がいないから、仕方なく、僕を選んだ?・・そういう事!?」


父兄「言いにくいが・・多分」


弟「じゃ、父さんが切ったら?音はしないの?」


父兄「ああ、しない」


弟「何故解るの?」


父兄「俺は切れなかった、あいつは、音をたてずに切った」


弟「あ・・」


父兄「本当に、スパ、ってさえ、音がなかったんだ、綺麗だと思ったよ、だから・・諦めたんだ、仕方ないんだ、これは、努力とか、そういうんじゃあないんだ、運命なんだよ、お前は、ある意味自由だ、このまま継いでも良いし、継ぎたくないなら、兄貴と交代しても良いし!な?」


弟「・・うん・・そうだね、僕のせいじゃないんだよね?」


父兄「そうだ、そうだ、それに、裏の人間国宝だぜ?日記さえかいとけば、年間2億!チョロい商売だぜ?だははははは、羨ましいぜ、だははははは!」


弟「40くらいで、兄貴がやっぱり継ぐって言って来たら?」


父兄「そんなクズ、親戚、国、全部許さねえよ!、大丈夫!心配すんな!、な?だははははは!」


弟「うん、ありがとうおじさん」


父兄「なんか食って帰ろうぜ!」


弟「うん!」









1年後。


兄はイスラエルに居た。


アメリカ軍として派遣されて。


激しい戦場でさえ、兄は敵を翻弄し、誰より殺した。


兄の上司に向かい反発意見で、クビになりかけ、違う部隊へ配属された。


兄が抜けたその部隊は翌日敵の罠にかかり、全滅した。


その功績から、死神と恐れられ、ビーストという名前の部隊に配属された。


そこでは、上司というのは肩書きだけの、実質全員友達感覚で付き合えた。


そういう場所だったから、兄は力を存分に発揮し、いつしか、皆、兄の意見を真っ先に仰ぐようになった。


一番年下なのに。


米軍は新しくリクティブという補助パワースーツの導入をしてきた。


戦場が変わった。


その後、家を出てから6年。


リクティブは最軽量化され、薄い電極シールになり、裸の状態で、それを貼るだけで済むようになった。


コンタクトレンズ型モニター。


裸に貼り付けるリクティブ。


液体金属製の軍服。


真っ先にどんどん任務を遂行する、そして短期間で戦果を上げ帰還し、休暇を楽しむ部隊、ビースト。


その中で一番年下でありながら、実質隊長の男、日本人。


彼の名前は、宗釼流刃 (そうけん るば)


21歳、身長170cm 、体重85kg、見た目、ゴツイが足が長い為、そんなにゴツくは見えない。


髪は黒、短髪。


流刃は任務終わりの夏休暇をニューヨークで楽しんでいた。


逆ナンされた女の子とデートの予定。


逆ナンしたのは初めてだったらしく、シドロモドロだった。


それが面白くて、OKしてしまった。


見た目はギャルだが、中身は優等生だった彼女は、父親が大学の教授らしい、お堅い家庭にうんざりしてきたとデートで言ってきた。


彼女はキリスト信者で、結婚するまで絶対に出来ないと言ってきた。


頭が良く、ガードも固く、優しい彼女に、流刃は夢中になった。


一生守りたいと、心に誓った。


初めてキスを許して貰った夜、地震が起きた。


軍コンバットから撃沈失敗の無線が耳後ろの小型シールから入る。

大型客船が大都市ニューヨークに直撃したのだった。


大型旅客機が3機、それぞれ3方向からニューヨークに堕ちる。


一瞬にして、ニューヨークは火の海に。


流刃「何が!?一体何がどうなってるんだ!?」


無線「こちら本部、繰り返す、こちら本部ビースト応答せよ」


流刃「こちらD1!これはどういう事だ!戦争か?」


本部「まだ確認中だ、至急モニターを付け、送った場所まで軍服を取りに行け、最優先事項だ、ゴーゴー!」


彼女「ねえ!何があったの?これは何?ねえ!ねえってば!」


流刃「フィリア!落ち着くんだ、まず、このお店の下にコンビニがあるだろ?このリュックをあげるから、水、強めの酒、ライター、チョコレート、乾いたパンを出来るだけ買って、どこかの屋上に行くんだ!スマホは電源落ちても絶対無くすな?それさえ持ってれば、世界中どこに居ても見つけてやる!フィリア!愛してる、俺を信じろ!」


フィリア「うん・・解ってる、あなたは?」


流刃「休暇は終わりだ、世界平和を守りに行くさ!ウーラー!」


フィリア「ふふ、またね!ルバ!」


流刃「ああ!必ず!〈ガラ〉」


4階ディスコの窓を開けた。


皆ザワザワ。


フィリアは手を振る。


流刃は飛び降りた。


驚いた皆は窓の下を見る。


流刃は一階と二階の高さで壁を蹴り、身体は落下から、横への動きへシフト。


転がりながら着地、走り出す、早い、車を抜いていく。


皆フィリアを見る。


黒人女「・・彼氏何者!?」


フィリア「知らない、でも、正義の見方」


ニコニコ話す、フィリアに皆呆れた顔。


黒人女「ワ~オ、イッツ・ク~ル」







走る流刃。


流刃「状況は?」


流刃の目に人工衛星からの鮮明な映像が次々流れる。


流刃「旅客機は大統領専用機!?大統領は無事なのか?」


本部「確認中だが、ああなってはまず助からないだろう・・」


流刃「手短に話せるか?」


本部「まず、3時間前、大型旅客船が大きく航路を変え、不安定な動きをしていると連絡があった、次に大型旅客機からも同じように大きく航路を変え、どちらも応答がない状態だった」


流刃「それで、時間だけが経過し、最後は爆破した?」


本部「そうだ、だが、大統領の判断を仰ぐ決断の時に、よりにもよって大統領専用機が連絡不能となろうとは・・」


流刃「副大統領は?」


本部「それが副大統領とも連絡がつかん状態なんだ、今各局が対応している、皆走ってるよ、こっちはコーヒーが零れても書類で拭いてるんだ、で?そっちは?皆は既に軍服を手に入れ現場に向かってる」


流刃「?なんだ?あいつらニューヨークに来てたのか?」


本部「あー・・なんだ・・その・・」


流刃「あ?」


本部「幸せそうで何よりだ、ルバ、おめでとう」


流刃「・・てめえら、人の休暇を覗いてたなあ!?」


本部「まあまあ、そう怒るなよ、機密機密の組織なんだ、美人局に警戒するのは当然だ、違うか?」


流刃「そんくらい自分で探れるさ!」


本部「ほーん、じゃ、彼女の家は?兄妹は?親の兄妹は?」


流刃「うぐ!?・・」


本部「安心しろ、彼女は敵じゃない事が確認取れた、だからおめでとうと言ったんだ、改めておめでとう」


流刃「・・ああ!ああああ!ありがとうよ!ご親切にどうもお!」


本部「どう~致しまして~」


流刃「ったく!」 ビルに囲まれた公園の砂場にボックスとパラシュートが落ちていた。


流刃「発見した、これより、着替え、現地に向かう」


本部「了解、聞こえるか皆?リーダーがもうすぐ着く、気合い入れて調査宜しく!」


8人『アイアイサー』


D2「な!?なんだ・・これは・・」


本部「どうした?D2?報告せよ」


D3「これは・・人間が人間を喰ってるのか?」


本部「細菌兵器の可能性あり、繰り返す、細菌兵器の可能性あり、本隊は速やかにビーグルモードへ移行、映像解析により、頸動脈を狙い、噛みつく模様、噛まれた人間は場所により、死亡が確認、仮にゾンビと名付けるが、ゾンビは死体とみて間違いないようだ、新たに噛まれる人を救助する為最も正解に近い答えを聞こう!まず、D1!」


流刃「・・殺すべきだ」


本部「D2」


D2「殺すべきだ」


全員殺すべきとの回答だった。


本部「作戦は全ての感染者の排除、治療法があるかないか解らん現状では、正解は排除だ、ウーラー!」


ビースト『ウーラー!!』


本部「では現時刻を持って状況開始!救出する人物はバスの中にでも放り込め!」


ビースト『了解!』


軍服は液体金属製であり、ムチのような長いナイフを作る事が可能。


兵士の頭に埋めてあるチップにより、この軍服は自由自在に操る事が出来る。


走るゾンビらを頭を優先、遅らせるなら腕、足からも可能、自動で切っていけと命令する。


液体金属は命令通り、歩く兵士の回りに群がるゾンビ集団を最適解で切っていく。


兵士は歩くだけで、ここら辺のゾンビを全滅させた。


本部「現場の上空にはドローンが飛んでサーモがあるが、サーモは役に立たない、なんせ死んでるんだからな」


流刃「ふう、到着した」


本部「おいおい、社長出勤かあ?」


流刃「うるせえ!一番遠いんだ、仕方ないだろ?」


本部「ここら辺は飛行機が墜落した場所だ、次は港だ、急ごう!」


ビースト『ウーラー!』


港に着くまでにもゾンビを狩りながら進む。


適当にバイクを拝借。


バイクを運転しながら、液体金属軍服が自動でゾンビを切っていく。


港付近に到着。


数多くのゾンビが居るがそれらは別に大した事ではない。


が。


2人。


燃える船の煙突部分に立っている。


女の子だろうか。


船の壁には犬?みたいな生物が200は居るだろうか。


爪で張り付いているようだ、普通に壁を歩いてる。



流刃「・・お前ら、雑魚は任せる」


他8名『ウーラー!』


9名一気に燃える船の壁を液体金属軍の下腹部、足、変化した爪で駆け登る。


流刃は真っ直ぐに煙突に向かう。


流刃「お前らの飼い主はイスラエルか?シリアか?パキスタンか?アメリカの裏か?答えろ!!」


叫びながら登る。


流刃に向かって先が刃物みたいに変化した触手を何本も飛ばして来た。


流刃は真横に跳び、爪で着地、試しに触手の一本を切った。


〈ジュシイイイイイピィウプスプス〉 液体金属が溶けた。


流刃「チッ体液は強酸かよ!お前ら!犬も強酸かもだぞ!バッグを使え!」


8名『ウーラー!』


背中にからっていた、ほぼ長方形の箱。


箱は細かい粒子で出来ていて、中にエネルギーであろう青とピンクの液体?が入った細長いマガジンみたいな形のモノを粒子が取り囲み銃に変化。


レーザー銃、タイプマシンガン。


〈バシュ!〉 とレーザー銃が飛び出し、兵士の目の前へ。


兵士はキャッチ、撃つ。


犬達は次々殺られていく。


流刃は左手にレーザー銃を取り、撃つ。


初めて触手2名は動き、左右に別れた。


流刃は左の方を先に仕留めようと撃ち続ける。


右の敵が流刃の右脇腹を刺した。


自動防御が追い付かない速さだった。


流刃「がは!?」


自動攻撃が当たる前にバク転でかわす右敵。


左の敵をまだ撃つ。


かわす、かわす、かわす。


右敵がまた触手を壁に刺し、自身をパチンコ玉に見立て、発射、触手の剣先の束が流刃を襲う。


流刃「(触手を切る訳にはいかん!)」


膝を曲げイナバウアーしながら右敵本体へ軍服から伸びた鎌で切りつける。


鎌の部分に手を添えてかわした。


流刃「!?」


反対側へ飛んでいく右敵をそのままレーザー銃で撃ちまくるが、壁を走り回り当たらない。


左敵が触手から針を出し、振った。


軍服が脳から命令を受け盾になり、ガード。


何とか目のすれすれで止めた。


流刃「(まじかよ!?鉄鋼弾より切れるじゃねえか!!)」


流刃に二人が走る。


流刃「ああ・・仕方ねー・・」 


ガードを解き、壁から降りる。


二人は逃げる気かと、追う。


地面に着地、素早く走る流刃。


二人はそれを追う。


部隊から二人はついでに撃たれるが、無視、構わず、流刃を追う。


流刃は事故で燃える広い道路へ来て、振り返った。


二人は足を止める。


流刃「お前らにはこんなの意味ないな」


軍服を脱いだ。


二人『・・』


流刃「お前らは米軍が保護する、だから戦いはもう辞めるんだ」


二人『私達には時間がないの、早く死んでください』


ジリジリ迫る一人と、触手から針を出し、飛ばす準備の一人。


流刃「・・最初から俺狙いか・・ふすー・・こぉおおー・・」


格闘の構えをする流刃。


流刃「悪いが・・手加減出来ない、お覚悟を」


針が飛んで、流刃は左へかわしながら前へ。


鋭い触手が横から切り付けるのを下へかわし、右足で地面を蹴り宿地、お腹にナイフを上向きに刺し、頭にかけて、切り上げた。


左敵「うげぶ!?」


右敵「うあああ!!」 


針をでたらめに飛ばす、飛ばす。


素早くバク転し、車でガードする流刃。


右敵の足元からゴロン と音。


手榴弾が爆発、右敵はよろめき、頭を持たれ、首が飛んだ。


左敵は膝を着き、あうあう、言っている。


流刃「・・さらばだ」


左敵「・・うん、バイバイ」


流刃「!!!」 


急いで離れー《カ!!!!》


流刃「ウアアアアアアアアア!!!」 


《ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!》







〈ピッーピッーピッー〉 


流刃「ん・・」


流刃は米軍の病院に居た。


奇跡的に五体満足であった。


しかし、吹き飛ばされ、背中を強打し、二度と走ることは出来ないだろうと告げられた。


医師女「何故軍服を脱いだの?」


流刃「わすがな重りですら、致命的だった・・あの判断があればこそ生きてる、防御に気持ちが少しでも傾いたら・・首が飛んでたか、串刺しだった」


医師女「そう・・・・ルバ・・貴方はとても優秀で、貴重な人材だった、退職金も弾むそうよ、だからお願い、辞退すると言って」


流刃「冗談だろ?リハビリを受けさせてくれ、日程は任せる」


医師女「ルバ・・貴方は走れないの、解って?」


流刃「・・バイオ技術で脊髄を改造してくれ!聞いたことあるんだ、噂だけど、君は何か知ってる!違うか!?」


医師女「・・それは・・その・・」


流刃「お願いだ!リサ!俺を現場に帰してくれ!君になら出来る筈だ!頼むよ!リサ!!」


リサ「・・出来ないの・・まだまだ改良の余地があって・・バイオ、菌やウイルスを甘くみないでルバ、死んでしまうわ・・あなた・・死んじゃう・・」


優しく諭され、流刃はトボトボ出て行った。


リクティブも回収、コンタクトも、全ての機密装備を返却した。


恋人に退役軍人になったと伝えた。


ふられた。


何もかもを失った。


日本に帰りたくなった。


数日後、日本円にして3000万振り込まれた。


日本の口座に送ったら3800万になった。


空港に着いたら、弟が迎えに来ていた。


弟「久しぶりだね兄貴」


流刃「・・三器 (みき)・・久しぶり、すまない・・こんなだめだめな兄で・・う・・うう・・」


三器「ううん、でも、良かった、思うより早く帰ってきてくれて、兄貴、家、継がないかい?どうせやることないんだろ?」


流刃「・・え?いや、だって・・お前は?」


三器「僕、飽きちゃって、今度お店開くんだ、とは言え、僕はビルのオーナーで、働く人は別なんだけど、それに彼女と結婚の話も出てきてるんだ、彼女は日本が狭くて、海外に行きたいそうだから、・・その・・カナダに行きたいそうだから、だから・・」


流刃「・・そうか・・つかお前まだ19だろ?早くないか?」


三器「違うよ兄貴、昨日二十歳」


流刃「あ!そ、そうか・・いやいや!二十歳だぞ?結婚ってお前・・」


三器「いいんだ、もう決めたんだ、だけど、海外へ行く、ああ、移住か・・それをするというのはって諦めてたんだ、そしたら、丁度兄貴が帰ってくるって言うじゃないか!ビックリしたよ!まさに天の采配だ!ってね!」


流刃「でも、俺は槍を振るえない」


三器「大丈夫、槍に認められさえすれば良いんだから!」


流刃「でも」


三器「とりあえずなにかしら食べよう!」


流刃「・・ふっ、ああ、そうだな」



家に帰り、敷居を跨ぐ前に両親へ土下座。


両親は笑って許してくれた。


そして、儀式の日。


集まった審査委員の人々の視線が注ぐ中、流刃は二回目の感触を手で味わう。


流刃「・・3歳で触った時以来か・・」


槍 〈ヒイイイイン〉


流刃「うわ!な、なんか鳴った!?」


審査委員らの何人かが立ち上がり流刃を驚いた表情で見つめる。


父親は顎を触りながらニタニタ笑っている。


会長「ええい!取り乱すな!霊槍が喜んでおるだけじゃ!さ!流刃君!思い切り振りたまえ!」


流刃「・・は、はあ・・で、では」


立ててある鉄棒に対し、振りかぶる。


〈ーーーーー〉 振り下ろしたが鉄棒は何も変化無し。


また立ち上がった人々、さっきより多い。


会長「まさか・・まさか・・幸光の再来か!?それほどか!?」


流刃「あのう・・もう一回切っていいっすか?なんかずれたみたいで・・ははは」


審査委員の一人「いいえ、流刃君、やり直しはなりません」


紳士な品が良いおじ様がスタスタと歩いてくる。


審査委員1「ではこれより皆様には歴史の生き証人となって頂きます、これが、霊槍、蒼龍の、国子との御子の槍の伝説の切れ味でございます、しかと見届けましょう」


ビデオカメラが大量に回る。


紳士「では・・」


立ててある鉄棒に指で触れる。


何も起こらない。


紳士「それでは、少し強く押します」


流刃「 (?だから切れて無いんだっての)」


紳士がぐぐっと力を込め、上の鉄棒を押した。


〈フワ、カララ!ララランコロコロコロ・・〉


流刃「〈ポカーン〉」


父親「しゃあ!!」


三器「・・はは」


審査委員『うおおおおお!!、凄い!伝説は誠じゃったあ!、いやはははははは、めでたい!めでたいのう!!がははははは!』


流刃は改めて槍を見る。


別に普通の派手な槍にしか見えない。


槍 〈ヒイイイイン〉


流刃「 (また鳴いてる)」


審査が終わり、改めて正式な継承者として流刃が国に認定された。


審査委員らは満足して帰って行った。


紳士「流刃君」


流刃「あ、どうも」


紳士「君は背骨を痛めて走れないそうだね?」


流刃「あ、はい・・認定は取り消しですよね・・」


紳士「ふふ、いやいや、違うよ、私が言いたいのは、霊槍を抱いて毎日寝なさい、それだけですよ」


流刃「は?」


紳士「カバーは付けても付けなくても良い、どうせ切れないからね」


流刃「いやいや、あんな切れ味・・危ないですって!カバー付けても危ないですよ!」


紳士「いいから、言った通りになさい、走れるようになりますから」


流刃「・・は?・・は、はあ・・」


紳士「君は大変素晴らしい、期待しているよ」


肩を叩かれた。


流刃「は、はあ、頑張ります」


紳士「はははは、では失礼」


車に乗り込み、去って行った。


父親が流刃の頭に手を乗せ、家に入る。


流刃は暫く道場で青い槍を見つめていた。


深い青い色の柄に、金色の色んな動物の絵がある、滑り止めだろうか、絵は、少し柄からモッコリしている。


鷹。


馬。


龍。


それぞれの絵は大きい。


だから金色も目立つ。


龍の絵をまじまじ触る。


少しだが、カタカタ動く事に気がついた。


流刃「?」


他の絵も少しだが柄に引っ込むようにカタカタ動く。


流刃「まさか・・これ・・嘘だろー?はははまさかね、そんなあー・・んなまさかあ!?ははは」


改めて龍の絵を思い切り押す、が、びくともしない。


流刃「はあはあ、駄目だ、やっぱ勘違いかあ?ったく」


槍の後ろの部分を見る、良く見ると、柄と、槍の後ろの石突きの部分、丸い金の玉?との繋ぎ目が変だ。


流刃「まさかねー」


まさかと思いながら、誰もいないことを確認してから、龍の絵を押しながら思い切り下の板張りに槍の後ろ、金玉を叩いた。


《ガシャ》 3節棍。


細い糸が6本関節になり、龍のようになった。


流刃「・・・・・・・・・・」


戻そうと色々やってみた結果、後ろの丸い金玉を捻れば、巻き尺みたいに戻る仕組みのようだ。


次に馬。


《ガシャ》 剣先が一本から三本へ変化、十字槍。


柄の部分から左右に広がる剣先。


鷹。


《ガシャ!》 ゴトンと剣先が床に落ちた、剣先は細い鉄?糸一本で繋がっている。


流刃「・・長さは?」


後ろにどんどん下がり、スルスル柄から鉄?糸が出てくる。


11M、それが鷹モードの間合いだった。


流刃「戻そう」


金玉を捻ると、早い!かなりの早さで音を立て戻っていく。


〈ガキン!〉 戻った。


鷹モードは糸が出ていく状態で鷹の絵を離すと糸の放出が止まり、また、絵を押すと出て、金玉を捻ると巻き取り、捻るのをまた元の位置に戻すと巻き取りが止む事が解った。


最初から最後までしないと、他のモードの影響を受けない事も解った。


流刃「以上の事を踏まえると・・あー・・・・この槍を作った奴は・・・・変態なのかな?」


実験終了後丁度、三器からご飯に呼ばれたので、道場を退出した。


食事中に仕掛けを話した。


最初は誰も信じなかったが、実際に見せたら、驚いていた。


儀式だけにしか使われていなかった為、あまり触らなかったのが原因だった。


審査委員の会長が呼ばれ、大変驚き、研究期間が欲しいと、そのまま持って行った。


研究結果によれば、特殊なバネ、それもかなり強力なバネが使われていて、錆びない材質らしい。


糸の金属は解らないそうだ。


現在発見されているどんな金属よりも硬くしなやかな材質で、ダイヤモンドより硬いらしい。


バネの強度、歯車の強度は、200キロまで巻き上げることが可能だったとのこと。


会長「いやはや、誰がこんな仕組みを・・特に糸の材質は宇宙から来た隕石、それもかなり特別な隕石を使用したとみられる、もっと詳しい材質波形の調査が必要だが、ダイヤより硬い物質をいったいどうやってこんなに細く加工出来たのか・・どんな文献にも記述が見つからん、これは、我々が想像している以上に、古いモノなのかもしれん」


波形データはもうとったからと、返却された。


それからは毎日槍を抱いて寝た。


不思議な事に、少しずつではあるが、足に力が戻っていく気がした。


槍の稽古は毎日した。


そして、新しい恋の出逢いも無いまま修行だけの生活が10年続きー・・。


31歳。


クンフー、気、最高潮に良い境地。


霊槍を持てば最初に必ず槍が鳴く。


すでに鷹、馬、龍、それぞれの戦いかたを研究し、達人になっていた。


特に糸を使った動きは、集団の敵をまとめて切り倒す業だ。


あの液体金属軍服もなかなかだったが、間合い、切れ味が比較にならない。


弟である三器は今はカナダだ。


父親も今は引退が口癖になっている。


爽やかな冬の早朝。


いつものように朝練を終え、槍の手入れをし、風呂に入り、飯を食べていた。


ニュースでアメリカがゾンビパニックになっている事が報道された。


流刃「とうとうアメリカにも来たか・・西側が最初だったのに、日本は外来種対策がしっかり働いてるな、西、中国、台湾、日本を飛ばしてブラジル、そしてアメリカか・・怖いな」


日本の警官もセミオートに変更になり、自衛隊もとっくに国防軍へ名称が変わった。


一般社会においても、ゾンビマニュアルが出回り、早期発見、通報が国民義務となっている。


ただし、犬型、巨大な怪物型については警官、もしくは、国防軍に通報するようになっていて、絶対に戦わずに、避難するようになっている。


まだ日本での目撃情報は無いが警戒が必要とニュースで言っている。


流刃「・・」


あの二人を思う。


流刃「 (あいつらは強かった、絶対にただの感染者ではない、どこから来て、目的は何だったのかー・・)」


父親「何だ何だ?難しい顔して?嫁さんか?そろそろ欲しいか?」


流刃「まあ、欲しいね」


父親「がははははは!よし!待ってろ!」


父親は自分の部屋に行き、戻ってきた。


父親「見合いだ!見合い!お前なかなか良い男だから結構申し込み多かったぞ?勿論収入は一般男性と同じにしておいた!がははははは!」


2冊の本を持ってきた。


流刃は父親に感謝しながらページをめくる。


18人、全員タイプではない。


流刃はごめんなさいと謝り、本を置き朝食の続き。


父親「・・」 


悲しい顔の父親。


その年も無事に終わり、正月。


初詣の客が沢山やって来る。


一般バイト巫女の女子高生が鈴を落とし、それを流刃が拾う。


流刃は私服で、お洒落に決めていた。


丁度行き付けの侍の剣術道場近くのカフェから帰宅したところだった。


流刃は特に気にせずに拾い、手渡す。


流刃「( 可愛い巫女さんだなあ、目の保養保養)」


としか思わず、さっさと神社の横の家に帰る。


巫女さんは、ぼーっとそれを見つめていたが、違う巫女さんに呼ばれ、慌てて仕事に戻っていった。


それから一週間、巫女さんは、流刃に向かって行き、何かと話をするように。


巫女さんは、バイトが終わってからも神社に遊びに来た。


裏庭で流刃が修行するのを早朝から見て、凄い凄いと、拍手。


流刃も別に嫌な感じはしなかった。


バレンタイン。


巫女さんは、制服姿で流刃に告白。


流刃は困った、数秒悩み、卒業してから付き合うと約束した。


女子高生は大変に喜び、両手を繋ぎ跳び跳ねた。


流刃は別に期待はしなかった、一時期だけの感情だと言い聞かせた。


案の定。


卒業式の日に女子高生は手紙だけを送って来た、内容は大学に行く事になりました、ごめんなさいとだけ。


流刃は手紙を大量の枯れ葉、おみくじ、御札と一緒に燃やした。


その3日後。


父親の友人の娘とのお見合いが急遽決まった。


父親曰く、お前には任せられん、俺が決めた、そう言い、聞く耳持たず。


父親「あいつの娘も32だし、それに、あっちもかなりの偏屈らしくてな!見合いやら何やら全部すっぽかすおてんばらしいぞ?がははははは!気が合うじゃねえんか?がははははは!」


流刃「・・はあ、卑怯だよ、父さん、今になって昔の家出の事持ち出すなんて」


父親「やかましい!お前は強引にでも結婚させなきゃ、いつまでもうじうじうじうじ!任せろ!俺に任せろ!がははははは!」


流刃「・・はあ・・」


そうして、豪華な日本庭園のお屋敷に通され、女性を待つ流刃。


流刃「き、緊張してきた」


父親「そうか、良いことだ」


流刃「・・」


父親友人「よう、久しぶり」


父親の友人、男性が入室し、入って来た。


顔は赤黒い。


父親「おま!?どうしたん?そん顔?」


父親友人「いやははははは、まあまあ、娘が暴れてな」


流刃「 (まじか・・)」


父親「ほおー、元気あるなあ、柔術使いのお前に怪我させるか」


父親友人「まあな、かなり強い、だが、なまじ才能があるだけに、・・な」


父親「ああ、まあ、そうだな」


父親友人「君がルバ君?」


流刃「あ、はい流れる刃でルバです、宜しくお願いします」


父親友人「初めまして、徳川弥彦 (とくがわやひこ)です、遠いからなかなか会えないからね、最初に会ったのは君がまだハイハイしてた頃だから全く覚えてないだろ?」


流刃「あ、はい、全く」


父親「主役は?」


弥彦「そこに居る、入りなさい」


襖が開き、ピンクの着物の美しい女性が入室してきた。


流刃「 〈ポカーン〉」


父親はニヤニヤ。


娘はずっと下を見ている。


弥彦「娘の雛美 (ひなみ)です、ほら!挨拶して!」


雛美「徳川雛美です、宜しくお願いします」


流刃を睨む。


流刃「!?」


父親「あのー、何故睨む?」


弥彦「・・はあ・・すまんな、一つ娘から条件を出されてな、それを呑む事でこの見合いを受けさせた」


父親、流刃『条件?』


雛美「勝負なさい!私の薙刀と、貴方の槍と!どっちが強いか勝負!勝負よ!解った?返事は!?」


弥彦「という訳だ、流刃君、どうかね?」


流刃「弥彦さん」


雛美「何よ!?無視?言っておくけどまたの機会は無いわよ!今決めなきゃ私二度と貴方となんか会わないから!!」


流刃「雛美さんは強いですか?」


弥彦は驚き、そして答えた。


弥彦「ああ!俺より強いぜ?」


父親はずっとニヤニヤ。


流刃「解りました、やります」


雛美「私が勝てば、二度と私に関わらない、約束して」


流刃「解りました、でも俺が勝ったら・・貴女と結婚したいです」


雛美「ふん!誰が貴方となんか!けど良いわ!賭けだもの!」


驚く両父親。


流刃から結婚したいと聞けるとは。


両者近くの国技館へ移動、大金を払い貸し切り。


国技館のスタッフが面白いと太鼓の演出。


雛美は着物のまま、ハチマキと袖あげ、得物は木製の薙刀。


流刃はお洒落な私服姿で裸足、得物は木製の槍。


父親「両者前へ!」


二人、中央へ。


父親「始め!」


流刃は最初はガードに専念。


あらゆる攻撃をかわし、弾く。


雛美との力量の差が浮き彫りになって来た。


雛美は悔しい涙を流しながらそれでも必死に食らいつく。


ついに雛美は倒され、剣先を喉へ。


流刃の完勝だった。


雛美「う・・うう・・」


弥彦が雛美に近づき肩に手を添える。


弥彦「解ったろ、業の力量が似てくれば、力が勝つ、お前は女なんだ、雛美、運命なんだよ、俺だって、お前が男だったらもっと強いお前が見られた、それは残念だ、でもな、お母さんに似て、美人になるお前を育てるのは、うぐ、楽しかったよ、美人になってくれて、強くなってくれて、優しくなってくれて、ありがとう、ありがとう雛美」


弥彦と雛美は抱き合い、泣いた。


流刃と父親は、父親が流刃を引っ張り、外へ出た。



暫く経過し、二人が出てきた。


流刃「雛美さんは、誰か好きな人が居るんですか?」


雛美「は?別に居ないわよ?」


全員『え!?』


流刃「じゃ、じゃあ、何であんなに・・」


雛美「は?自分より弱い男にピーされたくなかったからに決まってんじゃん、ま、でも!あんた強いし、やってやらんでもなくはないでもない」


流刃「は・・ははは、ま、まあ、よ、宜しく」


弥彦は頭を抱え、父親は弥彦の肩を叩く。


二人はその7週間後、式を上げた。


日本に多くのユダヤ人、アメリカ人のお偉いさんらが避難してきた。


それと同時に各国の軍も来日する事になった。


日本の軍隊が指揮を取り、他の軍隊は混ぜ混ぜになり、一つの地球防衛軍として看板を掲げた。


共通言語は英語。


流刃の神社に数多くのかつての軍関係者、ビーストの部隊も挨拶に来た。


その時には雛美のお腹には新しい命が宿っていた。


流刃「話とは?」


アメリカ国防長官白人「うむ、君に戻って欲しい、怪我も癒えたそうだからな」


流刃「せめて、子供が産まれてからにしてください」


長官「間に合わない、この国を守れるのは、我々しか居ない!はっきり言わせて貰うと、我々の装備は現代人の一般装備と比べ遥かに先を行っている、特に防御面で」


流刃「・・」


長官「海から上がってくるゾンビに対抗出来ているのは、一重に、我々の液体金属ロボット達のお陰だ!数多くの異国の野蛮な軍隊がこの国で暴れてないのは、我々が居るからだ!事実そうなのだから仕方あるまい?」


流刃「ならば対策は十分ではないですか?私は必要ないです」


長官「変異体だよ」


流刃「 〈ピク〉」


長官「そう、また現れたのだ、今度も女の変異体だよ、今度はかなり人間に近い容姿だ、大きな死神みたいな鎌を得物として使う、強化人間と言ったところか」


流刃「強いんですか?」


長官「空母2隻が切断で、沈められた」


流刃「・・」


長官「報告を聞いた時には信じられなかったが、衛星映像を見て信じたよ、これだ」


薄いPC、既に映像をスタンバイ。


流れる。


鎌の剣の長さが2Mくらい、柄は5M、女の身長は3Mはある。


映像を一時停止、良く見ると、足は義足だ、腕の肉が太い。


船を切りながら兵士らと戦い、戦闘機もクッキーみたいに切っている。


顔は真っ青だが、生気はあり、瞳が金色の黒長髪の女性、恐らく日本人だ。


笑いながら暴れている。


映像が終わった。


長官「どうだ?勝てるか?」


流刃「・・」


長官「正直、我々でさえ、厳しいと私は見ている」


流刃「・・俺なら勝てると?」


長官「君は変異体に勝った!それも二人相手に!普通の中型ナイフ一本で!更に自爆され、それでも尚ー・・君はここに居る」


流刃「・・」


長官「あの変異体が我々を滅ぼせば、君は何処に住む?」


流刃「・・」


長官「日本さえも、走るゾンビで埋め尽くされ、君の奥さん、子供までもー」


流刃「止めろ!!」


長官「明日、朝5時に討伐に出発する、着いてくるかは君次第だ」


長官は退出した。


流刃は頭を抱え、冷たいテーブルにおでこをくっつけた。


夜中。


流刃は最新のピッタリスーツに着替え、改良型シールリクティブをスーツの上から貼り、液体金属軍服をヌポンと装着。


コンタクトレンズをつけ、性能を確かめる。


水中補正が新しく追加されたとの事。


レーザーブレードが装備としてあった。


これには流刃も驚いた。


が、変異体の鎌は鏡みたいにツルツルで、弾かれ、兵士は自分のレーザーブレードで切られる事になったと報告を受け、持つのを辞めた。


防御性能が格段に上がった軍服と、霊槍を持ち、ヘリコプターへ向かう国防軍大型車に乗り込む準備完了。


最新の4D投影技術が可能な軽い仮面を着けようとー。


雛美「待って!」


抱きつき、キス。


流刃「・・行ってきます」


雛美「はい、行ってらっしゃい、待ってるからね、絶対諦めないでね」


流刃「・・うん、解った、約束する、絶対諦めない」


仮面を装着し、乗り込む。


5時。


車が発進した。


小学校グラウンドにヘリコプターが待機。


7時半。


平日だった、多くの子供らがバリケードの外からヘリコプターを見ようと押し寄せる。


バリケードが開き、流刃を乗せた車が通る。


車から降り、見渡す。


子供らが目を輝かせ、見ている。


流刃「・・」


長官「さ、行くぞ」


流刃「はい」


飛び立つヘリコプター。


飛行中。


長官「あの子供達を守るのだ、命に代えても」


流刃「・・俺はごめんです」


長官「なに?」


流刃「必ず生きて帰ります!約束したんです!」


長官「・・ああ!勿論だ!」


岡山空港に大型軍貨物機が待機。


乗り換え。


10時40分。


12時東京上空。


かつて繁栄を極めた大都市東京。


大地震、温暖化により、海面上昇し、ほぼ水没地域。


長官「そこに貨物船が突っ込み、現在液体金属ロボット達が走るゾンビ共を駆逐している状態だ!そこに奴が居る!お前は奴にだけ集中してくれ!雑魚は任せろ!」


流刃「ウーラー!」


長官「さあ!諸君!仕事の時間だ、我々の後ろには頼り無い者しか居ない、我々が倒れれば他に頑張れる人間はこの世には居ない、我々が最後の壁だ、繰り返す、我々が最後の壁だ」


51名『ウーラー!!』


長官「我々が最後の壁だ!」


51名『ウーラー!』


長官「我々が最後の壁だ!」


〈ピュイピュイピュイピュイピュイピュイ〉 飛行機の後ろが開いていく。


51名『ウーラー!』


長官「我々が最後の壁だ!」


51名『ウーラー!』


長官「いけえ!ゴーゴーゴーゴーゴー!!」


次々飛び降りていく。


最後に流刃が飛ぼうと。


長官「頼むぞ」


流刃「・・はい」


翔んだ。


東京陸はかつて放射能汚染が酷かったが、今では放射能除去バクテリアが散布され、平常値に安定している。


元々バリケード地帯の為、走るゾンビが大量に一ヶ所に押し寄せない限りはこの東京からは逃げ出す事はない。


その代わり、大型貨物船の乗組員123名と、東京ホームレス、東京に住む違法移民13万人を救助しながら戦わなくてはならない。


51名は精鋭の中の精鋭の中で更に選ばれた者達。


彼らには慈悲の感情はなく、仲間を気遣い、共倒れする馬鹿は居ない。


常に最善の一手を打つ。


彼らの中に囲碁、将棋が弱い者は一人として居ない。


流刃は着地後直ぐに身を隠した。


高いビルに登り、違法移民のマシンガン攻撃をかわし、殺し、殺し、殺す。


流刃「助けたいのに・・でも、仕方ない!」


占拠完了。


薄い紙型のモニターを広げる。


全ての兵士達の心音モニターが点滅している。


暫く観察。


南東の海の方の兵士が次々モニターが緑から赤に変わっていく。


流刃「見つけたぜ」


走り出し、15階から跳んだ。


背中の箱がドローンへ変形。


飛行開始。


兵士5「化け物お!〈ザギュ!〉ぐほ!?」


レーザー系の武器は鎌で器用に弾かれ、利用される為、液体金属軍服や、実弾で応戦するが、液体金属軍服ごと、真っ二つ。


鎌の技量が高く、単純に強い。


8人目に斬りかかるところで、流刃が空に現れた。


流刃「おーい!おーい!」


鎌「?」


流刃「いよ!」 


着地。


鎌「・・」


槍と鎌を見比べている。


流刃「あ、これ?槍」


鎌「・・」


流刃「お前ちゃんと意思あるんだな?名前は?」


鎌「・・よしこ」


流刃「よしこは誰に改造されたんだ?ん?」


よしこ「あんたには教えない」


流刃「雑魚は任せた!」


周りの兵士らに大声で伝える。


兵士ら『ウーラー!』


流刃によしこを任せ移動するビースト。


よしこ「あなたを知っている」


流刃「・・光栄だね、美人さんに知ってて貰えるなんて」


よしこの姿は黒いスーツ、パンツ姿、足は1Mと少しパンツから出ていて、義足だ。


流刃「俺の事は知っている、が、俺は君を知らない、教えくれないか?」


よしこ「わたしは世界を変えるの」


流刃「日本以外なら好きに変えてくれ」


よしこ「日本が元凶、全ての悪の源」


流刃「日本が光、文明が残された最後の国だ」


よしこ「文明が悪、人間は野生に帰り、新たなる進化を遂げる」


流刃「それは未来の話で結果論だ、博打だ、良い方に変わるか、悪い方に変わるかは解らない、良い方に変わるとどうして解る?」


よしこ「私には解る!」


鎌を回し、構えた。


流刃「俺には解らない、すまない」


槍を回し、〈コン!〉 石突きである金玉を打ち、構える。


流刃「 (邪魔するな、100%固まってろ)」


液体金属軍服に命令。


よしこ「あなたを殺すのが、私の成果、貴方を殺す」


流刃「ああ、そうか・・い!」 


槍を振った、穂、全長27cm、幅9cmが飛ぶ。


よしこ「!?」 鎌でガードついでに切ろうと弾く。


〈キイン!〉 お互い切れない。


よしこ、流刃『 (切れない!?)』


流刃「 (角度が横だったからかな・・んよ!)」


弾かれた穂を器用に操り、再び切りつける。


よしこは鎌で思い切り弾くから操作しやすいのだと気付き、軽く弾いた。


すると流刃は一旦穂を引く動きをするしかない。


よしこはそれに合わせて前に出た。


流刃は硬い右ブーツの甲で、柄を引く動きに合わせ石突きを蹴り、穂を巻く。


よしこの後ろから迫る穂を利用し、右へ振り左へ振る。


よしこの後ろで穂は、左に動き、右へ動き、丁度よしこの後頭部で真横になった。


よしこは寸前で頭を下に向けかわした。


そのタイミングで穂は槍へ戻り、金玉を足で蹴り、十字へ変化。


よしこの腹をめがけ、突いた。


よしこは鎌の柄でガードするが、本穂先をガードした為、横の穂先が脇腹を少し切断。


よしこ「ん!?」


流刃はそのまま上に穂を斜めにしながら跳ね上げ、よしこの手を鎌から離させようとした。


よしこは鎌の穂を流刃へ向け、蹴り。


右にかわした流刃はそのまま落ちてくるよしこの踵落としを更に前へ踏み込みながら反転、かわし、超接近戦へなりながら、石突きを捻り、横穂が引っ込み、同時によしこの左足の膝内に、後ろ向きのまま石突きを当て、〈ガシャ〉 三節棍へ変化させながらよしこが体制を崩し、前のめりにバランスを崩した。


三節棍になったことで間合いが短くなり、右の方の穂先を右手で掴み、上に掲げる。


よしこは左手で穂には触れず柄の部分を触り、右へ押し、かわした。


よしこは左手で柄を握る、流刃は左手で石突きをよしこの顔面に突いたと見せかけ、よしこの腕に槍を巻く動き。


よしこ「!?」


流刃はその状態のまま体重をかけ、しっかり巻き、石突きを捻り、槍が元に戻ろうとし、よしこの腕を引きちぎり、槍が元に戻り、落下している。


よしこ「うギャア!?」


よしこは右手の鎌を思い切り横振り開始。


流刃は土下座し、回避し、落ちてきた槍を跳び反転しながら石突きを掴み、振った。


槍の全長を使った。


よしこの頭が斜めにズレていく。


よしこ「・・わあ・・強~い」


よしこは倒れた。


流刃は勢い良く走りだし、よしこから離れる。


また爆弾だと思ったからだ。


よしこはまた立ち上がり、首を回す。


流刃「な!?」


よしこ「はあぁ・・再生完了~」


流刃「おいおい、切り口同士再生じゃなくて、生えてくる系かよ!?」


よしこ「さあ・・第二ラウンドよ?」


大鎌を構える。


流刃「・・」


槍を構える。


死闘の10分だった。


手足、首、胴体を順にバラバラに切り刻み、やっと勝てた。


流刃はかなり体力を消耗し、フラフラ。


大量のゾンビはネズミ算式に増え、部隊だけでは一般人を救出する事は無理と判断。


なんと、流刃は離れていたからという理由で、回収されず、部隊に置いてきぼりにされた。


流刃「まじかよ・・」


大量に押し寄せるゾンビから逃げる、逃げる。


ビルの窓上か、窓下に鷹モードの穂を投げ、巻き取りを繰り返し屋上へ避難。


これは使えると判断。


華麗とはいかないが、確実にビルからビルへ移れる。


高い壁を越え、見事、地域を脱出。


核を回避した。


よしこの役目は流刃の足止めだった。


東京原発放射能防護壁の流刃がいた反対側の壁が何者かにより爆破され、大量の難民、ゾンビが流入。


あっという間に広がっていき、流刃が居なかったビーストは全滅した。


流刃は一刻も早く家に帰りたかった。


雛美の携帯は繋がらない。


流刃はバイク、マウンテンバイク等を使い、何とか岡山県に入り、帰宅。


半年をかけてしまった。


走る群れのゾンビはそれほどに脅威だ。


流刃「ひーな!ひーな!どこだ?ひーな?ひ・・」


家の中は空き家の盗人らに略奪を受けていた。


その盗人らもゾンビに襲われたのだろう、盗んだ缶詰めが入ってるバッグが床に転がっている。


雛美の行方を知る手がかりは無い。


流刃「・・無事さ・・あいつは、一般人じゃない、折り畳み薙刀が無くなってるし、薬もない、上手く逃げたさ」


流刃は缶詰め、ペットボトル水を自分のバッグに入れ替え、また旅に出た。


台所の壁、玄関の壁にただいまの文字と岡山の北に向かうと油性マジックで書いて。


玄関を出る。


小規模の群れに出会った。


走ってくる。


槍を構え、鷹モード。


流刃「・・壁壊しの黒幕と、雛美、探さないとな・・」


大きく槍を振り回し、前方で止め、穂が飛び出す。


穂が離れていく時に薙ぎ払い、〈カチャン〉穂が巻き戻される時にも薙ぎ払う。


流刃「さあって・・行きますか!なあ?相棒?」 


軍服 〈ギュビビビ、ビビビビ、ギュビ〉


軍服形態になっている液体金属AIは、なんと意思を持ち、会話みたいなモノをしている。


言っている内容は解らないが感情は流刃の脳に語ってくる。


そして、玄関先の道路を歩き出した。


流刃「あー、雛美の料理が食べたいなあ・・」




















2年後。



ヤクザ、チンピラ、マフィアらは武器、暴力に長けていた為助かり、組織化し、国とまでは行かないが、村、市、規模の町を形成していた。


そこでは、麻薬が横行し、売春、完全社会主義、帝国主義、奴隷階級主義が当たり前となり、王族?とやらが闊歩していた。


そして、その時代において、嘘か誠か、ある噂が流れる。


AIが王様の国、ヤマト皇国という国があると。


そこでは、どんな差別、宗教、貧困、食料問題もなく、綺麗な水が湧き上がっている国だと。


静岡県から割れた日本列島の西に、その国はあるそうだ。


東側にもいつか攻めてきて、平定してくれる、その時こそ、真の自由を示してくださると。


東の王様らはその噂を信じようとはしなかった。





ある日。


東側の日本の海上レーダーに沢山の点が映った。


東側の国々はこれを受け、慌てふためく。


西には統一された軍隊らしきモノがある事が証明された瞬間だった。














船団の先頭を走る大きな軍艦。


指揮官室。


流刃「うーん、やっぱり雛美の作ったお弁当は旨いなあ」


モニター〈女の子「パパー!お仕事頑張ってー!」、雛美「無理はしないでね、必ず生きて帰ってきてください」〉


流刃「ああ、約束するよ、必ず生きて帰ってくる」


赤い鳥居をバックに黒いカラスの絵の白い海軍帽子を被る。


指揮官室に無線が入る。


?〈伝令!あちらさんも気づきました、丁寧な迎えとは程遠いモノでありました〉


全波放送スイッチを入れた。


流刃「なんだつまらん、丁寧ではないのか・・はあ、ではとことん丁寧ではない場所から削ぐとしよう、諸君、開戦だ!こちらは軍隊らしく行こうじゃないか?」


西側軍隊皆が聞いている。


アメリカ人海軍司令官「アイアイサー!空母戦術開始!潜水艦がーたー、はじーめー」


空母が動きを止める位置に移動開始、船団から離れていき、その空母から次々と戦闘機が発進。


潜水艦らのミサイルハッチが次々開き、ミサイルが発射。


流刃「どこどこに一番ゴキブリがそれぞれ多いか調査に時間をかけたぜ・・だが機は満ちた」


東側、逃げ惑う貴族?王族?共。


流刃「消毒だ」


衛星映像、次々大規模爆発が起きていく。





《ジリリリリリ》 警報音。


東側からも潜水艦やら、船団やらわんさか出てきた報せ。


流刃、全波放送スイッチを入れた。


流刃「俺は、一人で村の悪人共を滅ぼせても、県、国、ましてや、国々である世界の悪人共とは戦えなかった、貴方達のお陰だ、本当にありがとう、心から感謝する、それでは行こうか諸君、進路2ー18!」


アメリカ司令官「アイマン!進路2ー18ーよーそろー」





木造船80隻、軍艦3隻、空母1隻、戦闘機15、アメリカ、インド、中国、ロシア海軍、空軍、陸軍、その生き残りが集まり、わだかまりを平定し、結束した国、『ヤマト皇国』。


2つに割れた日本をまず西を征服し、次に東をー。


征服した。


長い戦いは終わり、流刃は47歳でやっと落ち着けた。


広い地下室がある豪邸に流刃、雛美、娘、息子と暮らし。


お金が存在しない、完全奉仕ポイント制度の社会主義国家。


アメリカ、中国、インド、ロシア、カナダ、チリ、オーストラリア。


それぞれ日本からの食料支援、飲み水支援により、復興。


日本が実質リーダーとなり、導いていく。


礼儀恥心を教え、導いていく。



流刃は日本の王族となり、しかし、それを鼻にかけずに、民衆と仲良く、そして、厳しく接した。



それでも、まだまだ復興してない地域は多く、人身売買は横行し、麻薬、お金も出回っていた。


短槍使い自警団を各地に派遣。


戦闘訓練を流刃自ら教える岡山、最上稲荷総本山から派遣されてくる若い男女の戦闘のプロ集団。


芽生える悪、成長してる悪、老いぼれの悪、消毒をしていく。









45年後。



流刃は青い槍を才能がある若者に渡し、自分はこっそり放浪の旅に出た。



もう、やり残した事は無かった。


84歳、新型の赤い槍を持ち、空を飛ぶ液体金属ロボット、リュック型をからい、出発。


雛美はとっくに病気で死んでいた。









南アメリカ。


走るゾンビ、治めていないマフィア、ギャングがわんさか居る市街より南東の小さいビル上に出来た集落。


その集落は年貢という大義名分の元に、女と、パン、米を月に一度ギャングに治めていた。


ある程度は平和に暮らしていた。


が。


白人史上主義、KK団体戦闘民200人が攻めて来た。


ほぼ黒人だった平和に見えていた市街は、あっという間に戦場に変わり、ビル上で銃声、爆弾が響いた。


白人団体が勝利し、黒人の男性を皆殺しにした。


女性達を性奴隷にし、白人帝国を広げる事を野望としていた。


一人の黒人男性がこっそり逃げ出し、足で駆けていた。


赤い槍を杖にすたすた歩いている老人とすれ違い、水を求める。


老人は黒人の50歳くらいの男性に惜しみ無く水を手渡した。


黒人男性は膝をつき、泣いた。


老人は何事かと訪ねる。


説明し終えた男性は泣き崩れる。


老人は解った、そこへ案内しなさいと男に言った。


黒人は老人に言った。


黒人「あなたは日本人ですか?」


老人「ああ、そうだ、私は日本人だ」


黒人「日本は今、ゾンビは居ますか?」


老人「居ないよ、ヤマト皇国という名前に改名したんだよ、ゾンビは全て退治され、治安は良くて、警察も、軍隊も機能しているよ」


黒人「!?そんな夢みたいな国があるんですか?」


老人「私はそこから来たのだ、色んな武器もある、私が貴方の村を救ってあげよう、さ、案内してください」


黒人「私がやります!武器を貸してください!」


老人「私は武術の達人だ、信用なさい」


黒人「敵・・妻と息子の敵を!とってください!」


老人「約束します、さ、早く」


黒人「こちらです!こっち!」


老人は案内され、村を見て、絶望した。


老人「まだまだ・・こんな地域があるのか・・そうだよな・・世界は本当に・・広いなあ・・」


黒人「あっちから登れます!」


老人「案内はここまでで良いよ、少し下がりなさい」


黒人「?」


老人の背負っている四角のリュックが変形し、完全防御型スーツになり、老人の体の隅々まで覆い、かっこよくなった。


黒人「!?」


老人「では行きますよ」


老人はビルを走って登って行き、あっという間に見えなくなった。


黒人はただただ、呆然と赤く染まっていくビル上壁を見ているだけしか出来なかった。


20分後。


老人は黒人に挨拶をして、変なシールを電柱に貼って、また旅に出た。


その後、ヤマト皇国という国から来た日本人軍人30名、アメリカ軍人300名が来た。


黒人「な、何ですかあなた達は!?」


日本人1「ここに赤い槍の老人が来ませんでしたか?」


黒人「は、はい!確かに来ました!彼は私達の命の恩人なんです!彼と知り合いですか!?いつか彼にまた会いたいんです!是非お礼がしたい!彼は何者なんですか?、それにあなた達は?」


多くの黒人女性達が取り囲む。


日本人2「間違いない、ここだ、この街だ」


日本人3「はあ・・人助けは良いんだが・・全くあの人は」


日本人4「静かに余生を過ごせんもんかね?」


日本人5「まあまあ、実際に救われてる人達が居るんだし」


日本人1「我々はヤマト皇国から来ました、ここの治安はヤマト皇国が預かります、我々からあなた方に要求する事は治安維持だけです、それ以外は求めません、食料、飲み水、衣服、武器、農機具、全てこちらが用意します」


黒人「ヤマト、皇国・・あの老人が言ってました!そこから来たんだって!ではあなた方とあの老人は知り合いなんですね?」


アメリカ人、日本人、皆クスクス笑う。


黒人「?」


日本人1「彼はヤマト皇国の皇族で一番偉い人です、ヤマト皇国を一から作り、あらゆる国の軍隊をまとめ、復興に導いた人物で、歴史に間違いなく残る国王ですよ」


黒人「え!?えええええ!?そ、そんな偉い人が、何故旅なんか?」


日本人、アメリカ人が肩をすくめる。


日本人1「いつだったか・・助けられる人か居るのに助けない、それは、殺人と同じだとあのお方は仰いました、貴方みたいな人達を助ける旅に出たかったんだと思います」


黒人「私は・・自警団のリーダーでした・・年貢を要求して、うう・・村人に酷い事も沢山しました・・私には助けられる資格なんか無かったのに・・うう・・」


日本人、アメリカ人『・・・・』


日本人1「治安をまとめる、それは簡単ではありません、野蛮な男達を落ち着けた貴方の政策は、きっと最善策だった、貴方は間違いなく、英雄だ、誇りに思って良い」


黒人「私は!一番早く逃げたんだ!一番・・」


泣き崩れる黒人。


日本人1「貴方が逃げたお陰で村の女性が助かったんです、貴方が逃げなかったら、国王に出会う事もなかった」


黒人は抱き締められ、大いに泣いた。












1年後。




アメリカとメキシコの国境付近。



深い山中。



そこには、人喰い宗教集団、バッカスという名前のギャングが根城にしている風力発電所があった。


小さな拠点が点在し、全部合わせてかなりの規模のギャングだ。


その一番南東位置拠点、キャンプ場に囚われたキリスト教信者のアメリカ人家族。


捕まったばかり。


父親が殺された。


次いで母親が殺された。


最後に娘の番になった。


娘が殺されそうになった時、一瞬、何か光った。


それは早く、横に移動した。


敵は次の瞬間、首が飛び、血が出るまでにかなり時間があった。



呆然と膝で立つ時間の間に、キャンプ場の敵は全滅したようだ。


静かになった。


老人が赤い槍を杖にして、ゆっくり歩いて来る。


娘「何?誰?今の貴方がやったの?」


老人「敵は倒した、ほれ、水、パンじゃ」


娘「・・」


匂いを嗅ぎ、飲み、食べる娘。


老人「ははは、慌てるな、おかわりはある、ゆっくりお食べ」


娘「・・誰?」


老人「ほら、腕を出して、そう・・いいかい?このシールを絶対に無くしたら駄目だぞ?」


娘の腕にシールを貼った。


娘「?」


老人「ほほ、さあってと、暫くは一緒に暮らすか?」


娘「いいの?」


老人「ああ、奴等には2日くらいこの山から出ないようにして貰うけどなあ・・」


娘「そうなの?何で?」


老人「流石にわしも一人ではきつい人数だからのう、応援を待つわい」









3日目朝。



バッカス本部の無線機から聞こえる悲鳴、怒号。


バッカス提督「どうしたあ!?報告しろお!?何が起こって!?おい!?おい!?何とか言え!?こら!おい!」


無線機10台《ビーーガーー、ザザザ、ガーーガーーブッビーーガーー》


バッカス提督「・・何なんだ・・何なんだよ・・こりゃあいったい!!なんだってんだよおおおお!!!!」


女部下35「提督!!ここはやばい!奴が!!奴が来る!早く逃げー・・」


山の発電所施設の裏にある山洞窟を改造した贅沢な家の階段を上がって来た女部下35の動きが止まる。


バッカス提督「はあ?だから奴とはいったい誰なんだ!どんな奴だ!特徴を言え!特徴を!!・・・・おい・・・・?・・おい?どうした?」


女部下35はそのまま前に倒れ、後ろから老人が姿を現した。


バッカス提督は銃を腰から取り出し撃ちまくるが、全て自動防御で液体金属ロボットが弾く。


バッカス提督「何なんだ・・化け物おお!!くそ!こうなったら!」


戦闘機械、遠隔操作ロボット達が起動。


殺人兵器の暗殺ドローン人形300台が動き出した。


老人「人間と化け物の違いが何か解るか?」


バッカス提督「ああ!?知るかよ!とりあえず死ね!」


老人「格好良いか、格好悪いかじゃよ」


バッカス提督「馬鹿か?いくら最新のスーツ着てもなあ!?てめえ一人でこの・・」


周りを見渡す。


提督のコンタクトレンズ型モニターには気配を消した液体金属ロボットらが次々に気配を現していく。


提督「な・・」


老人「誰が・・一人だって?」


提督「お・・お前・・何者・・」


洞窟の内部、上、鉄橋から日本人3が叫ぶ。


日本人3「このお方はヤマト皇国の国王だ!愚か者!」


提督「・・あーあ・・」


全てを悟り、諦め、その後に、笑い、全ての暗殺人形らに、戦闘を開始させた。


が。


日本人3「てえ!」


全ての暗殺人形らが蜂の巣にされていく。


バラバラになっていく。


提督も弾幕により、ミキサーをかけたみたいになった。








国王に皆が頭を下げ、帰宅を願う。


国王は了承し、皆が死体を片付けしている間、上層部はジュースでワイワイ。


皆でワイワイやっていると、誰かが気づいた。


流刃が居ない。


日本人1「あれ?国王?陛下?陛下?あれ?陛下あ?どこですか陛下あ?・・・・そんな・・私が息子様に怒られるんですよお!?・・・・・・・・あんのくそ 〈ゴホン〉 へいかああああ!!!!」
















山の崖道。


バイク《ブオオオオオオ、オオオオオオオオオオオオ》



山道をバイクが駆けていく。


バイクに乗った流刃「おー、ガソリンか・・悪くないなあ・・わはははははは!違う風じゃのう!こりゃええわい!わはははははははは!!」





《END》


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