第3話 学園へ行こう!※
ドロドロとした地面、そして燃え上がる炎、
空から爆弾が降り、人間も、獣人も、エルフも、ドワーフも、皆、絶叫をあげている。
そして俺はなぜか、仮面をかぶった人々から逃げていた。そして俺は転生前の人間の姿と今の姿を半分ずつ混ぜたような姿で、山田を脇に抱えていた。
逃げなきゃ、逃げなきゃ、目的は分からないが、本能がそうさせている。
瓦礫を踏み、動物の死骸も踏み、死人だって踏んで走った。
ゾンビのようなものが襲ってくるので、山田を脇に抱えてた方とは反対の手に握っていた大剣でそれを、おもいきり斬った。
手の感覚が気持ち悪いが、今はそれどころじゃない。
はやくどっか安全な場所へ......!
「はあ、あ、うん....。」
「山田!意識が戻ったのか!?」
そうして俺はなぜか立派な狐獣人と化していた山田に声をかける。
「あ、あ....え、あ、う、あ....。」
「山田!?無理すんな、今からお前を安全なば.....。」
「い、ち、ちが、う.....。」
「え?」
「ま、まえ....。前を、み、て、あ、あぶ、な、い....。」
「前?」
そうして俺は前を見た。そこには巨大な氷塊が、俺に迫っていたのだ。
せめてものと思って、山田を逃がそうとおもったが....。
...どうやら無理だったようだ。
そうして俺は氷塊に押しつぶされた。
身体が軋む、目が眩む、血が全身から出る。そして息の絶えた山田をみて、
「good-by my life...」
今度はちゃんと言えてよかったな、と思った。
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...最悪の目覚めだ。
そもそもなんだよ、色々とおかしいだろあの夢...。
つうか俺の姿は今の姿を黒くした感じだし、山田はなんか途中から狐獣人に姿が変わるし...。
そうしてベットから起き上がった。
流石にもう背中の痛みは引いている。
俺はおもむろにタンスから着替えを取り出して着替えた。
「どうしたのー?すっごい顔色悪いよー?」
「あー、とんでもなく嫌な夢見たんだ。」
本当に嫌だ。もう二度と見たくない。
俺はお茶っ葉を取り出して、俺と妹の分を入れて魔法で淹れた。
今魔法と言ったが、たかが生活魔法だ。誰でもできる。
一つすごいところを挙げるとしたら、
俺はこれを、無詠唱で出来るということだ。
俺はそこまで凄いとは思っていないが、
親はどうやら、無詠唱で出来るのはこの年では凄いと言う。
いや、ほんとに凄いか?だって誰でも出来るんだぞ?
そんな事を思っていたら、どうやら料理ができたらしい。
「はーい、クラツェイルグとヒィッセンソーよ〜」
そうそう、前回から出ているクラツェ、まぁ、ちょっとちっちゃい橙っぽいジャガイモの様なものだと思って貰ったら幸いだ。
つまり、クラツェイルグはポテトサラダみたいなものだ。
ヒィッセンソーは黒パンにオーク肉にレグスとラルインジェを挟んだやつだ。うまい。
「はーい、食べたら学園いってね〜今日ね〜なんか緊急依頼入っちゃったから〜」
緊急依頼といってびっくりしただろう。
そう、父さんと母さんは冒険者を生業としている。
父さんはオリハルコンランクで、母さんはアマンダイトランクだ。
町でもオリハルコンランクのパーティーはほとんどいない。
だからしっかりしてると思われがちだが...
「さあ!行くわよ〜」
「待て、荷物の入っているマジックバック忘れてどうする!」
...どうやらそうでもない様だ。
「「命を与えて下さりありがとうございます。」」
「お兄ちゃん行こー!」
「あーちょっとまってな、」
そうして俺はお気に入りの本を取る。
そして俺の馬鹿でかい容量の収納魔法にぶちこむ。
収納魔法は家族でも俺一人しか使えないので普通にすごいのだと思う。
ちなみに本は、質の悪い紙を何枚も重ねた様なものだが、
それでも前世で本をよく読んでいたので俺には有難いが。
「よし、準備できたぞ。」
ここから学園までは15分くらいある。
...大人の足では。
そう、大人の足では。
この子供の足では絶対に30分はかかるだろう。
「...ねえ、お兄ちゃん...。」
「...うん...。」
「「長くない???」」
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やっと学園に着いた...。
体感で50分ぐらいだろうか。長い。長すぎる。
そうして俺らは学園の門をくぐった。
同年代の子がいっぱいいる。
俺らは体育館的なところへいった。
「はーい、一年生の子はこれをとっていけよー。」
なんかクラス番号と出席番号が書かれた紙を渡された。
...どうやら俺と妹は同じクラスの様だ。
まあ何ともご都合主義な感じで...。
「お兄ちゃんと一緒なのか...。」
そうやってボソッとつぶやいた。
え、ちょっと嫌なのか?
「はーい、はいはいー、クラス順に並んでくださーい。」
おっと、並ばなきゃな、
「えー、ということでー....我らのタリケエリステ第2学園はー...。」
長い、やっぱりどこ行っても校長先生の話は長いんだな...。
「オイコラ カリエスタ!てめえの話なげえんだよ!」
「もう20分もすぎてんだぞ!?」
まじか、そんなにすぎてたのか...。
「痛い!痛い!わかった!わかったから!お願い!殴らないでぇ!」
「えーということでカリエスタに代わって私サイファが始業式を〆させていただきます。」
「おい、移動するぞー、」
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「えー、ということでBクラス担任のリチェイン=スチュアードだ。覚えておくように。」
あ、さっきクラス表配ってたおじさんだ。
「あー、そしてな、お前らにはいまから自己紹介をしてもらう。」
...あれ?こいつら6才から8才だよな?
ちゃんとした自己紹介とかできんのか?
「ということで出席番号1番の奴から自己紹介しろ。」
あ、やるんだね、鬼畜上等だね。
「あ、はい、私の名前はアイルサンジェル=エリサギカ、7才です。」
「えーっと特技は...。そうですね...。あ、クリシタルが弾けます。」
クリシタルとはが上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤と、分かれてる、ピアノのような楽器だ。
俺も一回は見たことがある。
「へ、どうせ大したことねぇんじゃねえの?」
あ、隣の男子が余計なこといった。
それ絶対予想の斜め行くテンプレだから止めとけって。
「そうですねー...。自慢出来るほどではないですが、スバルツの、クリシタルのための独奏曲第6、が弾けますね。」
いや、それくっそ難しい奴じゃん。
あ、隣の男子が白目剥いてる。
「俺はイルギス=クルスだ!」
「火魔法が使えるぜ!」
おぉ、いいな、火魔法。
俺は何だか知らないけど使えないんだよなぁ...。
そうして自己紹介は順調に進んだ。
「やっほー!私はウリベラ=アンジェリカだよ!」
「水魔法が使えるよ!よろちくびーむ!」
...よろちくびーむとか女の子が言うな...。
「え、えっと...その...ぼくは、さ、サリウス=ビリカムです...。は、8才です...。」
「あの、その...こ、こういうのはにがてで...あ、えっと...光魔法が、つ、使えまひゅ!」
だいじょぶかなこの子....。
「...俺はゾルネス=キンドルスだ...。」
...いや声たっか!
その顔でその声て熊吉ぃ...。
「あ、はい、わたしはマーティクス=アマリリスです。」
「魔法はあまり使えませんが、剣技が得意です。よろしくお願いします。」
お、どうやら俺の番の様だ。
てか、さすが我が妹だな、丁寧だ。
そんなことを思いながら俺は立ち上がった。
「あー、俺はマーティクス=ガブリエルだ。生活魔法が無詠唱で、あとは収納魔法が使える。よろしく頼む。」
...そうしたら教室が大爆笑の渦に巻き込まれた。
「ぶわっはっはっはっは!!お、お前、生活魔法て!」
「それしかできねえのかよお前!」
そうやって隣の男の子が嘲笑う。
うん、笑うのも無理はない、俺だって自己紹介で
生活魔法と収納魔法だけって言われたら、
笑ってしまうかもしれないからな。
...そう思っていると右斜め前の狐の獣人の男の子が、
「いや、何で皆笑うの?無詠唱はほとんどの人ができないし、」
「生活魔法が無詠唱なら、魔力量が大きいだろうから、」
「収納魔法だって、容量が馬鹿でかいだろうし...。」
「そうだ、よくわかっているな、シリウス、」
「おい、ガブリエル、」
「あ、はい。」
...は?なんなんだ?
「お前、もしかして収納魔法も無詠唱か?」
「あ、はい。」
そりゃ当たり前だろう。
...そしたらクラスの皆が青ざめた。
え?俺なんか変なこと言ったか?
「...もしかして今も収納魔法に物が入っているか? 」
「あ、はい」
収納魔法は便利だからな、普段からよく使っている。
...なんかクラスがざわめき始めた。
「見せてくれないか?」
「いいですよ。」
そうして俺は収納魔法から本を15冊、あと母から渡されたなんかよく分からない魔道具を出した。
ざわめきが大きくなる。
「いつからだ?」
「えーっと、家を出る前から?」
なんかクラスのほとんどが白目を剥いている。
「あの〜先生?俺なんか変なこと言いました?」
「あのなぁ、変も何も収納魔法をそれだけ維持していているのが異常なんだよ、」
「そもそも収納魔法は使える人が少ない。それはわかるよな?」
確かに家族でも俺しか使えないな。
「それをな?馬鹿でかい容量で尚且つ、無詠唱でやるのはな?どんな家系なんだマーティスク家だったなごめんな...。」
...なんか謝られた。
とにかく、人前ではこれ、隠さないといけないかも知れない。
...そして、例の狐獣人の子が悪魔の微笑みを浮かべて、親指を立てていた。
カーン、カーン、カーーン...。
「よし、もう帰っていいぞ。」
そうして1日目は終わった。
わ〜お☆
すっごい長くなりました。
あとタイトル間違えた☆