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作者: 黒隆清田
掲載日:2018/08/27

先月に降った雨はs町の川を氾濫させて町民の多くが避難した。私は家族と一緒に町内にある川から少し離れた大きな建物に避難してきた。

私は勉強が好きだったので日本史の本を持ってきて読んでいた。新石器時代、相沢忠洋、源実朝、公暁、荘園、平安京等についてかかれた参考書を読んでいた。

建物の中には避難してきた人たちが多く来ていた。3階まである建物で1階には食品売り場や100円ショップもあったので大雨が降っていても買い物客でごった返していた。

私はこの100円ショップに何回も来ていたのでここの雰囲気が好きだったが、町長選挙の後にはこの建物の食品売り場や100円ショップは無くなってしまった。現職の棺桶に片足を突っ込んだような80歳くらいのおじいさん町長と50歳くらいの新人若手候補が争った選挙だったが、この町の税金の使い方と良くならない景気に嫌気がさした住民の間で現職降ろしの風が吹いていて新人の候補が町長になった。

町長選挙と100円ショップは関連していて、現職だった町長の弟が建物の経営をしていたので受からなくて面白くないから辞めたとのことだった。これは私の親父から聞いた話なので本当かどうかはわからない。

この話を聞いた私は我が儘な人たちだなあと思ったし、少し淋しい気持ちにもなった。

今回の雨は雨の力だけで大きな災害になったわけではない。3月の出来事だったので雪が地面に大量に残っていて、それが解けて水になったことが大雨被害の原因だという。親父の職場のおじさん達も建物に来ていて話をしていた。私はもう1時間くらいはじっと座っていたのに嫌気がさしてゾンビのように建物の中を歩き回った。何周か建物の中を回ってきたところで私は家から持ってきた握力強化の筋トレグッズを使ったり、スマホで被害状況の確認をしていた。中には警察もいてトランシーバーで連絡をとっていたが警察というものはどいつもこいつもこんな奴らなのかと思ってしまった。

警察の男の人は熱心にトランシーバーで報告をしているのだがとてもがたいが良くて顔が怖く、人を威圧するような歩き方をしていたから少し怖いと思った。目つきは殆ど悪人である。他に面白いことと言えばカメラマンがきていたことだった。建物は避難所に使われていたので避難してきた人の様子を撮影しているのだった。

私は人生20年生きてきてこんな立派な大きなカメラは初めて見た。5時間くらい建物に居たところで雨が小降りになり、川の氾濫が収まったので私たちは家に帰った。

なぜか私は家には入らずに壁に野球ボールを当てて楽しんでいた。冬の北海道ではこんなことは出来ないのだ。季節は春になろうとしていた、これからは外で野球ができるようになるんだなぁと思うと共に雪が全く無くなった町の景色を見て

まるで友達が死んでしまったような気持ちにもなっていった。

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