表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/19

「ううん」、と小さく咳払いをしてから、小夜は再び読書に戻った。綾川先輩と小夜の『二人だけしか部員のいない』星見中学校の天文部の部室の中は、いつものように今日も、……『しん』としていた。

 綾川先輩も、小夜も、孤独というかこういった独特の空気感というか、静けさ、のようなものが好きだったから、こうして二人だけでいる部室の中でなんの会話をしなくてもとくに変な空気になったり、気を使ったりはしなかったけど、きっとほかの人が(たとえば小夜の友達の八木ちゃんとか)この風景を見たから、きっと異様に感じるに違いないと、そんなことを密かに小夜は思ったりした。

 そこまで考えたところで、小夜はちらっと綾川先輩のことを見る。


 すると綾川先輩はスペースシャトルと宇宙ステーションの小さな模型を見たり、触ったりして、この静かな時間を過ごしていた。

 テーブルの上には宇宙関連の雑誌が一冊置いてある。その本はどうやら『木星ジュピター』の特集記事の乗っている雑誌のようだった。

 表紙に大きく茶色のまだら模様の木星の画像が写った写真が乗っていた。(背景の宇宙空間はとても真っ暗で、とても孤独だった)

「……木星。好きなんですか?」小夜は言う。

「……え? あ、うん。木星好きだよ。惑星の中では一番好きかもしれない。衛星が四つもあるし、(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストだ)大きいし、ジュピターっていう英語の名前もかっこいいよね」と綾川先輩は宇宙ステーションの小さな模型をいじるのをやめて、とても嬉しそうな顔で小夜に言った。

「そうですか」小夜は言う。

 そう言ってから、なんで私は今、(それもよりによって『今日』)綾川先輩と木星の話なんかをしているんだろう? (まあ、天文部なのだから『変』ではないのだけど)と疑問に思った。

 ……はぁー。

 小夜はまた、心の中で深いため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ